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Microsoft Edgeから多くの機能が削除されることが判明: 画像編集、VSR、ウォレットなど主要機能が5月にも廃止へ

Y Kobayashi

2025年5月14日11:41AM

Microsoft Edgeブラウザに大きな変化が訪れようとしている。同社が公開したBetaチャンネル向けのリリースノートで、これまでEdgeの特色とも言える複数の機能が「廃止予定」としてリストアップされたのだ。対象となるのは、画像編集機能や動画超解像(VSR)、ウォレットハブなど、ユーザーにとって利便性の高かった機能も含まれており、一部ユーザーにとっては残念なお知らせとなりそうだ。

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Microsoft Edgeから消えゆく主要機能たち

Microsoftが明らかにしたところによると、以下の機能が2025年5月中旬から下旬にかけて廃止され、削除される予定である。これらはEdgeバージョン137のリリースに伴うものと考えられる。

  • 画像編集ツール (Image Editor): ブラウザ上で直接画像のトリミングやフィルター加工などができた便利な機能であり、別途画像編集ソフトを起動する手間が省けると好評だった。
  • 画像ホバーメニュー (Image Hovers menu): 画像にマウスポインタを合わせると表示され、関連画像の検索などが可能だった。
  • ミニメニュー (Mini menu): テキスト選択時などに表示される小さなコンテキストメニューで、コピーや検索といった操作を素早く行えた。
  • 動画超解像 (Video super resolution – VSR): 低解像度のオンライン動画をAI技術でアップスケールし、より鮮明に表示する機能。特にNVIDIAやAMDの一部のGPUで利用可能だった。
  • ウォレットハブ (Wallet Hub): クレジットカード情報や個人情報を一元管理し、オンラインショッピング時の入力を補助する機能。

これらの機能廃止は、一部ユーザーにとっては作業効率の低下に繋がる可能性も否定できない。特に画像編集ツールや動画超解像は、Edgeならではの付加価値として評価されていた機能だけに、今回の決定を残念に思うユーザーも少なくないであろう。

なぜMicrosoftはこれらの機能を削除するのか? – 「合理化」の先に目指すもの

Microsoftは公式リリースノートの中で、ウォレットハブの変更について「Microsoft Edge内での合理化されたエクスペリエンスをサポートするため」と説明している。この「合理化」という言葉が、今回の一連の機能廃止を読み解く上でのキーワードとなりそうだ。

近年のブラウザ開発競争は激化しており、各社とも速度、セキュリティ、そして独自機能の追加に凌ぎを削っている。しかし、機能が追加され続ければ、ブラウザ自体が重くなり、動作が不安定になるリスクも高まる。Microsoftとしては、Edgeのコアとなるブラウジング体験の向上と、リソースの選択と集中を進めたいという思惑があるのかもしれない。

また、同社が強力に推進しているAIアシスタント「Copilot」への機能集約という側面も考えられる。Copilotは既にEdgeのサイドバーに統合され、ページ要約やコンテンツ生成など多岐にわたる機能を提供している。将来的には、今回廃止される機能の一部が、形を変えてCopilot経由で提供される可能性もゼロではないだろう。

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ウォレットハブはどこへ? 支払情報の管理はどう変わる?

リリースノートによれば、ウォレットハブは廃止され、その機能は「パスワード/個人情報/支払い管理機能」として新たなエントリーに統合されるとのことである。具体的には、Edgeバージョン137の「設定」からウォレットのエントリーが削除され、代わりにこれらの情報を管理するための新しい項目が追加される予定だ。さらに、個人情報管理のための新しいデザインも導入されるとしている。

これは、より統合的で分かりやすい情報管理体系への移行と捉えることができる。ユーザーにとっては、設定画面の構成が多少変わるものの、基本的な支払い情報の自動入力といった利便性は維持される可能性が高いであろう。ただし、この変更も「制御された機能ロールアウト」とされており、全てのユーザーに一斉に提供されるわけではない点に注意が必要である。

一方で強化される機能も – Edge 137の注目新機能

多くの機能が廃止される一方で、Edge 137では既存機能の強化や新機能の追加も予定されている。

  • ピクチャーインピクチャー (PiP) プレーヤーの強化: 動画を小さなウィンドウで表示し、他の作業をしながら視聴できるPiP機能が進化する。再生、一時停止、早送り、巻き戻し、プログレスバーからのシークといった操作がPiPウィンドウから直接行えるようになる。
  • Microsoft 365 Copilot Business Chat連携強化: Edge for Businessユーザー向けに、Copilotがさらに進化する。Workタブにおいて、表示しているページの要約や文脈に基づいた質問が可能になる。また、関連性の高い質問を提案する機能も追加される。ただし、この機能の利用にはMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要だ。
  • ページ内検索とCopilot Chatの連携: Edge for Businessにおいて、従来のCtrl+Fによるページ内検索機能がMicrosoft 365 Copilot Chatと統合される。これにより、関連コンテンツの発見がより容易になり、時間短縮に貢献することが期待される。
  • PDFのテキスト追加機能における多言語サポート: Edge内蔵のAdobe Acrobat搭載PDFリーダーで、テキスト追加機能が英語以外の言語にも対応する。

これらの変更点からは、特にビジネスユーザー向けのCopilot連携強化と、一般的な利便性向上を目指す姿勢がうかがえる。

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Mutation Eventポリシーの変更について

開発者向けの情報として、Mutation Eventポリシーに関する重要な変更がある。Mutation EventのサポートはEdgeバージョン127で既に削除されていたが、MutationEventsEnabledポリシーによって一時的に古いイベントを利用し続けることが可能であった。しかし、Edgeバージョン137ではこのMutationEventsEnabledポリシーが廃止され、機能しなくなる。代替として、MutationObserver APIの使用が推奨されている。

今後のEdgeとの付き合い方

今回の機能廃止の発表を受けて、ユーザーはまず、自身が利用している機能が対象に含まれていないか確認することが重要だ。もし廃止対象の機能に依存しているのであれば、代替手段を検討する必要があるだろう。

例えば、動画超解像(VSR)を利用していたユーザーは、NVIDIAのRTX Video EnhancementやAMDのRadeon Super ResolutionといったGPUメーカー提供の類似機能、あるいは「Lossless Scaling」のようなサードパーティ製ソフトウェアの利用を検討できる。画像編集機能については、OS標準のペイントソフトやオンラインの画像編集ツールなどが代替となり得る。

Microsoft Edgeは、Chromiumベースのブラウザとして登場以来、独自の機能追加で差別化を図ってきた。今回の「合理化」が、Edgeの今後の進化にとってどのような意味を持つのか、引き続き注目していく必要がある。ブラウザの軽量化や安定性向上に繋がるのであれば、長期的にはユーザーにとってメリットとなる可能性もあるかも知れない。


Sources

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