AMDが次世代Threadripperプロセッサに3D V-Cache技術を搭載する可能性が高まっている。この可能性は、ASUSのWRX90マザーボードのマニュアルに3D V-Cache関連の設定項目が発見されたことから明らかになったが、モンスターCPUが更にパワーアップする可能性を示唆する物であり、業界の注目を集めている。
3D V-Cache搭載の可能性を示す証拠
ASUSのPro WS WRX90E-SAGE SEマザーボードのマニュアルに、3D V-Cacheの制御に関する設定項目が存在することが確認された。現行のThreadripper 7000WXおよび7000Xシリーズには3D V-Cacheが搭載されていないため、この設定項目は将来のプロセッサ世代に向けた準備である可能性が高い。
この情報は、中国のハードウェアリーカーであるZhangzhonghaoによっても確認されており、サプライチェーンからの情報として、3D V-Cache搭載Threadripperの開発が進められていることが報告されている。
技術的な詳細と実装の可能性
BIOSの設定項目には「スタック」に関する記述が含まれており、これは以下の2つの実装方法を示唆している:
- 複数のCCD(Core Complex Die)上での3D V-Cacheの選択的無効化
- 単一CCD上への複数のキャッシュダイのスタッキング
ただし、後者の実装は製造コストの観点から現実的ではないとの見方が強い。現在のEPYC Genoa-Xプロセッサでは、最大96コア/192スレッド、1,152MBのL3キャッシュを実現しており、Threadripperでも同様の技術が採用される可能性がある。
市場投入時期と展望
次世代Threadripper 9000シリーズ(開発コードネーム:Shimada Peak)は、2025年の登場が予想されている。これは、現行のThreadripper 7000シリーズ(Storm Peak)が、EPYC Genoaの約1年後に発売されたパターンに基づいている。
出荷マニフェストによれば、Zen 5マイクロアーキテクチャを採用した96コア搭載のSKUの存在も確認されており、これが次世代Threadripperのフラグシップモデルとなる可能性が高い。
Xenospectrum’s Take
3D V-CacheのThreadripper搭載は、AMDのハイエンドデスクトップ市場における競争力を大幅に強化する可能性がある。特に、大規模なキャッシュメモリを必要とするプロフェッショナルワークロードでの性能向上が期待される。
ただし、この機能がBIOSに実装されているからといって、必ずしも製品化されるとは限らない点には注意が必要である。ASUSのマザーボードにこの設定が存在する理由として、EPYCプラットフォームのコードベースが流用された可能性も指摘されている。
今後の展開として、11月7日に発売予定のRyzen 7 9800X3Dの市場での評価が、ThreadripperへのX3D技術採用の判断材料となる可能性も考えられる。
Sources
- Asus WRX 90 Manual [PDF]
- via VideoCardz: ASUS WRX90 motherboard manual hints at 3D V-Cache for Threadripper CPUs
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