Black Forest Labs(BFL)が、画像生成・編集モデル「FLUX 3 Image」の提供を始めた。画像内に長方形の枠を設定し、人物や文字を配置したい場所や、編集したい部分を指定できる。BFLは、編集を繰り返しても変更対象以外の要素を保ちやすいと説明しており、最大10枚の参照画像を組み合わせる機能や、ネイティブ4K出力にも対応する。
ただし、開発者向け資料には、指定した枠の外側でも影や反射、周囲の光が変わる場合があると明記されている。広告や誌面など、レイアウトや細部を厳密に保つ必要がある制作では、狙った部分だけをどこまで安定して変更できるかが、モデルを選ぶうえで重要になる。
座標で配置を指定し、あとから同じ要素を動かせる
FLUX 3 Imageでは、画像全体の説明だけでなく、個々の要素を置く位置も数値で指定できる。BFLが採用しているのは、画像全体を縦横それぞれ0〜1000の座標として扱い、要素を囲む境界ボックスを「上端、左端、下端、右端」の順に指定する方式だ。画像の縦横比が変わっても、同じ0〜1000の座標系で位置を表せる。
公式の使い方では、それぞれの要素にID、説明、配置する枠を与え、画像全体を説明する文章と組み合わせる。
たとえば、ポスターの上部に見出し、中央に人物、下部に商品を配置する場合、それぞれにIDと枠を指定する。文章だけで「商品を少し右へ」と指示するより、どの要素をどこへ置くのかを明確に伝えられる。
![FireShot Capture 080 - FLUX 3 Image - Black Forest Labs - [docs.bfl.ai].webp](https://media.xenospectrum.com/large_Fire_Shot_Capture_080_FLUX_3_Image_Black_Forest_Labs_docs_bfl_ai_8d338d6962.webp)
編集時には、変更前と変更後で異なる枠を指定することで、同じ要素を移動したり、大きさを変えたりできる。削除する場合は、出力側の枠をなくし、文章でもその要素を削除するよう指示する。
BFLのモデルページでは、サーファーのウェットスーツとボードを同時に赤く変更しながら、波や空など周囲の要素を残す例を紹介している。複数の変更を一度に指示しつつ、どの要素を維持するかを明確にできる使い方だ。
一度生成した画像をそのまま完成品とするだけでなく、構図を決めた後に色や被写体を部分的に修正していく制作工程を想定している。
すべての枠を人が手作業で指定する必要はない。BFLは、LLMに文章と縦横比を渡し、構図を考えさせて、各要素の説明と座標を自動で作らせる方法も示している。その後、気になる位置だけを人が修正できる。
また、短い指示を詳しいプロンプトへ展開する処理を使っても、利用者が指定した要素のIDと座標はそのままモデルへ渡される。AIに構図を考えさせながら、重要な配置だけを人が固定・修正できる仕組みだ。
編集枠の外側が必ず固定されるわけではない
長方形の枠で編集箇所を指定できるからといって、その外側の画素が必ず変化しないわけではない。
BFLの画像編集ガイドでは、枠外の画素は「通常は」同じ状態を保つと説明する一方、影や反射、周囲の光などが変化する可能性があると明記している。
また、BFLの試験では、約40×25ピクセルという非常に小さな枠に新しい要素を追加しようとすると、要素自体が現れないことがあったという。これはBFLが試した一例であり、40×25ピクセルがすべての画像に共通する最低サイズとして定められているわけではない。
座標指定のガイドでも、境界ボックスは要素の配置や編集を導くためのものであり、画像を切り抜くための厳密なマスクではないと説明している。
つまり、被写体の色や形を変更したとき、その影や周囲への映り込みまで自然に変化する場合がある。写真としては望ましい変化でも、元の画像を厳密に維持したい用途では問題になることがある。
この違いは、とりわけ商品写真や広告制作で重要になる。商品の色を狙いどおり変更できても、その近くにあるロゴや小さな文字まで変化すれば、そのまま広告素材として使えない場合がある。
BFLは変更前後の画像と、どの画素が変わったかを示す差分表示も公開している。ただし、公式の作例でうまく編集できることと、あらゆる画像で何度編集を繰り返しても周囲を維持できることは別である。
実務で試すなら、変更した部分だけを見るのではなく、残したい文字やロゴ、背景まで比較したい。同じ元画像へ複数回の修正を加え、変更が指定範囲の外へどこまで広がるかを見る。
影や反射が自然に変化するほうがよい商品写真と、文字やレイアウトを厳密に固定したい誌面では、同じ編集機能でも求める精度は異なる。
「最大10枚」だけがFLUX.2からの進化ではない
前世代のFLUX.2にも、複数の参照画像を組み合わせたり、画像内に文字を描いたりする機能はあった。BFLのFLUX.2公式仕様では、[pro]、[max]、[flex]について、APIでは最大8枚、Playgroundでは最大10枚の参照画像に対応している。
そのため、「10枚の参照画像を使える」こと自体をFLUX 3 Imageで初めて加わった機能と捉えると、世代間の違いを正確に表せない。
| 比較項目 | FLUX.2の公式仕様 | FLUX 3 Imageの公式仕様 |
