発売前のAMD Ryzen 9000シリーズの最上位モデルとなるZen 5「Ryzen 9 9950X」プロセッサのAIDA64ベンチマークテスト結果がAnandTech Forumのigor_kavinski氏によって公開されている。初期のエンジニアリング・サンプルであるとされるこのチップのテスト結果は、驚くべき物で、全く新しいZen 5アーキテクチャの実力をまざまざと見せつけられ、期待を高める物となっている。
前フラッグシップRyzen 9 7950X比で45%の性能アップも
igor_kavinski氏は、AMD Ryzen 9 9950X CPUの初期エンジニアリング・サンプルにアクセスできた人物からテスト結果を入手したとされている。このチップはAM5マザーボードにDDR5-8000メモリ(CL34-45-40-42のタイミングで動作)を搭載して実行されていた。AIDA64の各テストの結果は以下の通り、スクリーンショットと共に報告されている。
AESスコアは746,991MB/s
FP32スコアは110,444KRay/s
FP64スコアは59,582KRay/s
となっている。
igor_kavinski氏によれば、AESのスコアに関しては、AMDの前フラッグシップ「Ryzen 9 7950X」比で45%アップ、Intelの「Core i9 13900K」比では55%アップ、AMDの「AMD Ryzen Threadripper PRO 7975WX」比では11%アップであると言う。その他、FP32やFP64などのそれぞれの性能比較(%)については、igor_kavinski氏の表を転載しておく。
Ryzen 9 7950X | Core i9 13900K | Ryzen Threadripper PRO 7975WX | |
---|---|---|---|
AES | 45+ | 55+ | 11+ |
FP32 | 39+ | 60+ | -13 |
FP64 | 39+ | 60+ | -16 |
AESのスコアは、共通鍵暗号化規格であるAES(Advanced Encryption Standard)データ暗号化を使用してCPU性能を測定し、整数演算性能を測定するものだ。AESは、7z、RAR、WinZipなどの圧縮ツールや、BitLocker、FileVault(Mac OS X)、TrueCryptなどのディスク暗号化ソリューションで使用されている。Ryzen 9 9950Xは、このAESスコアが前モデル比で45%もアップしているということで、かなり印象的な結果と言えるだろう。整数演算性能と言う事で、AI処理性能の大きな向上も期待出来る。
FP32(32ビット浮動小数点)、FP64(64ビット浮動小数点)は浮動小数点演算性能を表すもので、一般的なCPUの処理速度比較によく用いられる物だ。これもRyzen 9 7950Xからは39%の伸びだが、更に印象的なのはIntel Core i9 13900Kとのの60%もの性能差だ。これは大きい。
また、igor_kavinski氏はLinXでは、調整されたDDR5メモリ(6400 MT/s / 26-36-32-30)を使用して1657 GFLOPsのスコアを記録しことも報告している。
これらのベンチマークテスト結果は、チップの一部の性能の側面を表している物であり、アプリケーションやワークロードはそのような命令だけでなく、チップの様々な部分を使用するため、チップの実際の性能は同様の向上を示さない可能性があるが、まったく新しいアーキテクチャ「Zen 5」に基づくRyzen 9000シリーズの素晴らしい性能向上の可能性が垣間見える今回のテスト結果には素直に驚きを隠せない。加えて言うならば、これらはエンジニアリング・サンプルでのテスト結果であり、更に最適化が施された実際の製品版は更なるスコアアップが期待出来ると見られる。発売が楽しみだ。
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