ドイツの大手PCパーツ販売店Mindfactoryのブラックフライデー週間における販売データが明らかになり、AMDが圧倒的な優位性を示した。マザーボード販売の87.3%をAMDプラットフォームが占め、売上シェアでも86.5%を獲得。この傾向は米国Amazonのランキングにも反映されており、Intelの市場における苦戦が鮮明となっている。
圧倒的な数字で示されたAMDの優位性
Mindfactoryが公開したブラックフライデー週間の販売データは、PCパーツ市場における勢力図の劇的な変化を如実に示している。同期間中、マザーボードの総販売数は4,350枚に達したが、その内訳はAMDプラットフォーム向けが3,800枚を占め、実に87.3%という圧倒的なシェアを獲得した。一方のIntel向けは550枚、率にして12.6%にとどまり、両社の差は歴然としたものとなった。
売上金額ベースでの比較においても、AMDの優位性は明白だ。AMDプラットフォーム向けマザーボードの売上は644,584ドルを記録し、全体の86.5%を占めた。これに対してIntelプラットフォーム向けの売上は100,564ドル、シェアにして13.5%という結果となった。特筆すべきは、Intel製品の平均販売価格(ASP)が183ドルとAMDの170ドルを13ドル上回っていたにもかかわらず、総売上では大きく引き離されている点だ。この事実は、価格プレミアムを持つIntel製品が、数量ベースで著しく後塵を拝していることを浮き彫りにしている。
より詳細に見ると、AMDの成功は最新プラットフォームへの円滑な移行にも表れている。現行のAM5ソケット向けマザーボードは単体で2,730枚を売り上げ、これは旧世代のAM4ソケット向け1,070枚と合わせて、合計3,800枚という印象的な数字を記録した。この販売実績は、消費者がAMDのプラットフォームを積極的に選択していることを示すと同時に、新旧両世代の製品が市場で強い支持を得ていることを証明している。この現象は、AMDのプロセッサが価格性能比で優位性を保ちながら、世代を超えて安定した製品競争力を維持していることを示唆している。
日本においてもAMDの優勢は変わらず、Amazonランキングでは1位から6位まで、全てがAMD向けマザーボードとなっている。
ソケットタイプ別の販売動向
マザーボードの販売動向をCPUソケットタイプ別に分析すると、新旧プラットフォームを通じたAMDの市場支配力と、Intelの世代交代における苦戦が鮮明に浮かび上がってくる。
特に注目すべきは、AMDの最新プラットフォームであるAM5ソケット向けマザーボードの圧倒的な販売数だ。2,730枚という販売実績は、単体で全販売数の約63%を占めており、消費者の最新AMD製品への強い支持を如実に示している。さらに興味深いのは、2年以上前に導入された前世代のAM4ソケット向けマザーボードが1,070枚を売り上げ、依然として強い需要を維持していることだ。この現象は、AMDが新旧プラットフォーム間で優れた価格性能比を実現し、異なる予算層の消費者ニーズに的確に応えていることを示唆している。
一方、Intel陣営の状況はより複雑な様相を呈している。現行のLGA 1700ソケット向けマザーボードの販売数は490枚にとどまり、AM5の約5分の1という厳しい結果となった。さらに注目すべきは、最新のLGA 1851ソケット向けマザーボードの苦戦だ。わずか40枚という販売実績は、新プラットフォームへの移行に苦戦していることを示している。これは、Arrow Lake世代のプロセッサに対する市場の期待値が満たされていないことを示唆する重要な指標といえる。また、LGA 1200ソケット向けの20枚という販売数は、旧世代製品の需要が急速に縮小していることを表している。
PCゲーム市場における影響も見逃せない。Steamのハードウェア調査でAMDのCPUシェアが35.7%という記録的な数字を示していることは、ゲーマー層における製品選択の傾向が大きく変化していることを示している。特にAMD Ryzen 7 9800X3Dの爆発的な人気は、ゲーミング性能を重視する消費者層においてAMDの優位性が確立されつつあることを裏付けている。
Xenospectrum’s Take
今回のデータは、AMDの躍進とIntelの凋落を単なる数字以上の深い意味を持って示している。特に注目すべきは、両社の製品戦略の違いが市場での明確な差となって表れている点だ。AMDは新旧両世代の製品で強い競争力を維持し、幅広い価格帯で消費者の支持を獲得している一方、Intelは新製品Arrow Lakeへの期待が満たされず、市場の信頼を失いつつある。
Pat Gelsingerの退任に象徴されるIntelの混迷は、単なる一時的な躓きを超えて、より本質的な課題を示唆している。半導体業界における技術革新のスピードは増す一方であり、一度失った市場の信頼を取り戻すのは容易ではないだろう。しかし、業界の歴史が教えるように、技術革新の波は予想以上に早く訪れる可能性もある。両社の今後の展開から、目が離せない状況が続くことは間違いない。
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