|---|---|---|
| APIの参照画像 | [pro]・[max]・[flex]は最大8枚 | 最大10枚 |
| Playgroundの参照画像 | [pro]・[max]・[flex]は最大10枚 | 最大10枚の参照画像を利用可能 |
| 生成前のウェブ検索 | [max]で提供。[pro]は非対応 | 既定で有効。無効化も可能 |
| 配置・編集の指定 | 構造化した指示や色、構図の制御に対応 | 要素のIDと座標を使った配置・編集方法を明示 |
2026年10月3日に確認したBFLの仕様を比較した。FLUX.2は派生モデルごとに対応機能が異なり、画質や編集成功率を同じ条件で比較した表ではない。
APIでも最大10枚を扱えるようになったことで、人物、商品、服装、背景など複数の素材を一つの生成指示にまとめやすくなる。
一方、Playgroundですでに10枚の参照画像を使っていた利用者にとっては、枚数そのものより、要素ごとに位置や変更内容を細かく指定できることのほうが、FLUX 3 Imageを試す理由になりそうだ。
FLUX 3 ImageのAPI仕様では、生成前にWebや画像を検索して情報を補う「grounding」も既定で有効になっている。無効にすれば、外部検索を使わず、プロンプトと参照画像だけで生成できる。
実在する対象を描く際には検索が役立つ場合があるが、検索を使ったからといって、生成される文字や事実関係が常に正確になるわけではない。モデル同士や設定同士を比較する場合には、検索を有効にするかどうかもそろえる必要がある。
4Kは仕上げ向け、解像度が上がるほど料金も増える
BFLの直販APIでは、出力解像度によって画像1枚あたりの料金が変わる。公式料金ページに掲載されている価格は次のとおりだ。
| 出力の区分 | 通常料金/枚 | 開始記念の半額料金/枚 |
|---|---|---|
| 768×768 | 0.041ドル | 0.0205ドル |
| 1K | 0.048ドル | 0.024ドル |
| 1.5K | 0.07ドル | 0.035ドル |
| 2K | 0.1ドル | 0.05ドル |
| 4K | 0.607ドル | 0.3035ドル |
BFLのFLUX 3 Image料金。2026年10月3日確認。半額期間はUTCで10月1日15時から10月8日15時まで、日本時間では10月2日0時から10月9日0時まで。
通常料金で100枚生成すると、1Kでは4.80ドル、2Kでは10ドル、4Kでは60.70ドルになる。4Kは1Kの約12.6倍だ。
計算は各単価を100倍し、倍率は0.607÷0.048を小数第1位に丸めた。半額期間なら、同じ100枚で1Kが2.40ドル、2Kが5ドル、4Kが30.35ドルとなる。
ただし、これはBFLの直販APIで画像を生成する料金だけを比べたものだ。他社経由のAPI料金や、実際に採用できる画像を得るまでに必要な生成回数は含んでいない。
「ネイティブ4K」という表現にも注意が必要だ。BFLは、モデルが直接出力した5456×3072ピクセルのそば店の作例を公開している。約16.8メガピクセルに相当し、一般的なテレビやディスプレイでいう3840×2160ピクセルの「4K」と同じ寸法ではない。
FLUX 3 Imageでは縦横比によって実際の出力寸法が変わる。このため、印刷や納品データとして使う場合は「4K」という名称だけではなく、実際のピクセル数を確認する必要がある。
制作では、低い解像度で構図や編集方針を何度か試し、採用する案だけを高解像度で生成すれば、試行段階の費用を抑えやすい。
ただし、低解像度でうまくいった編集が、4Kでもまったく同じ結果になるとは限らない。最終的には高解像度の出力でも、文字や細部、変更していない部分まで確認する必要がある。高解像度化にかかる料金と、編集をやり直す回数の両方を含めて制作コストを考えたい。
制作フローへ組み込む前に確認したいこと
FLUX 3 Imageは、BFLのPlaygroundとAPIから利用できる。さらにBFLは、大量の画像を生成する企業向けに商用ウェイトを契約で提供し、自社インフラへの展開や追加学習にも対応するとしている。
API経由で利用する場合と、自社のサーバーでモデルを動かす場合では、必要な契約や運用環境は異なる。商用ウェイトが提供されているからといって、モデルの重みを誰でも自由にダウンロードし、無条件で商用利用できるという意味ではない。
広告の色違いを大量に作る人や、複数の素材を一つの誌面へ配置する人にとっては、同じ画像へ変更を重ねる工程で試す価値がある。要素を指定して部分的に変更できれば、構図が固まった後に、画像全体を一から生成し直す回数を減らせる可能性がある。
一方、変更したくない部分まで動けば、確認や手直しにかかる時間は増える。そのため、APIの単価が安いというだけで、制作全体のコストまで下がるとは判断できない。
同じ素材に何度変更を重ねても、残したいロゴや文字を維持できるか。影や反射の変化を許容できるか。そして、実際に採用できる画像を得るまで何回生成する必要があるか。
こうした条件を自分たちの制作物で確かめられれば、FLUX 3 Imageは、構図を決めた後の修正のたびに画像全体を作り直す手間を減らす道具になり得る。



