Computer Useとは、AIモデルがスクリーンショットなどを通じて画面の内容を視覚的に認識し、人間と同様にマウスのクリックやドラッグ、キーボード入力を直接実行する機能を指す。従来のAPI連携やプラグイン形式のツール利用とは異なり、既存のソフトウェアやウェブサイトをそのまま操作対象にできる点が特徴で、AIエージェントが自律的にコンピュータ上のタスクを遂行するための基盤技術として位置づけられている。
概要
Computer Useは、AIが画面のピクセル情報やUI要素を解析し、対応する座標にカーソルを移動させたりテキストを入力したりする一連の操作を自動生成する仕組みである。これにより、専用APIが用意されていないアプリケーションやウェブサービスに対しても、人間の操作を模倣する形でAIが介入できるようになる。ブラウザ操作やデスクトップアプリケーションの操作、フォーム入力、ファイル管理など幅広い用途が想定されており、AIエージェントの実用性を大きく左右する要素技術とされる。
技術的位置づけ
この機能は、テキスト生成のみを担う従来の大規模言語モデルから、実際にコンピュータ環境で行動を起こす「エージェント型AI」への転換を支える中核要素である。視覚認識モデルと行動計画・実行モデルを組み合わせることで、人間の監督を最小限に抑えながら複数ステップのタスクを完遂できる点が評価されている。一方で、誤操作によるデータ破損やセキュリティリスクも指摘されており、実行前の確認フローや権限制御の設計が実装上の課題となっている。
主要な動向
2026年4月には、OpenAIのAIエージェント「Operator」が推論モデルo3を搭載し、従来のGPT-4o基盤からの性能向上が報じられた。同月、Anthropicは「Claude Sonnet 4.6」を発表し、エージェント運用コストの低下と高性能モデルの普及を同時に進める動きを示した。また、Googleは同社のAIモデルAnthropicへの投資額を約30億ドルへ拡大し、企業価値600億ドルとされるAnthropicとの関係を強化した。
2026年5月には、GoogleがAndroidを「インテリジェンスシステム」へ転換する「Gemini Intelligence」を発表し、アプリを横断したタスク自動化などComputer Useに近い操作性をスマートフォン領域に持ち込む方針を示した。2026年6月には、OpenAIがコード記述支援ツールであったCodexを、バックグラウンドでのアプリ操作や画像生成、記憶・自動化機能を統合した「OS全体を自律操作するエージェント」へと刷新し、Claude Codeへの対抗軸として位置づけた。同月、中国の国家発展改革委員会がMetaによるAIエージェント開発企業Manusの買収を禁止する措置を取ったことも報じられ、Computer Useを含むAIエージェント技術の獲得競争が地政学的な緊張を伴う段階に入っていることが示された。