Chromeの「Gemini in Chrome」は、初回に機能を有効にした後、Geminiを開くと現在のタブの内容を既定で共有する。長い記事をコピーして貼り付けなくても、そのまま内容について質問できる一方、Geminiに何が渡るかは、開いているページと共有設定によって変わる。Googleは、Geminiが利用するページ内容に、画面上ではユーザーに見えていない情報が含まれる場合もあると説明している。

共有を停止する設定は用意されているが、タブの共有、会話の保存、AIモデルの学習への利用は、それぞれ別に扱われる。画面に見えている情報と、Geminiが実際に処理する情報の違いを理解し、必要な範囲だけを共有することが重要になる。

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現在のタブはいつ共有されるのか

Googleの利用案内によると、Gemini in Chromeを初めて使う際は、画面の案内に従って機能を有効にする必要がある。その後は、Geminiを開くと現在のタブが既定で共有される。ChromeにGeminiのボタンが表示されていることと、機能を有効にしてページ内容を共有していることは、分けて考える必要がある。

この共有は、新しいチャットを始める際にも適用される。前の会話でタブの共有を解除していても、既定の共有設定がオンになっていれば、新しい会話ではその時点で開いているタブが再び共有される。公開記事を読んでいるときと、仕事の資料を開いた後とでは、同じ「Geminiに相談する」という操作でも、渡される情報が異なる。

ほかに開いているタブも、利用者が選択して追加できる。さらにGoogleの案内では、チャットや共有中のタブから新たに開いたタブも、Geminiと共有される場合があるとしている。複数ページを比較できる利便性がある一方、参照先を開く操作によって共有対象が増えることもある。会話開始時に開いていたタブだけを意識すればよいわけではない。

Googleは2026年4月21日の発表で、日本でのGemini in Chromeの提供開始を発表した。現在の一般向け案内にも日本と日本語が含まれているが、提供は段階的に進められている。パソコンではChromebook Plus、Mac、Windowsが対象で、最新版のChromeとGoogleアカウントへのログインが必要になる。シークレットモードでは利用できない。

そのため、手元のChromeに設定項目が見当たらなくても、すべての利用者へ同時に提供されているとは限らない。

画面に見えている情報だけが共有されるとは限らない

Googleのプライバシー説明によると、Gemini in Chromeは、現在のタブとユーザーが追加で共有したタブについて、ページ内容やURLを収集・処理する。その中には、画面上では利用者に見えていないページ情報が含まれる場合もある。

つまり、画面に表示されている部分だけを切り取ってGeminiに渡している、と考えると実際の処理範囲を正確には捉えられない。

Googleドキュメントを共有する場合は、さらに扱いが異なる。Geminiは、共有されたGoogle Workspaceのページについて回答するため、Workspaceアカウントへ直接アクセスすることがある。Googleは、この仕組みにより、タブ内で現在表示されている情報だけでなく、質問されたドキュメント全体を参照できる場合があると説明している。

文書の一部だけを画面に表示していても、その表示範囲だけが回答の材料になるとは限らない。

記録のされ方も、共有された内容と完全には一致しない。「アクティビティの保存」がオンの場合、Geminiを使って訪れたウェブサイトに関する情報などは、Geminiアプリのアクティビティに保存される。一方、ページ内容そのものはGoogleアカウントに一時的に記録されるものの、アクティビティ一覧には表示されない。

そのため、アクティビティ一覧にページ本文が表示されていないからといって、その内容がGeminiによって処理されていないとは判断できない。

Chromeの閲覧履歴については、利用する機能によって扱いが異なる。Geminiに過去に訪れたページを探させる機能を使った場合、関連する閲覧履歴のURLも収集されるとGoogleは説明している。

ただし、通常のタブ共有を使っただけで閲覧履歴全体が常に送信されるという意味ではない。共有中のページ内容と、過去のページを検索するために利用される履歴URLは、別の機能として確認する必要がある。

また、Chrome向けの説明では、ページ内容が一時的に記録される具体的な保持期間は示されていない。後述する会話の「72時間」という保持期間を、そのままページ内容の保存期間とみなすこともできない。

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今の共有と、次のチャットからの共有は別々に止める

現在の会話で特定のタブの共有を止めたい場合は、Geminiの入力欄付近から共有中のタブを表示し、対象のタブを削除する。共有を解除すると、タブに表示されていた光る下線も消える。

ただし、現在の会話で共有を解除しても、新しい会話で現在のタブを自動共有する設定はそのまま残る。次のチャットから自動共有を止めたい場合は、Chrome側の設定を変更する必要がある。

  1. Chromeのメニューから「設定」を開く。
  2. 「AIイノベーション」から「Gemini in Chrome」を開く。
  3. 「権限」にある「デフォルトで現在のタブを共有する」をオフにする。

この設定をオフにしても、必要なタブを手動で追加することはできる。公開記事を要約するときだけそのページを共有し、ページ内容が不要な質問ではタブを共有しない、といった使い分けが可能になる。

