Qualcommの次世代PC向けプロセッサ「Snapdragon X2」シリーズの新たな詳細が明らかになった。輸出データベースから、「Ultra Premium」と呼ばれる新カテゴリーの製品の存在が確認され、同時に「Project Glymur」として開発が進められている次世代チップセットでは、メモリチャネル数の大幅な強化が示唆されている。
次世代プロセッサの全貌:Ultra Premiumモデルと第3世代Oryonコアの採用
Qualcommの次世代プロセッサ開発の詳細が、複数の情報源から明らかになってきた。注目すべきは、開発コードネーム「Project Glymur」として確認されている「SC8480XP」と、新たに存在が確認された「Snapdragon X2 Ultra Premium(型番:X2-000-096)」の2つのプロジェクトの存在である。特に後者は、Qualcommが初めて「Ultra Premium」という上位カテゴリーを設定することを示唆しており、同社のPC向けプロセッサ戦略において重要な動きとなりそうだ。
技術仕様に関して特に注目されるのは、輸出データベースに記録された「12CH」という記述である。この表記は12チャネルのメモリ構成を示唆しており、現行の第1世代製品と比較して50%増となる大幅な強化が行われる可能性を示すものだ。メモリチャネル数の増加は、プロセッサとメモリ間のデータ転送速度を直接的に向上させ、特に大規模なデータ処理やAI処理において顕著な性能向上をもたらすことが期待される。
プロセッサコアに関しては、Qualcommが次世代のSnapdragon X Elite Gen 2(またはSnapdragon X2)シリーズに第3世代Oryonプロセッサコアを採用することを既に公式に認めている。現在、OnePlus 13やGalaxy S25 Ultra、Nubia Z70 Ultraなどのフラグシップスマートフォンで採用されている第2世代Oryonコアは、既に高い評価を得ているが、第3世代ではさらなる性能向上が見込まれる。特に、昨年のCES 2025でAsus Zenbook A14に採用された第1世代Snapdragon Xチップ(X1-26-100)と比較して、処理性能とエネルギー効率の両面での大幅な改善が期待される。
この新世代のプロセッサは、特にAI処理能力の強化に重点が置かれているとみられる。これは、現在のPC市場においてAI機能の重要性が急速に高まっていることを反映したものだろう。Ultra Premiumモデルの投入は、より要求の高い用途、特にクリエイター向けワークステーションや高性能ノートPC市場での競争力強化を狙ったものと推測される。メモリチャネルの増強も、この戦略を裏付ける要素の一つとして解釈できる。
市場投入時期と競合状況
情報筋によると、これらの新製品は2025年後半での市場投入が予想されている。現行のSnapdragon X EliteシリーズはCES 2025でAsus Zenbook A14などに採用され、AI処理性能の高さが評価されている。
しかし、AMDのStrix Point APUやIntelのLunar Lakeチップなど、競合製品の台頭により、より強力な次世代製品の投入が急務となっている状況だ。Ultra Premiumモデルの追加は、このような競争環境への対応策の一つと考えられる。
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