Epic Gamesが、作り直した「Epic Games Launcher」のPreview版を公開した。WindowsとmacOSに加えて初めてLinuxにも対応し、起動の速さとゲームの探しやすさを前面に出している。Epicが示すSteamとの速度比較は目を引くが、初回起動と、裏で動いているアプリへ戻る操作では、短くなる待ち時間の大きさが違う。さらにPreviewを入れると従来版は自動で削除され、Macでは対応するCPUにも条件がある。試すかどうかを決めるには、速度の数字と移行後に使える機能を一緒に見る必要がある。

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Steamとの差は、初回起動と復帰でどれだけ違うか

公式のPreviewサイトでは、起動していない状態から立ち上げる初回起動に、新ランチャーは5.47秒、Steamは10.07秒かかると示されている。Epicが「Steamより1.8倍速い」と掲げるのは、この比較だ。一方、バックグラウンドからライブラリへ戻る操作は、新ランチャーが0.36秒、Steamが0.42秒となっている。

Epicが公表した2026年10月の測定値から計算すると、Steamとの差は初回起動で4.60秒、バックグラウンドからライブラリに戻る操作で0.06秒となる。

測定した操作 新Epic Games Launcher Steam 公表値から計算した差
初回起動 5.47秒 10.07秒 4.60秒
バックグラウンドからライブラリへ復帰 0.36秒 0.42秒 0.06秒

差は操作ごとにSteamの値から新ランチャーの値を引いたものだ。計算は10.07−5.47=4.60秒、0.42−0.36=0.06秒となる。同じ「高速化」でも、最初にアプリを開くときの数秒と、すでに動くアプリへ戻るときの短い差を分けると、どの待ち時間が変わるかを捉えやすい。これらはランチャーの表示を測った値で、ゲーム本体の起動時間やフレームレートを示す数字ではない。

測定を行ったのは、Epicが委託した第三者のKeywords Studiosである。公式ページの脚注には、2026年10月に13台でそれぞれ5回試験した平均であり、試験した機種のうち最も性能の低い3台を除外したとある。機種ごとの構成や結果のばらつき、アカウント内のゲーム数は、このページでは示されていない。低性能なPCも同じように速くなるという保証には使えず、Epic自身も結果は環境によって変わるとしている。

したがって、ここで確かめられるのは、Epicが公開した条件下での操作別の差だ。数値の引き算は再現できるが、実機で同じ差が出るかは別に検証する必要がある。普段ランチャーを終了させるか、裏で動かしたままにするかによっても、どちらの操作が自分の利用に近いかは変わってくる。

探す、起動する、ダウンロードを追う操作をまとめる

新しいライブラリには、ゲームの状態や起動操作をまとめた専用ページが用意された。アドオンや活動履歴もここで確認でき、ゲームを選んだ後に必要な情報をたどりやすくする構成である。公式発表は、PCのゲームライブラリを接続し、所有するゲームをランチャー内でまとめて表示できることも挙げている。

一覧の見方も選べる。左側にゲームを並べて右側に選択中のページを出す詳細表示と、ゲームの絵を並べるグリッド表示を切り替えられるほか、入力しながらの検索や絞り込みにも対応する。コレクションを作って整理したり、遊ばないゲームを非表示にしたりでき、非表示にした作品は後から戻せる。数の多いライブラリから選ぶ手間を減らすための変更だ。

さらに、上部のバーにはお気に入りのゲームやアプリを追加できる。ストアを開くことよりも、決まったゲームへすぐ戻りたい利用者なら、自分が使う項目を置ける意味は大きい。アプリの読み込みを速くする改善と、目的の項目を探す操作を減らす改善が、同じ画面に盛り込まれている。

ダウンロード管理では、通信によるダウンロード速度に加え、データの読み出しと書き込みの速度を表示する。実行中の処理だけでなく、待機中や予約済みのダウンロードも確認でき、失敗した処理の状態も追えるようになった。通信と保存先での処理を別々に見られるため、進行状況を判断する手掛かりが増える。

ただし、速度を詳しく表示できること自体は、転送が速くなるという測定結果ではない。新画面の価値は、ゲームを待つ間に何が進んでいるかを確認しやすくなる点にある。ランチャーの起動時間の短縮と、ダウンロード状況の把握しやすさを区別して評価したい。

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移行前に確認したい、旧版の削除と対応環境

Previewをインストールすると、従来のEpic Games Launcherは自動的にアンインストールされる。新旧を並べて入れるつもりで試すと、想定と違う動きになる。一方、Epicは購入済みゲームとインストール済みゲームが引き継がれ、クラウドセーブや進行状況も継続すると説明している。

このデータ継承の説明と、従来版の機能がすべてそろうことは分けて考えたい。FAQによれば、一部のソーシャル機能やアカウント管理の項目はまだ使えず、機能をそろえる作業が続いている。自分が日常的に使う項目があるかは、速度とは別の移行判断になる。

対応環境にも違いがある。公式サイトの要件をOS別に並べると、次のようになる。

OS 対応バージョン CPU 空きストレージ
Windows Windows 10または11、64ビット Intel Core i3またはAMD Ryzen 3 700 MB
macOS macOS 12 Monterey以降 Apple M1以降 200 MB
Linux Ubuntu 22.04 LTS以降、Fedora 43以降、Debian 12以降 x86-64、2GHzデュアルコア以降 2 GB

メモリは各OSとも4 GBで、セットアップやオンライン機能にはインターネット接続が必要となる。ここで特に確認したいのがMacのCPUだ。PreviewはApple Siliconのみを対象とし、Intel Macには対応しない。OSのバージョンを満たしていても、CPUによっては移行できないということになる。

ゲームの利用について、現行FAQでは、ゲームに入ればカジュアル・競技プレイを妨げるものはないとEpicは説明している。公式発表の更新済み注記も、ゲームや開発ツール内での利用を妨げないとしつつ、Previewにはベータ版として問題が起きる可能性を残している。これは全環境での動作保証ではなく、未完成のランチャーを試用する際の説明として読むべき内容だ。不具合や引き継がれない項目があれば、アプリ内の「Send feedback」から報告できる。

Linux版ランチャーと、ゲームごとに異なる動作条件

Linux版の登場によって、Epic自身のランチャーをLinux上で直接動かせるようになった。ただし、公式FAQは、多くのゲームがWindows向けのビルドであり、動かすために互換レイヤーが必要な場合があると明記する。ランチャーの対応OS一覧を、そのまま全ゲームの対応一覧として使うことはできない。

Ubuntu、Fedora、Debian以外のディストリビューションについても、動作する可能性はあるが、公式に試験・サポートする対象ではないとされている。Linuxという共通の名前だけで判断せず、使っている配布版と、遊びたいゲームの両方を確認する必要がある。オフライン利用も、対応するインストール済みゲームに限られる。

『Fortnite』のLinux対応は、今回公開されたランチャーとは進み方が異なる。Epicは不正対策のEasy Anti-Cheatを作り直し、ディストリビューションの保守担当者と安全性の要件を詰め、十分な数の担当者との対応が整った段階で提供する方針だ。Linux版ランチャーが配布されたからといって、この計画まで実現したわけではない。

新ランチャーの正式版提供日は、今回確認した公式発表では示されていない。当面の判断材料は、自分のライブラリで目的のゲームを探しやすくなるか、必要な機能が使えるか、そしてそのゲームが自分の環境で動くかにある。速度改善とこの条件がそろえば、Previewで示された数秒の短縮を、日々のゲーム管理の使いやすさへつなげられる。