Appleが次世代チップ「M5」の量産を開始したことがETNewsによって報じられている。M5は、パフォーマンスと電力効率が向上したTSMCの3nmプロセス「N3P」を採用し、AI機能を大幅に強化。新型iPad Pro、新型MacBook Proなどに搭載される見込みだ。
TSMCの最新3nmプロセス「N3P」を採用、AI性能を強化
韓国のETNewsは業界関係者から得た情報として、AppleがM5チップのパッケージング工程を先月から開始したと報じている。パッケージングはチップ製造の最終段階であり、量産開始を示す重要な指標だ。初期生産は標準モデルのM5チップに集中しており、その後M5 Pro、Max、Ultraといった高性能版の量産も予定されている。
M5は、TSMCの最新3nmプロセス「N3P」で製造される最初のチップとなる可能性が高い。N3Pは、前世代のN3Eと比較して、電力効率が最大10%向上、パフォーマンスが5%向上するとされている。特に、電力効率の向上は、バッテリー駆動時間の延長やデバイスの小型化に貢献する可能性がある。
注目すべきは、M5がAI機能を大幅に強化する点だ。より高性能なNeural Engineを搭載し、デバイス上で高度な生成AI機能を実行できるようになるという。
M5チップは、まず新型iPad Proに搭載される見込みだ。発売時期は2025年後半から2026年前半と予測されている。その後、14インチ/16インチMacBook Proの新モデルにも採用されると報じられている。
チップ設計に革新、SoIC-mHパッケージング技術を採用
M5チップでは、チップ設計にも大きな変更が加えられる。特に注目されるのが、TSMCの「SoIC-mH(System-in-Integrated-Chips-Molding-Horizontal)」と呼ばれる最新のチップパッケージングプロセスだ。
SoIC-mHは、半導体チップを垂直に積層することで、熱管理を改善し、電流リークを減らし、電気的性能を向上させる。これにより、特に薄型デザインが維持されると予想されるiPad Proにおいて、M5チップの性能を最大限に引き出すことができる。
また、M5 Pro以上のモデルでは、CPUとGPUを分離するマルチチップレット設計が採用される可能性も指摘されている。これにより、歩留まりの向上が期待できそうだ。
さらに、フェムト秒レーザー技術が初めてM5チップの切断(グルービング)に適用される。これにより、半導体の損傷と汚染を最小限に抑え、品質と歩留まりを向上させることが可能になるとのことだ。
XenoSpectrum’s Take
AppleのM5チップ量産開始のニュースは、同社が半導体開発において、性能向上だけでなく、AI機能の強化と革新的なパッケージング技術の採用に注力していることを示している。
特に、SoIC-mHパッケージング技術の採用は、今後のApple製品の設計に大きな影響を与える可能性がある。より薄く、高性能なデバイスの実現に貢献するだけでなく、将来的には、より複雑なチップ設計への道を開くことになるだろう。
M5チップは、Appleのデバイスの性能を新たなレベルに引き上げるだけでなく、AIを中心としたユーザーエクスペリエンスの進化を加速させる重要な役割を担うことになる。今後の製品展開に注目したい。
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