Intelが、AMDの「Strix Halo」に対抗する新たな高性能モバイルプロセッサ「Arrow Lake Halo」を開発中であることが明らかになった。この新プロセッサは、大型の内蔵GPUを搭載し、ゲーミングウルトラポータブルや次世代ゲーム機向けの市場を狙うものとされている。
Arrow Lake Haloの特徴と技術詳細
Intelが次世代のハイエンドモバイルプロセッサ「Arrow Lake Halo」の新たな情報は、最近見つかった出荷明細から明らかになった。
このプロセッサは、高性能CPUとGPUを1つのパッケージに統合した設計となっており、AMDの「Strix Halo」やAppleのM系列チップに対抗する製品のようだ。
Arrow Lake Haloの噂が出るのは今回が初めてではないが、2年前に噂が出て以来、その後は余り情報が出回っていなかった。今回は久しぶりにその存在が確認出来、まだ開発が続けられていることが明らかになった形だ。
Arrow Lake Haloは、従来のモバイルプロセッサとは一線を画す特徴を持つ。主な特徴として以下が挙げられる:
- 強化された内蔵GPU: Arrow Lake Haloは、次世代ArcディスクリートGPUに使用予定のXe2「Battlemage」グラフィックスアーキテクチャをベースとした大型iGPUを搭載する。これにより、高性能なグラフィックス処理能力を実現し、AMDのRDNA 3.5アーキテクチャと競合することが期待される。
- ハイブリッドCPUアーキテクチャ: CPUコア構成は、高性能な「Lion Cove」Pコアと効率重視の「Skymont」Eコアクラスターの組み合わせとなる。初期の噂では6個のPコアと8個のEコアを搭載するとされていたが、最新の情報ではさらに多くのコアを搭載する可能性が示唆されている。
- 拡張されたメモリインターフェース: 高性能iGPUとCPUの帯域幅需要に対応するため、Arrow Lake Haloは256ビット幅のLPDDR5/xメモリインターフェースを採用する可能性がある。これは通常のArrow Lakeモバイルチップの128ビット幅インターフェースの2倍となる。
- 複数タイルアーキテクチャ: 初期の計画では、CPU、GPU、SOC、IO、L4キャッシュの5つのタイルで構成される設計が検討されていた。特に注目すべきは、GPUパフォーマンスを向上させるための専用Adamantine L4キャッシュの存在だ。
- 製造プロセス: Arrow Lake HaloはTSMCのN3プロセスノードで製造される予定であり、最新の製造技術を活用して高性能と電力効率を両立させることが期待される。
これらの特徴により、Arrow Lake Haloは単なるモバイルプロセッサを超えた存在となり、ゲーミングウルトラポータブルやハンドヘルドゲーム機、さらには据置型ゲーム機にも応用できる可能性を秘めている。
Intelの狙いは、AMDのStrix Haloに対抗しつつ、Appleの14インチラップトップセグメントもターゲットに定めているようだ。Arrow Lake Haloの性能目標は、1440p解像度のゲーミング、あるいはFSR 3技術を活用した4K解像度のゲーミング体験を提供することとされている。
しかし、開発の道のりは平坦ではない。当初2023年後半に生産開始予定だったArrow Lake Haloだが、現在の状況は不透明である。Intelの過去の大型iGPU搭載プロセッサの試みである「Kaby Lake-G」の経験を踏まえつつ、市場ニーズに合わせた製品開発を進めているものと考えられる。
最新の出荷明細によると、Arrow Lake Haloのサンプルが「エンスージアストモバイルワークステーション」向けとして出荷されたことが確認されている。これは、Intelが高性能モバイル市場での競争力強化に本腰を入れていることを示す物と言えるだろう。
Arrow Lake Haloの正確な発売時期は未定だが、AMDのStrix Haloの予想発売時期である2025年初頭頃に合わせて登場する可能性が高い。両社の激しい競争は、ユーザーにとってより高性能で多様な選択肢をもたらすことが期待される。
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