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Intel新CEO、Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入明言 – 18Aプロセスへの自信示す

Y Kobayashi

2025年3月29日

Intelの新CEO、Lip-Bu Tan氏が2024年次報告書に掲載された株主向け書簡で、今後のCPUロードマップとプロセス技術に関する計画を明らかにした。顧客中心主義への回帰とコミットメント達成を強く打ち出し、Intel 18Aプロセスを採用するクライアント向けCPU「Panther Lake」を2025年後半に、続く「Nova Lake」を2026年に投入する方針だ。

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CEO書簡:顧客中心と実行へのコミットメント

Tan氏はCEO就任後、「顧客への再注力」を最優先事項に掲げ、フィードバックに耳を傾け、顧客を満足させ競争力を強化するために必要な変革を推進していると述べている。「言葉を行動に移し、コミットメントを達成しなければならない」とし、より迅速かつスマートに行動し、顧客がIntelと共に成功しやすくなるような変革を主導していく決意を示した。

過去の業績について、「期待に応えられなかった」点を率直に認めつつ、将来の成長に向けた重要な投資を維持しながら、昨年発表した100億ドルのコスト削減計画(従業員規模の15%削減を含む)を着実に実行し、事業構造の最適化を進める方針とのことだ。

Panther LakeとNova Lake:18A世代CPUの計画

Tan氏は、Intelの製品ポートフォリオ再活性化への意欲を示し、今後のクライアントCPU計画について具体的な製品名と時期に言及した。

「Panther Lake(Intel 18Aを採用する当社の主要製品)を今年後半(2025年後半)に投入し、続いて2026年にNova Lakeを投入することで、当社はこの(クライアント)市場における地位をさらに強化します」。(Source: Intel 2024 Annual Report, CEO Letter from Intel CEO, p.3)

これは、Intelが次世代プロセスIntel 18Aを採用した最初の製品としてPanther Lakeを位置づけ、2025年後半の市場投入を目指していることを明確に示すものだ。さらに、その次世代製品としてNova Lakeが2026年に計画されていることも明らかにされた。

データセンター向け製品についても言及があり、現在のXeon 6ポートフォリオで競争ギャップを埋めつつあるとし、次の一手として18Aプロセスを採用する初のサーバー製品「Clearwater Forest」を2026年前半に投入する計画である。

「当社はこの(Xeon 6の)勢いを基盤として、初のIntel 18Aサーバー製品であるClearwater Forestを2026年前半に投入する計画です」。 (Source: Intel 2024 Annual Report, CEO Letter from Intel CEO, p.3)

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プロセス技術ロードマップ:18Aの健全性と14Aへの展望

CEO就任後の初期の行動として、Intel 18Aプロセスの進捗状況を把握したことに触れ、「健全であり、市場における当社の競争力を高めるだろう」と評価している。

「私が入社して最初に行ったことの一つは、Intel 18Aの進捗状況をより良く理解することでした。それは健全であり、市場における当社の競争力を高めるでしょう。Panther Lakeに加えて、初期のIntel 18A外部顧客プロジェクトも最終設計段階にあり、今年半ば(2025年半ば)には最初の製造リリースを完了する見込みです」。 (Source: Intel 2024 Annual Report, CEO Letter from Intel CEO, p.4)

Intel 18Aは、トランジスタ構造にRibbonFET(GAA FET)、電力供給にPowerVia(BSPDN)という2つの画期的な技術を初めて量産適用する次世代プロセスである。Intelはこのノードでプロセスリーダーシップを再構築することを目指している。年次報告書によると、Intel 20Aの製品化はキャンセルされ、改良版であるIntel 18Aに注力する方針が明らかにされている。

「Intel 18Aは、次世代の最先端プロセス技術であり、ゲート・オール・アラウンド・トランジスタとバックサイドパワーという2つの画期的な技術の初の量産商用実装を組み込むように設計されています。(中略)Intel 18Aは外部ファウンドリ顧客に提供され、Intel 3を上回るワットあたり性能と密度スケーリングの向上を実現するように設計されています。当社は、新しいクライアント製品ファミリーであるPanther Lake(コードネーム)とIntel 18A上の最初のプロセッサの量産を2025年に開始する見込みです。」(Source: Intel 2024 Annual Report, Areas Key to Process and Packaging Competitiveness, p.16)


「当社はIntel 20Aプロセスノードの製品化をキャンセルし、改良版であるIntel 18Aに注力することを決定しました。このノードは、Panther Lake(コードネーム)という新しいクライアント製品ファミリーで2025年に量産投入する予定です。」(Source: Intel 2024 Annual Report, Process Technology, p.16)

さらに、その先のプロセスとしてIntel 14Aの開発も進められている。

「Intel 14Aは、外部顧客向けの当社の3番目の先進プロセス技術であり、Intel 18Aを上回るワットあたり性能と密度スケーリングの向上を目指して活発に開発が進められています。」 (Source: Intel 2024 Annual Report, Areas Key to Process and Packaging Competitiveness, p.16)

ファウンドリ事業と米国内製造への注力

Tan氏は、優れた製品を実現するためには優れたプロセス技術が不可欠であるとし、世界クラスのファウンドリ構築への注力を改めて強調した。Intel 18Aの量産は、アリゾナの新工場で「今年後半(later this year)」に開始される予定であり、米国内での事業拡大を継続していく姿勢を示している。

「Intelは、米国内外で高まる先端半導体製造の需要に応える上で極めて重要な役割を担っています。当社は、今年後半にアリゾナの最新工場でIntel 18Aの量産を開始することに興奮しており、米国の技術と製造業におけるリーダーシップを強化するために、米国政府との継続的な協力を楽しみにしています。一部の企業が米国に回帰したり、初めて投資したりしていますが、Intelは決して(米国を)離れることはなく、事業を拡大し続けています。」(Source: Intel 2024 Annual Report, CEO Letter from Intel CEO, p.4)

Intelの新しいリーダーシップの下で示されたこれらの計画は、同社が直面する課題を認識しつつも、技術革新と市場での競争力回復に向けた強い意志を持っていることを示している。特にIntel 18Aプロセスの成功と、それを採用するPanther Lake、Nova Lake、Clearwater Forestといった製品群の計画通りの投入が、今後のIntelの業績回復と成長の鍵となるであろう。


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