以前、韓国のSK hynixが世界最大規模のメモリ製造施設を米国に建造する計画でいることがThe Wall Street Journal紙によって報じられた。これは内部関係者の話としてリークされたもので、SK hynixは公式な回答は行っていなかった。あれから数週間、ついにSK hynixは今回米国インディアナ州ウェストラファイエットに、先端パッケージング施設と人工知能の研究開発拠点を建設する計画を明らかにした。この工場は、AIシステムの訓練に使用されるGPUの中核部品である次世代のHBM(広帯域幅)メモリを生産する。
SK hynixがこの地を選んだのは、回復力のある製造インフラと研究開発エコシステム、そして近隣のパデュー大学からの豊富な人材と言った複合的な要因からだという。また、地元や州政府からの「強力な支援」も決断を後押しした。
Todd Young米上院議員は、CHIPSと科学法がインディアナ州を躍進させる扉を開いたと述べ、SK hynixは間もなくインディアナ州の有名企業になるだろうと付け加えた。
SK hynixは工場の新設に伴い、SK hynixはパデュー大学と研究開発契約を結んだ。同社は地元のパデュー大学やアイビー・テック・コミュニティー・カレッジとも協力して、トレーニング・イニシアチブと多様な学位プログラムを作成し、熟練労働力を育成し、新鮮で若い人材を安定的に確保する計画だ。
以前に報じられた情報によれば、この工場では、メモリー回路を搭載したウェハーの加工は行わず、他の場所(おそらくSK hynixの韓国工場)から調達し、ベースダイの上に複数のメモリーダイを積層した既知の良品積層ダイ(KGSD)からHBMを組み立てる。そしてその製造されたHBMは、NVIDIA GPUと組み合わせられるようだ。
米国にHBMのパッケージング施設を持つことで、HBMメモリのサプライチェーンはいくらか弾力的になるが、SK hynixは韓国でHBMメモリ・デバイスを製造し続けるだろう。
SK hynixのKwak Noh-Jung最高経営責任者(CEO)は、「われわれは、サプライチェーンの強靭性を強化し、地域の半導体エコシステムを発展させるのに役立つ、AI製品向けの最先端の先端パッケージング施設を米国に建設する業界初の企業となることに興奮しています。この新しい施設によって、比類のない能力を備えたAIメモリーチップを提供し、顧客のニーズに応えるという当社の目標を前進させたい」と語った。
SK hynixによれば、このプロジェクトは概算で約38億7000万ドル相当と見込まれ、IntelやTSMCが建設したパッケージング施設のコスト(約30億ドル)を大幅に上回るため、世界で最も先進的な半導体パッケージング工場のひとつとなる。同社によれば、この施設はこの地域に1000人以上の新規雇用をもたらすとのことだ。
一方、HBM4およびHBM4Eメモリ・スタックは2048ビット・インターフェイスを特徴とするため、そのパッケージングは既存のHBM3/HBM3Eのパッケージングよりもかなり複雑になり、そのためSK hynixは非常に高度なパッケージング・ツールを必要とする。また、HBM4/HBM4Eとロジック・プロセッサとのヘテロジニアスな統合にも、高度な装置が必要になる。
新しいHBM施設での大量生産は、暫定的に2028年後半に開始される予定だ。
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