Googleは、同社のAIチャットボット「Gemini」に新たなパーソナライゼーション機能を追加したことを発表した。この更新により、Gemini Advancedのサブスクリプション利用者は、自身の興味や嗜好、重要事項をAIに記憶させることが可能となった。
永続的な記憶機能の実装で変わるAIとの対話
これまでのGeminiでは、ユーザーの好みや興味に関する情報は単一の会話セッション内でのみ保持され、新しいチャットを開始すると全てリセットされていた。しかし今回の更新により、Gemini Advancedは指定された情報を永続的に記憶し、複数のセッションを跨いで活用できるようになった。
この機能により、例えばユーザーがギリシャ料理を好むと伝えておけば、後日の旅行計画の相談時に、その嗜好を考慮したレストラン推奨を自動的に行うことが可能となる。また、食事制限やアレルギーなどの健康上の配慮事項も記憶して、それに適合する提案のみを行うことができる。
類似の機能はOpenAIのChatGPTが既に何ヶ月も前から実装していた物であり、今回Google Geminiにも待望の実装となった。
プライバシーとコントロールの重視
Googleは、この新機能の実装にあたってユーザーのプライバシーとコントロールを重視している。Geminiは保存された情報を回答に利用する際、その旨を明示的に通知する。また、ユーザーは設定画面の「保存された情報」ページから、保存された情報の確認、編集、削除を随時行うことが可能だ。さらに、通常の会話の中で自然に保存情報を確認することもできる。
現時点では、この機能はGoogle One AI Premiumプランに含まれるGemini Advancedの英語版ユーザーのみが利用可能となっている。Androidアプリではまだ利用できないものの、Web版では既に実装されており、過去の事例から推測すると、数ヶ月以内に無料ユーザーへも展開される可能性が高い。
Xenospectrum’s Take
この永続的メモリ機能の実装は、AIアシスタントの進化における重要な一歩である。OpenAIのChatGPTが既に類似機能を提供している中でのこの実装は、GoogleがAI分野での競争において一歩も引かない姿勢を示している。しかし、より興味深いのは、この機能が示唆する将来の展望だ。
AIが個人の好みや文脈を理解し記憶する能力は、単なる利便性の向上を超えて、AIとの対話の質を根本的に変える可能性を秘めている。ただし、この発展は同時に、個人データの長期保持に関するプライバシーとセキュリティの課題も提起している。特に、AIの「記憶」が時とともに古くなった場合の更新メカニズムや、複数のコンテキストでの整合性の維持など、まだ多くの課題が残されている。
Source
コメント