タブの共有停止、新しいチャットでの既定共有、会話の保存や学習への利用は、それぞれ別の設定で管理される。2026年10月7日時点のChromeの利用案内とデータの取り扱いを、設定が影響する対象ごとに整理すると次のようになる。対象は個人向けのデスクトップ版である。

やりたいこと 操作する場所 操作後も区別すべきこと
今の会話で特定タブの共有を止める Geminiの共有タブ一覧から対象を削除 新しいチャットでの既定共有や、すでに共有したデータの削除とは別
新しいチャットでの自動共有を止める Chromeの「デフォルトで現在のタブを共有する」をオフ 必要なタブを手動で共有することは可能
今後の会話の保存や学習利用を抑える Geminiアプリの「アクティビティの保存」をオフ 会話の72時間保持、応答や安全性確保のための処理、フィードバックの扱いは残る
Geminiボタンを画面から隠す ChromeのGemini表示設定や固定解除 ボタンの表示と、タブ共有や会話保存の設定は別

この違いは、仕事のページと公開記事を行き来するときに特に重要になる。画面上からGeminiのボタンを消すだけでは、タブの共有設定がどうなっているかまでは分からない。

一方で、既定のタブ共有をオフにして、回答に必要な公開ページだけを手動で追加すれば、利便性を保ちながらGeminiに渡す情報を選べる。

保存をオフにしても残る処理と、仕事用アカウントの違い

個人向けのテキスト会話では、「アクティビティの保存」がオンになっている場合、Googleは会話などをサービスの改善や生成AIモデルの学習に利用する。アクティビティの通常の自動削除期間は18か月で、利用者自身で変更できる。

ただし、人間のレビュアーが確認した後、アカウントから切り離された会話などは最大3年間保持される場合がある。利用者がアクティビティを削除しても、すでにアカウントとの関連付けを外された記録まで同時に削除されるわけではない。

「アクティビティの保存」をオフにし、フィードバックも送信しなければ、今後のチャットはAIモデルの学習には使わないとGoogleは説明している。それでも会話は72時間アカウントに保持され、回答の提供やサービスの保護などに利用される。

また、フィードバックを送信した場合は、そのフィードバックに関連する会話や含まれる内容も、サービス改善のために利用される可能性がある。

Googleはさらに、サービス改善用の匿名化データを作成するための一部のチャット処理には、Geminiの設定が適用されないと説明している。安全性の確保などを目的とした処理では、「アクティビティの保存」をオフにしていても、人間によるレビューが行われる場合がある。

つまり、「アクティビティの保存」をオフにすることは、Googleによるすべてのデータ処理を停止する操作ではない。機密情報をGeminiに渡してよいかどうかは、共有する前に判断する必要がある。

仕事用や学校用のアカウントでは、個人向けとは異なる条件が適用される。Workspaceのプライバシー説明によると、対象となるWorkspace契約などで利用する場合、Chromeから共有されたURLやページ内容も収集・処理されるが、人間によるレビューや、許可なく組織のドメイン外で生成AIモデルの学習に利用されることはないとしている。

組織向けの地域・言語対応については、Chromeの企業・教育向け案内でも、日本と日本語が対応一覧に含まれている。パソコンでは18歳以上などの条件に加え、Geminiアプリの管理設定とChromeの「GeminiSettings」の両方が有効になっている必要がある。

一方で、Geminiアプリ全般の管理者向け案内には、米国でのログインや英語(米国)に関する条件が記載されている場合もあり、公式文書の記載は必ずしも統一されていない。対応地域の一覧に日本が含まれていることと、所属する組織で実際に利用できることは、分けて確認する必要がある。

また、仕事用のメールアドレスでログインしているだけで、Workspace向けのデータ保護が自動的に適用されるとは限らない。Googleの管理者向け案内では、GeminiをWorkspaceの中核サービスとして利用する場合と、追加サービスとして利用する場合を区別している。

追加サービスとして利用する場合、「アクティビティの保存」がオンになっていれば、会話などがGoogleのサービスや機械学習技術の改善に使われる可能性がある。そのため、組織がどの契約を利用しており、管理者がどのような設定を適用しているかを確認する必要がある。

管理者は、Chrome Enterpriseの「GeminiSettings」を使ってChrome内のGeminiだけを無効にし、ウェブ版やモバイル版のGeminiへのアクセスは残す、といった設定もできる。

AIの利用を全面的に許可するか禁止するかだけではなく、ブラウザで開いている情報をそのままAIとの会話に渡してよいか、という単位で管理できるということだ。

公開ページの比較に使うのか、社内文書を扱うのか。用途を先に定めたうえで、それに合ったタブ共有設定と、契約上のデータ保護を組み合わせることが、ブラウザ内AIを安全に使うための具体的な条件になる。