Qualcommは今年後半にも、フラッグシップスマートフォン向けSoC「Snapdragon 8 Gen 4」を発表し、2025年のGalaxy S25シリーズ等に搭載される事になるが、以前の値上げの噂を補完する形で、このSnapdragon 8 Gen 4の大幅な値上げの情報が再び報告されている。これは果たして来年のスマートフォンの更なる値上げに繋がるのだろうか。
Snapdragon 8 Gen 4の値上げはデバイスの値上げに繋がるか?
アナリストのMing-Chi Kuo氏による新たな情報では、Qualcommの次世代「Snapdragon 8 Gen 4(SM8750)」は前モデルである「Snapdragon 8 Gen 3(SM8650)」よりも25〜30%値上げが行われ、190ドル〜200ドル程度の価格になる事が予想されるという。Snapdragon 8 Gen 4の値上げについては、Digital Chat Station氏によっても以前報告されていたが、具体的な値上げ幅についての情報は今回が初めてとなる。
Kuo氏はこの値上げが、これまでのTSMCの4nmプロセスから、最先端の3nmプロセスである「N3E」に移行することが主な要因であると述べている。また、Snapdragon 8 Gen 4が、Qualcomm独自の新しいカスタムCPUコア(Oryon)を採用する事もまた関係しているだろう。OryonコアはWindows向けSnapdragon Xチップにも搭載されている物で、ArmのCortexコアを離れ、Nuviaの技術に基づき大きな性能飛躍を果たしたとされている。(ただし、これが現在も続くArmとQualcommとの係争の要因にもなっている)
Kuo氏はこうした値上げにもかかわらず、AI機能を訴求するハイエンドスマートフォンの需要の高まりにより、Snapdragon 8 Gen 4は出荷台数が前モデル比で1桁台の伸びを示すと予想しているようだ。
また、Snapdragon 8 Gen 3自体も、前モデルと比較して25%の値上げが行われたが、スマートフォン自体の大きな価格の値上げは見られなかったため、他の部分で値上げ分のコストを吸収する可能性も指摘されている。ただし、こうした相次ぐ値上げに、逆についにスマートフォンメーカーがSnapdragon 8 Gen 4の値上げ分を価格転嫁すると言う可能性もあるだろう。
いずれにしても、現時点では今後の価格は不透明であり、事態の推移を見守りたいところだ。
Windows向けに低価格のSnapdragonチップを開発中か
Kuo氏はQualcommに関連して、Windows向けSnapdragon Xチップの高い需要と今後の見通しについても報告している。同氏によれば、2024年にはSnapdragon Xチップが200万台出荷され、2025年には前年比で少なくとも100〜200%と言う驚異的な成長が見込まれるとのことだ。これには、2025年に登場する改良版と、それによる価格の引き下げが大きく寄与するとしている。
加えて、Qualcommは2025年第4四半期を目処に、Arm版Windows向けにコードネーム「Canim」と呼ばれる低価格のSnapdragonプロセッサを準備しており、メインストリームPC向けに発売する予定だという。これはSnapdragon Xチップの3nmプロセスとは異なり、TSMCの4nm「N4」プロセスで製造されることで、価格も抑えられた物になるようだ。低価格とは言え、Windowsの「Copilot+ PC」としての要件であるAI処理性能「40TOPS」は維持するとのことだ。
Qualcommのこうした動きに関しては、既にDellのリークされたロードマップ・スライドからも明らかになっており、2025年後半には「Snapdragon X V2」が登場する事が示唆されていた。このスライドでは2027年後半にも「Snapdragon X V3」とされる第3世代のSnapdragon Xプロセッサの登場も示唆されている。
Source
- Ming-Chi Kuo(Medium): Two new growth drivers for Qualcomm
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