Appleの折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」について、テクノロジージャーナリストのJoanna Stern氏が3万回以上の開閉試験を実施し、その結果を2026年10月21日に公開した。試験後もヒンジの手応えはほぼ初日と変わらなかったという。Appleが9月に公表した耐久設計の説明に、実機を使った検証結果が加わった形だ。一方、翌22日にはディスプレイの折り目付近が指の圧力で変形するとの報道も出ている。ヒンジが繰り返しの開閉に耐えられることと、画面が局所的な圧力にどこまで耐えられるかは別の問題であり、iPhone Duoの耐久性を評価するには、それぞれの試験条件と結果を区別する必要がある。

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3万2640回の開閉試験でもヒンジの感触はほぼ変わらず

 

Joanna Stern氏は、自身のメディア「The New Things」で公開したiPhone Duoのレビューで、特製の装置を使って3万2000回以上の開閉試験を実施したことを明らかにした。レビュー用の実機を装置に取り付け、就寝中も自動で開閉を繰り返すという方法だ。記事の公開部分から試験の概要は確認できるが、詳しい検証内容は有料記事に掲載されている。

記事から引用された説明によると、試験は4晩にわたり、開閉回数は合計3万2640回に達した。Stern氏は試験の前後で、ヒンジを開くために必要な力を校正済みの測定器で比較している。測定結果では開くために必要な力がわずかに増えていたものの、日常的に使う際の手応えについては「初日とほとんど同じ感触だった」と評価した。少なくとも今回の試験条件では、3万回を超える開閉によってヒンジが明らかに緩むような変化は報告されなかったことになる。

ただし、試験装置は毎回iPhone Duoを完全に閉じ切っていたわけではない。この点は、端末を完全に閉じてポケットに入れ、しばらくしてから再び開くといった実際の使い方との違いになる。また、短期間に連続して開閉する試験では、長期間の使用に伴う摩耗や経年変化をすべて再現できるわけではない。そのため、3万2640回という結果をそのまま日常使用の年数に換算することは難しい。

今回の検証で確認されたのは、特定の条件で開閉を繰り返した後も、ヒンジの操作感がほぼ維持されていたという点だ。故障するまで開閉を続けて製品寿命を測定した試験ではなく、市販される端末全体の故障率を示すものでもない。それでも、Appleが説明してきたヒンジの設計について、実機の反復動作による検証結果が得られたことには意味がある。

Appleが採用した折り目を目立たなくする画面構造

Appleが9月9日に発表したiPhone Duoの仕様によると、同製品は内側に7.6インチ、外側に5.4インチのディスプレイを搭載している。内側のディスプレイにはNano-texture仕上げが採用され、光の反射や映り込みを抑えることで、画面中央の折り目を目立ちにくくしている。ただし、これは折り目の視認性を抑える技術であり、ディスプレイ中央の構造的な凹凸そのものが完全になくなったという意味ではない。

折り目を目立たなくするためには、ディスプレイの表面処理だけでなく、ヒンジによる支持も重要になる。Appleによると、iPhone Duoのヒンジは100以上の部品で構成され、開閉動作を制御するとともに、端末を開いた際にディスプレイ中央を平らに保つ役割を担う。画面表面で光の反射を抑えながら、内部の機構で折り曲がる部分を支える設計だ。

ディスプレイ自体にも、繰り返しの折り曲げに対応するための工夫が施されている。Appleは、折り曲がるパネルの上下に高強度ガラスを配置し、専用の接着剤によって各層が本のページのように滑り合う構造を採用したと説明している。折り曲げた際に各層へかかる力を分散させ、特定の部分に負荷が集中するのを抑える狙いがある。さらに、表面は傷を抑えるコーティングとポリマー製のカバー層で保護され、ディスプレイの下にはチタン製プレートが配置されている。

つまり、硬い一枚の板をそのまま折り曲げるのではなく、複数の層がそれぞれ動けるようにすることで、折り曲げによる負荷を抑える仕組みだ。ただし、こうした設計が主に想定しているのは開閉時に生じる力であり、画面表面の一点を指で押した際の強度まで保証するものではない。折り曲げに対する耐久性と、局所的な圧力に対する耐性は分けて評価する必要がある。

