IntelのRaptor Lake世代プロセッサ(第13世代及び第14世代Core)は不具合が報じられており、同社としては早々に次世代のArrow Lake-Sに切り替えたいところだろうが、その期待の新製品の発売時期が当初予想より遅れる可能性が浮上してきた。複数の信頼できる情報筋によると、当初10月と噂されていた発売時期が12月にずれ込む可能性があると言う。この遅延は、ライバルであるAMDを利する形となり、近く登場するZen 5「Ryzen 9000」シリーズがハイエンド市場でシェアを確保する可能性に繋がりそうだ。
IntelのArrow Lake-Sでの技術的に大きな飛躍が足かせに?
この遅延情報は、ソーシャルメディア上で複数のテクノロジー関連リーカー、HXL氏とJaykihn氏によって報告された。
今回の遅延はHXL氏によってもたらされた。この情報源は明かされていないが、同氏は過去にも信頼性の高いリークを行ってきた人物として知られている。同氏によれば、Arrow Lake-Sの発売は、12月にずれ込む可能性があるとの事だ。
HXL氏の主張は、これに先立つJaykihn氏による、Arrow Lake-SのQS(Quality Sample)版が2024年の第40週(9月下旬から10月上旬)に出荷されるという情報が裏付けてくれると述べている。
一方、JaykihnはArrow Lake-Sの発売時期について10月という従来の予想を支持している。これらの情報をWccftechが取り上げ、業界内で話題となった。
通常、QS版から製品の実際の出荷までには3〜4ヶ月かかることを考えると、12月の発売は妥当なスケジュールと言える。しかし、この遅延がIntelにとって不利に働く可能性がある。
Arrow Lake-Sは、Intelにとって重要な技術的転換点となるプロセッサだ。10nmから実質的に2nmへの大幅な製造プロセスの微細化や、デスクトップ向けとしては初のタイル型アーキテクチャの採用など、多くの新技術が盛り込まれている。新技術への対応に時間がかかっている可能性がありそうだ。
一方、AMDは今月中にZen 5アーキテクチャを採用した4つの新型CPUを発表予定だ。しかし、対応するX870マザーボードの準備が整っていない可能性や、3D V-Cacheバージョンの発表を待つユーザーも多いことから、AMDにとっても完全な勝利とは言えない状況だ。だが、AMDはRyzen 9000の3D V-Cacheバージョンを9月にも発売する可能性も報告されており、Intelの遅延によってはAMDが大きくシェアを伸ばすことにも繋がるかも知れない。
Intelは公式には2024年中の発売としか言及していないが、年内発売を目指していることは間違いない。しかし、同社が昨年のMeteor Lake(モバイル向けタイル型CPU)発売時に経験した課題を考えると、最後の最後まで開発を続ける可能性は高い。
ただし、これらの情報はあくまでも噂段階のものであり、Intelからの公式発表はまだない。最終的な発売時期や製品仕様については、9月に予定されているIntelのプレスイベントで明らかになる可能性が高い。
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