AMDの人気ゲーミングCPU、Ryzen 7 7800X3Dの偽造品が市場に出回っていることが明らかになった。この事態は、オーバークロッカーとして知られるDer8auer氏によって調査され、その驚くべき実態が明らかにされている。
偽造Ryzen 7 7800X3D発見の経緯と外観的特徴
事の発端は、Der8auer氏のファンであるBruceがルーマニアのオンラインマーケットプレイスOLXで購入したRyzen 7 7800X3Dにある。Bruceは通常の欧州小売価格より約100ユーロ安い300ユーロで購入したが、CPUを装着しても起動しないという問題に直面した。
Der8auer氏は、視聴者のこうした被害を取り上げ、他の人がこうした詐欺に引っかかることがないように動画にして共有してくれている。
Der8auer氏によると、今回出回っている偽造品には以下のような外観的特徴があるとのことだ:
- チップの基板の色が本物と異なる(青みがかっており、緑色が足りない)
- 「タコ足」と呼ばれる端子間のキャパシタに、本物にある保護樹脂がない
- PCBの厚さが本物より薄い(偽物:0.964mm、本物:1.308mm)
- CPUローディングメカニズムへのフィット感が甘い
- IHS(統合ヒートスプレッダー)の刻印が本物と異なる
これらの特徴は、肉眼での検査だけでは見分けるのが難しい場合もあり、購入者の注意が必要である。
Der8auer氏がさらに踏み込んだ分析を行ったが、驚くべきか、当然と言うべきか、偽造品の内部構造も本物と大きく異なっており、そもそもチップレットが全く存在しないことが判明したのだ。本来なら64MBの3D V-Cacheを搭載したCCDとIODが存在するはずだが、それらが完全に欠如していた。
興味深いのは、偽造品のIHSがカスタムCNC加工されており、CCDとIODが配置されるべき箇所に盛り上がりがあることだ。これは本物のRyzen 7 7800X3Dには見られない特徴で、偽造者が本物らしく見せるために細部にまでこだわった証拠と言える。
消費者はどう注意すべきか
消費者への警告として、以下の点に注意することが重要だ:
- 信頼できる販売店や正規小売業者から購入する
- 著しく安価な製品には警戒する
- 返品や保証が難しい個人間取引には注意する
- 製品の外観や包装に不自然な点がないか確認する
- 購入後は速やかに動作確認を行う
AMDのRyzen 7 7800X3Dは現在、ゲーミング用CPUとして非常に人気が高く、かかくもこなれてきたこともあり、多くのPCゲーマーが購入を検討している。しかし、この人気に便乗した偽造品の流通は、消費者に大きな損害をもたらす可能性がある。購入を検討している場合は、上記の注意点を十分に確認し、信頼できる販売元から製品を入手することが重要だ。
日本においても、購入する際は日本の正規代理店などでの購入が推奨される。メルカリやラクマなどで個人間取引をする際は、十分注意が必要だろう。また、Temu等の中国サイトでも格安のCPUが出回っている事もあるが、それ相応のリスクがあることを認識した上で、購入する必要があるだろう。
Sources
コメント