AMDやIntel、Meta、Microsoft、Googleなど9社のテクノロジー大手が、AI向けの新しい高速相互接続規格「Ultra Accelerator Link(UALink)」の標準化を目指すコンソーシアムを正式に設立したことを発表した。同規格は、データセンターにおけるAIアクセラレーター間の高速・低遅延通信を実現する次世代標準を目指している。
200Gbpsの高速通信を実現する次世代規格
UALinkの技術仕様1.0では、1レーンあたり最大200Gbpsの高速通信が可能となる。これにより、最大1,024基のAIアクセラレーターを単一のAIポッド内で接続できる設計となっている。この仕様は2024年内にコンソーシアムメンバーに公開され、2025年第1四半期には一般レビューが開始される予定である。
UALinkコンソーシアムのKurtis Bowman会長は、「2025年第1四半期のUALink 1.0仕様のリリースは重要なマイルストーンとなる。これにより、AIアクセラレーターとスイッチがより効果的に通信を行い、大規模AIモデルのメモリーアクセス要件を満たすことが可能となる」と述べている。
NVIDIAのNVLinkに対抗する業界標準を目指す
本規格は、現在データセンターAI市場で支配的な地位を占めるNVIDIAの独自規格「NVLink」に対抗する形となる。コンソーシアムボードメンバーには、クラウドサービスプロバイダー、システムOEM、IPプロバイダー、シリコンプロバイダー、ソフトウェア企業など、幅広い業界の専門家が名を連ねている。
また、同コンソーシアムは新たなコントリビューターメンバーの募集を開始。Willie Nelson会長は「私たちのミッションである、AIワークロード向けのオープンで高性能なアクセラレーター相互接続の確立をサポートするため、関心のある企業の参加を歓迎する」とコメントしている。
Xenospectrum’s Take
本規格の登場は、AIインフラ市場に大きな影響を与える可能性が高い。特筆すべきは、Ultra Ethernet規格との連携である。UALinkがサーバー内やポッド内の通信を担い、Ultra Ethernetが上位レベルのスケーリングを担うという補完的な関係が想定されている。
両規格とも2025年第1四半期のリリースを予定しており、業界大手の幅広いサポートを受けていることから、オープンな標準規格としての成功が期待される。特にAMDが既にUltra Ethernet対応の400GbEカードを発表するなど、具体的な製品展開も始まっている。NVIDIAは独自規格の展開を継続すると予想されるが、業界標準の確立により、AI向けデータセンターインフラの選択肢が広がることは間違いないだろう。
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