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OpenAI、400億ドル調達で企業価値3,000億ドル—年内の営利化が条件

Y Kobayashi

2025年4月1日

OpenAIは、SoftBank主導の400億ドル(約6兆円)の資金調達を完了し、企業価値が3,000億ドル(約45兆円)に達したと発表した。この史上最大規模の民間企業向け資金調達には条件が付き、年内にOpenAIが営利企業に転換しなければ最大100億ドルが削減される可能性がある。週間アクティブユーザー数が5億人に達するChatGPTを抱えるOpenAIは、この資金をAI研究の深化と計算インフラの拡大に投入する計画だ。

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史上最大の資金調達と厳しい条件

今回の資金調達は、民間企業による史上最大の資金調達となり、SoftBankを主要投資家として、Microsoft、Coatue、Altimeter、Thriveなどの既存投資家も参加した。CNBCの報道によると、OpenAIは当初100億ドルを受け取り、そのうち75億ドルはSoftBankから、残りの25億ドルは投資家グループからの出資となる。

残りの300億ドルは年末までに提供される予定だが、その条件としてOpenAIは正式に営利企業に転換する必要がある。この条件が満たされない場合、CNBCの情報筋によれば、総額は最大100億ドル削減され、400億ドルから300億ドルになる可能性がある。具体的には、SoftBankの出資が300億ドルから200億ドルに減少する一方、MicrosoftなどからなるシンジケートによるOpenAIへの100億ドルの出資は変わらないという。

OpenAIの3,000億ドルという企業価値評価は、ByteDanceと並んで世界第2位の民間企業評価額となり、3,500億ドル評価のSpaceXに次ぐ規模となった。過去最大の民間テクノロジー企業への資金調達としては、2018年のAnt Groupの140億ドル、Juul Labsの128億ドル、2019年のDiDi Globalの108億ドルを大きく上回っている。

資金の使途とStargateプロジェクトの野望

OpenAIの公式発表によると、この新たな資金はAI研究の進展、計算インフラのスケーリング、そしてChatGPTの機能強化に使用される。「SoftBankグループとのパートナーシップに興奮しています—彼らほど変革的な技術をどうスケールするかを理解している企業は少ない」とOpenAIは声明で述べている。

注目すべきは、CNBCの情報筋によれば、約180億ドルがOpenAIの野心的なStargateインフラプロジェクトに充てられることだStargateは、1月にTrump大統領が発表したSoftBank、OpenAI、Oracleの合弁事業で、米国全土にAIデータセンターのネットワークを確立することを目指している。この合弁事業は今後4年間で総額5,000億ドル規模のAIインフラ投資を計画している。

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爆発的な成長と厳しい収益見通し

OpenAIのSam Altman CEOは先ほど、「過去1時間で100万人のユーザーを獲得した」とツイートし、26ヶ月前のChatGPT発表後5日間で獲得した100万人と対比した。この急激なユーザーの急増は、先週OpenAIが画像生成技術に大幅なアップデートを施したことによるもので、消費者がスタジオジブリ風の自画像を大量に作成する騒ぎとなっている。

公式発表によると、ChatGPTは現在週間で5億人のユーザーにサービスを提供しており、これはわずか1ヶ月前に報告された4億人から大幅に増加している。

しかし、この急成長にもかかわらず、OpenAIの財務見通しは厳しい。Bloombergの最近の報道によると、OpenAIは今年だけで127億ドルの収益を見込んでおり、これは昨年の年間経常収益37億ドルであったことからすれば飛躍的な伸びである。それでも、OpenAIは2029年までキャッシュフローがプラスになることを予想しておらず、その時点で1,250億ドルの収益を予測している。

営利企業化への道と法的障壁

今回の資金調達条件は、OpenAIに営利企業への転換を急がせるプレッシャーとなっている。この計画はMicrosoftとカリフォルニア州司法長官の承認が必要であり、さらに2015年にOpenAIを非営利研究所として共同設立したElon Muskが裁判所に提訴し、この転換を阻止しようとしている。

現在、OpenAIは特殊なハイブリッド構造で運営されており、元の非営利組織が利益上限付きの有限責任会社を所有・運営している。計画通りに進めば、この有限責任会社は独立した企業として分離される。転換が実現すれば、OpenAIの投資家は受け取った転換社債を営利企業の株式に交換できるようになる。

先週、OpenAIは経営陣の重要な変更を発表し、Altman CEOは日常業務から離れ、研究と製品開発に焦点を当てるようになった。最高執行責任者(COO)のBrad Lightcapの役割は拡大し、「ビジネスと日常業務」を監督することになっている。

AI業界における競争激化と将来展望

OpenAIの投資家たちは、生成AI業界でのリードを維持できると賭けている。Bloomberg Intelligenceの予測によれば、この業界は2032年までに1.3兆ドル以上に成長する見込みだ。Gartnerの調査によると、企業の生成AI支出は今年だけで6,440億ドルに達する見込みである。

しかし、OpenAIはこの巨大な市場のシェア獲得競争で厳しい競争に直面している。Google、Microsoft、Amazon Web Services、Anthropic、Perplexity AIなど、多くの企業が競争に参入している。

今後OpenAIがさらなる資金調達を必要とする場合、次のステップは株式市場への上場(IPO)となる可能性が高いが、そのタイミングはまだ明確ではない。先週、純粋なAI企業として初めてIPOを実施したCoreWeaveは、月曜日に株価が7%以上も下落し、その船出は順調とは言えなかった。


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