韓国のメモリサプライヤーSK hynixは、AI開発により益々重要になるメモリ分野において、技術開発を加速させ、競争力を強化するために、今後3年間で103兆ウォン(12兆円)の投資を計画していることが明らかになった。この投資は、現在韓国で建設中の13兆円規模の「メガファブ複合施設」に加えて行われるものである。
AIブームを最大限に利用し多額の投資で競争力を高める
Reutersの報道によると、さらにSK hynixの親会社であるSK Groupは、103兆ウォンの予算に加えて80兆ウォン(9兆3000億円)の支出を計画しているという。80兆ウォンの投資はAIと半導体に向けて行われ、「AIのバリューチェーンに焦点を当てて競争力を向上させる」ことを目的としている。さらに、この資金の一部は株主還元とSK Groupの175の子会社の業務効率化にも充てられる。
この発表は、SK Groupのトップ経営陣と多数の関連組織の幹部による2日間の戦略会議の後に行われた。会議の内容に詳しい情報筋がReutersに語ったところによると、SK Groupは関連会社の合併や売却を含む様々な選択肢を検討しているという。
SK Groupの広報担当者は、これらの変更は「地政学的な問題を含む、変化するビジネス環境に対応するための日常的な経営活動の一部」であるとしている。しかし、SK GroupのChey Tae-won会長は声明で「先制的かつ根本的な変化が必要である」と述べている。
この発表は、SK hynixが2022年度に10年ぶりの赤字を計上し、約30億ドルの損失を被った後に行われた。しかし、その後、メモリチップメーカーにとって好調なAIブームの一部のおかげで回復している。SK hynixは、米国のチップメーカーMicronとともに、高度なAIワークロードに必要な高帯域幅メモリ(HBM)チップを設計・製造できる世界でも数少ない企業の一つである。NVIDIAのグラフィックス処理ユニットがAIシステムの処理能力を提供する一方で、HBMもそれらのワークロードに必要なメモリと記憶容量を提供する上で同様に重要である。
NVIDIAのようなほかのAI企業が人工知能で大きな利益を上げていることを考えると、同社がAI分野へ移行するのは理にかなった動きと言える。
SK Groupのこれらの大規模投資は、地元の半導体産業を後押しするために26兆ウォン(3兆円)の支援パッケージを発表した韓国政府にとって、歓迎すべき動きであろう。この投資は、米国政府が自国のチップ製造インフラに数十億ドルを投じる決定を行った後に行われるものである。同様に、中国と欧州連合も半導体産業への巨額投資を発表している。
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