韓国の半導体大手Samsungが、次世代製造プロセスの開発で深刻な課題に直面している。現地報道によると、同社の第2世代3nmプロセス(GAA)の歩留まりが目標値70%に対してわずか20%にとどまっており、主要顧客の獲得に影響を及ぼしているようだ。
世代間で大きく異なる歩留まり実績、収益への影響も
第1世代3nmプロセス(SF3E-3GAE)の歩留まりは、当初の低水準から改善を見せ、現在は50-60%まで向上している。しかし、より先進的な第2世代プロセスでは歩留まり20%と苦戦が続いており、当初の目標値70%には遠く及ばない状況だ。
この歩留まり問題は、すでにSamsungの事業戦略にも影響を及ぼしている。Galaxy S25シリーズでExynos 2500チップの採用を断念し、Qualcommの Snapdragon 8 Eliteに完全移行することを決定。さらに、多くの潜在顧客がTSMCの3nmプロセスへと流出する事態となっているのだ。
この状況を受け、Samsungは2025年の量産開始を目指す2nmプロセスの開発にリソースを振り向け始めている。これは、3nmでの教訓を活かし、次世代プロセスでの巻き返しを図る戦略とみられる。
Xenospectrum’s Take
歩留まり20%という数字は、半導体製造における深刻な課題を示している。生産効率の低さは製造コストの上昇を招き、結果として顧客離れを加速させる悪循環を生んでいる。2022年から続く這い上がりの努力も、市場の期待には応えられていない。
TSMCの3nmプロセスが安定した歩留まりを実現している現状で、Samsungの選択は賢明といえるかもしれない。2nmプロセスへのリソースシフトは、「負け戦を継続するよりも、次の戦場での勝利を目指す」という現実的な判断だろう。これは2nmを諦め、Intel 18AプロセスにシフトしたIntelにも見られた動きだ。ただし、この決断が実を結ぶかどうかは、3nmでの失敗から十分な教訓を得られるかにかかっている。
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