AIアクセラレータ市場で圧倒的地位を占めるNVIDIAは、ディスクリートGPU市場でも支配的な地位を更に強化していることが明らかになった。
パンデミック前の予測可能な季節性が戻ってきた
市場調査会社Jon Peddie Researchの最新の調査によると、2024年第1四半期のデスクトップ向けAIB(アドインボード)の出荷数は、前四半期と比較して7.9%減少したことが明らかになった。この出荷数減自体は予想された動きであり、前年同期比では39.2%の増と言う事で、市場全体としては大幅な回復を示している。この傾向自体は、パンデミック後の混乱を経て、予測可能な通常の季節性に戻りつつあるために良い傾向であると、Jon Peddie Researchの社長であるJon Peddie博士は以下の様に述べている:
「我々と業界は、何十年にもわたってPC業界の特徴であった季節性の復帰を望んでいました。2007-2008年の不況でこれが崩れ、仮想通貨ブームが訪れ、次にCovidが来て、その後ウクライナ戦争が続き、安定性はほとんど記憶の片隅に追いやられたようでした。2023年には歓迎すべき成長が四半期ごとに見られ、2024年第1四半期が少し減少しても誰も慌てなかった。それは季節性の復帰を示しているように見えたからです。第1四半期は常に横ばいから減少傾向にあった。したがって、伝統的な四半期である2024年第2四半期も減少すると予想されます。しかし、すべてのベンダーは成長四半期を予測しており、主にハイパースケーラーにおけるAIトレーニングシステムによって駆動されています。AIトレーナーはGPUを使用するため、これに対する需要がゲームセグメントからの部品を奪う可能性があります。したがって、第2四半期にはゲームAIBの結果は横ばいから低調になり、AIトレーナーGPUの出荷が再び増加すると予想されます。新しい正常性は、もはや正常性がないのです」。
Jon Peddie Researchの社長 Jon Peddie博士
市場シェアについては、前四半期でシェアを伸ばしたAMDが再びシェアを落とし、Intelはチャート上は0%(1%未満)となり、NVIDIAが大きくシェアを伸ばしている。
AMDは前年同期比と同じレベルに落ち着いたが、出荷数自体は前年同期比39%増となり素晴らしい1年となったという。NVIDIAも同時に前年同期比45.6%増の大きな出荷数の伸びを記録しているようだ。
Intelが不調な原因としては、2023年を通して新たなGPUのリリースがなかったことが原因とみられる。Intelは今年Battlemage GPUをリリースすると見られており、これは少なからずシェア拡大に繋がる事だろう。
JPRはAIトレーニング需要がゲームセグメントからパーツを奪う可能性があり、ゲーム用グラフィックボードの出荷に影響を与え、売上が落ちることが予想されるが、反面AI向けGPUの出荷が増加することで市場全体としては2024年第2四半期は好調な結果になると予想している。
今年後半には、NVIDIA、AMD、Intelがそれぞれ、新しいコンシューマー向けグラフィックボードの発売を予定している。正確な発売日はまだ不明だが、NVIDIAはエンスージアストクラスの「Blackwell」RTX 5000 GPUシリーズの発売を準備しており、まずはRTX 5080、RTX 5090が登場すると見られている。AMDはミッドレンジのRDNA4製品の出荷を予定しており、Intelは2年目のArc Battlemageアーキテクチャを発表する予定だ。
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