米半導体大手AMDは、全世界で約1,000人規模となる人員削減を実施すると発表した。これは全従業員の約4%に相当する。同社は「最大の成長機会に経営資源を集中させる」として、AI事業への注力を強調している。
レイオフの規模と背景
AMDの発表によると、今回の人員削減は全世界の従業員約26,000人のうち4%、およそ1,000人が対象となる。同社広報は「最大の成長機会に経営資源を集中させる一環として、世界規模での人員削減を実施する」と説明している。
この発表は、複数のオンライン掲示板で従業員による投稿が相次いだ後に確認された。投稿によれば、影響を受けた従業員には「手厚い退職金」が提供されており、「上層部の判断」として実施されたという。
業績とAI戦略の転換点
この決定は、AMDの2023年第3四半期決算発表後に行われた。同期の業績は、収益が前年比17%増、利益は34%増と堅調な成長を示したものの、第4四半期の見通しが市場予想を下回ったことで株価に影響を与えていた。
特にゲーミング部門では、収益が前年比69%減の4億6,200万ドルまで落ち込み、営業利益も前年の2億800万ドルから1,200万ドルへと96%減少した。一方で、同社はAIチップ市場に注力しており、2024年のAIチップ売上高を50億ドル規模と予測している。
Xenospectrum’s Take
AMDの今回の決定は、ライバルのIntelが実施した15,000人規模のレイオフと比較すると、より外科的なアプローチと言える。これはAMDが財務的な困難に直面しているというよりも、NVIDIAが支配するAIチップ市場での競争力強化を図る戦略的な動きとして解釈できる。
同社のAIチップ市場における野心は明確だ。2028年までに5,000億ドル規模に成長すると予測されるAI半導体市場で、MetaやMicrosoftといった大手テクノロジー企業との関係を深めることで、NVIDIAの80%超という圧倒的なシェアに風穴を開けることを目指している。皮肉なことに、かつての主力だったゲーミング部門の不振が、この転換を加速させる触媒となっているようだ。
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