実際、HotHardwareが10月22日に報じた内容では、ディスプレイの折り目付近を指でなぞると、比較的弱い圧力でも表面が変形する様子が紹介されている。同媒体はWeiboに投稿された動画を取り上げているが、元動画は認証ページのため直接確認できず、実際にどの程度の力が加えられたのかは不明だ。また、指を離した後に変形が元に戻ったのか、それとも痕跡が残ったのかも確認できていない。したがって、この報道だけでディスプレイに恒久的な損傷が生じたと判断することはできず、特定の材料や構造に問題があると断定する根拠も不足している。

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ヒンジの耐久性と画面の強度は別の評価項目

今回の情報を整理するうえで重要なのは、ヒンジの開閉試験、折り目の見え方、画面を押した際の変形が、それぞれ異なる特性を測っていることだ。Stern氏の試験は、開閉を繰り返した後のヒンジの操作感に注目したものだった。一方、AppleのNano-texture仕上げは主に光の反射を抑える技術であり、HotHardwareが紹介した動画は局所的な圧力に対する画面の変形を扱っている。これらの情報を同じ耐久性試験の結果として比較することは適切ではない。

各情報から確認できる内容と、まだ判断できない点を整理すると、以下のようになる。

評価項目 現時点で確認できる内容 まだ判断できないこと
ヒンジの耐久性 3万2640回の開閉試験後も、日常使用での操作感はほぼ変わらなかったという報告 完全に閉じる動作を含む長期使用での耐久性や製品寿命
折り目の見え方 Appleは反射を抑える表面処理と、画面中央を支える構造を採用 長期間の使用後も、同じ照明や角度で折り目が目立たないか
画面への押し込み耐性 指で折り目付近をなぞった際に表面が変形したとの報道 加えられた力の大きさ、変形の回復性、恒久的な損傷の有無

この表は、Appleの公式な設計説明、Stern氏による実機レビュー、HotHardwareが紹介した動画の報道を、評価対象ごとに整理したものだ。それぞれの試験結果に優劣を付けるものではなく、現時点の情報から何が分かり、何が分からないのかを区別している。

この違いを踏まえれば、ヒンジの開閉試験で明らかな緩みが報告されなかったことと、ディスプレイを押した際の変形に懸念が示されていることは矛盾しない。ヒンジが繰り返しの動作に耐えたからといって、画面全体の強度まで保証されるわけではない。一方、画面の一部が圧力で変形する様子が確認されたとしても、それだけでヒンジの耐久性に問題があるとはいえない。また、折り目についても、触れた際に感じる凹凸と、光の当たり方によって見える線の目立ちやすさは異なるため、それぞれを分けて評価する必要がある。

今後の検証では完全に閉じる動作と画面の変化が焦点に

今回の開閉試験で装置が端末を完全には閉じ切っていなかったことは、今後の検証で注目すべき点の一つだ。完全に閉じた状態を含む開閉を繰り返し、試験前後でヒンジを動かすために必要な力を同じ方法で測定すれば、より実際の使用条件に近い評価が可能になる。また、単に開閉回数を増やすだけでなく、一回の動作でどこまで開閉しているのか、どの程度の速度で動かしているのかを明らかにすることも重要だ。試験条件がそろっていなければ、異なる検証結果を回数だけで比較することは難しい。

ディスプレイについても、折り目の見え方と物理的な変形を分けて検証する必要がある。折り目の視認性を比較するなら、照明条件や観察角度を固定し、使用前後の状態を記録する方法が考えられる。また、押し込みに対する耐性を調べる場合は、力を加える位置と荷重を一定にし、圧力を取り除いた後に画面が元の状態へ戻るかどうかまで確認することが重要だ。こうした試験によって、光の反射による見え方の違い、一時的な変形、恒久的な損傷を区別できるようになる。

Appleが9月に公表した設計説明では、製品寿命に相当する開閉回数の保証値は示されていない。今回のStern氏の検証は、3万回を超える反復動作でもヒンジの操作感がほぼ維持されたという興味深い結果だが、長期的な耐久性を結論付けるには十分ではない。10月23日の発売以降は、完全に閉じる動作を含む開閉試験や、画面の折り目・表面状態を継続的に比較する実機検証が重要になるだろう。そうしたデータが蓄積されれば、購入者も開閉回数という数字だけに頼らず、自分の使い方に近い条件でiPhone Duoの耐久性を判断できるようになる。