Cerebras SystemsとPerplexity AIが提携し、超高速AI検索エンジン「Sonar」を発表した。専用設計チップによる驚異的なスピードで、巨大検索市場の変革を目指す。
光速のAI検索「Sonar」誕生
Cerebras SystemsとPerplexity AIは提携し、AIを活用した超高速検索エンジン「Sonar」を発表した。これは、既存の検索エンジンの常識を覆す、ほぼ瞬時の検索結果を提供する画期的な試みとなっている。Perplexity AIの新しい「Sonar」モデルは、Cerebras SystemsのAI推論インフラ上で稼働し、1秒あたり1200トークンという驚異的な速度を実現した。これは、Googleの最新モデルGemini 2.0 Flashの140トークン、AnthropicのClaude 3.5 Sonnetの75トークンを遙かに上回る速度であり、文字通り“桁違い”の速度を実現している。

Metaの「Llama 3.3 70B」を基盤とする「Sonar」は、高速であればユーザーがAIファーストな検索体験を受け入れると見込んで開発されたものだ。
Perplexity AIのCTOであるDenis Yarats氏は、「Cerebrasとのパートナーシップは、Sonarの実現に不可欠でした。Cerebrasの最先端AI推論インフラストラクチャにより、前例のない速度と効率を達成できました」と述べている。
AI検索の新たな戦場
Cerebrasはこの発表に先立ち、GPUベースの従来型ソリューションより57倍高速なDeepSeek実装を公開しており、この勢いを背景に、高速AI推論の主要プロバイダーとしての地位確立を目指しているようだ。
Perplexity AIの社内テストによると、「Sonar」はユーザー満足度において「GPT-4o mini」や「Claude 3.5 Haiku」を大幅に上回り、「Claude 3.5 Sonnet」などのより高価なモデルにも匹敵する性能を示している。事実性評価では、「Sonar」が100点満点中85.1点を獲得したのに対し、「GPT-4o」は83.9点、「Claude 3.5 Sonnet」は75.8点だった。

専門ハードウェアがもたらす競争優位性
この提携は、AI企業が専門ハードウェアを通じて競争優位性を追求するトレンドを反映している。CerebrasのCEOであるAndrew Feldman氏は、ZDNETのインタビューに対し、「コンピューティングが安価になるたびに、市場は縮小すると想定されてきましたが、実際には常に市場は拡大してきました」と述べており、AI市場はまさにジェボンズのパラドックスそのものの状況にある。
この提携は従来の検索プロバイダーや他のAI企業にハードウェア戦略の見直しを迫る可能性もりそうだ。ほぼ瞬時の結果を提供する能力は、スピードと正確性が生産性に直結する企業顧客にとって特に魅力的と言える。
しかし、専用AIチップのスケーラビリティとコスト効率については疑問も残る。Cerebrasは印象的な速度と優位性を示したが、顧客に性能優位性が潜在的なプレミアム価格を正当化すると納得させる必要があるだろう。
Perplexity AIは、「Sonar」を当初Proユーザー向けに提供し、その後一般提供を予定している。
Sources
- Perplexity: Meet new Sonar: A Blazing Fast Model Optimized for Perplexity Search
- Cerebras: Cerebras Powers Perplexity Sonar with Industry’s Fastest AI Inference
CerebrasとPerplexity AIが超高速AI検索「Sonar」発表。専門チップで検索速度10倍、Google対抗へ。AI検索の未来を拓くか?
コメント