AMDが2024年8月19日、大規模AIインフラストラクチャプロバイダーであるZT Systemsを49億ドル(約7,100億円)で買収すると発表した。の戦略的買収により、AMDはデータセンターAIシステムの能力を大幅に拡大し、2027年に4000億ドル規模になると予想されるデータセンターAIアクセラレーター市場でのポジションを強化することが可能になるものと見られる。
AMDはAI事業強化のために買収を続けている
この買収は、AMDがシリコン、ソフトウェア、システムにわたるイノベーションを通じて、リーダーシップのあるAIトレーニングおよび推論ソリューションを提供する能力を大幅に拡大するものである。ZT Systemsは15年以上にわたり、世界最大級のクラウド企業向けに大規模なデータセンターAIコンピューティングおよびストレージインフラストラクチャの設計と導入に携わってきた実績を持つ。この専門知識は、AMDの既存の半導体およびソフトウェア能力を補完するものとなる。
AMDのLisa Su会長兼CEOは、この買収について「ZTは世界クラスのシステム設計とラックスケールソリューションの専門知識を備えており、これによりデータセンターAIシステムと顧客イネーブルメント能力が大幅に強化されます」と述べている。さらに、この買収がAMDのAIハードウェアおよびソフトウェアロードマップを加速させるための投資の延長線上にあることを強調した。
買収取引の詳細としては、現金と株式による49億ドルの評価額に加え、取引完了後の目標達成に基づく最大4億ドルの条件付き支払いが含まれている。AMDは2025年末までにこの取引が非GAAPベースで利益に貢献すると予想している。
この買収により、ZT SystemsはAMDのデータセンターソリューションビジネスグループに統合される。ZT SystemsのCEOであるFrank Zhang氏は製造部門を率い、同社社長のDoug Huang氏は設計および顧客イネーブルメントチームを率いることになる。両者ともAMDのエグゼクティブバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるForrest Norrod氏に報告を行う体制となる。
注目すべき点として、AMDは取引完了後、ZT Systemsの業界をリードする米国ベースのデータセンターインフラストラクチャ製造事業を取得する戦略的パートナーを探す意向を示している。これは、AMDが主にZT Systemsのシステム設計および顧客イネーブルメント能力に注力し、製造部門については別の専門企業に委ねる方針であることを示唆している。
この買収は、AMDが過去12ヶ月間で行ってきたAI能力強化のためのSilo.AI等の買収に連なる投資の最新のものである。AMDは有機的な研究開発活動を増加させることに加え、AMDのAIエコシステムを拡大し、同社のAIソフトウェア能力を強化するために10億ドル以上を投資してきた。
ZT Systemsの買収により、AMDはNVIDIAとの競争において重要な一歩を踏み出したことになる。クラウドおよびエンタープライズ顧客向けのAMD製チップを搭載したAIインフラストラクチャの大規模な展開を加速させることで、AMDは急成長するAIコンピューティング市場でより強力な競争力を持つことが期待される。
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