AMDは高性能ゲーミングCPUの最新版、Ryzen 9 9950X3Dおよび9900X3Dの発売日と価格に関する新たな情報が明らかになった。中国の大手オンライン小売業者JD.comのリストによると、両CPUは3月12日に発売される見込みだ。価格は9950X3Dは5,599元、9900X3Dは4,599元で、レビュー解禁は前日の3月11日になる見込みだという。
発売日と価格情報の詳細
AMD Ryzen 9 9950X3Dと9900X3Dの発売日は、3月12日(水曜日)になりそうだ。この情報は中国の大手オンライン小売業者JD.comの公式AMDストアのリスティングから明らかになり、複数の信頼できる情報源によって確認されている。同サイトは中国最大のB2C小売業者として知られている。
中国市場での価格は9950X3Dが5,599元(約113,800円)、9900X3Dが4,599元(約93,500円)と設定されている。これは前世代の7950X3Dの5,299元、7900X3Dの4,499元と比較して、それぞれ約5%と2%の価格上昇となる。
中国では付加価値税(VAT)が13〜15%程度課されることを考慮すると、中国国外での価格はいささか異なりそうだ。2月初旬にNeweggとAmazonで一時的に表示された早期リスティングでは、9950X3Dが699ドル、9900X3Dが599ドルの価格タグが確認されている。これは前世代の米国発売価格(7950X3Dが699ドル、7900X3Dが599ドル)と同等であることから、今回のRyzen 9 9000X3Dシリーズが、前世代と同等か、やや高い価格設定になる可能性がある。
製品仕様と技術詳細
Ryzen 9 9950X3Dは16コアのZen 5アーキテクチャを採用し、最大ブースト周波数は5.7GHzに達する。TDP(熱設計電力)は170Wで、L2、L3、3D V-Cacheを合わせた総キャッシュ容量は144MBという仕様だ。
一方、Ryzen 9 9900X3Dは12コア構成で、最大ブースト周波数5.5GHz、TDP 120W、総キャッシュ容量140MBとなっている。
これらのプロセッサは、AMDの垂直キャッシュスタッキング技術「3D V-Cache」を12コア以上のZen 5セットアップに実装した製品だ。3D V-Cacheとは、通常のCPUダイの上に追加のキャッシュメモリを積層する技術で、特にゲームやキャッシュ依存のワークロードでレイテンシを低減し、パフォーマンスを向上させる効果がある。
重要な技術的詳細として、デュアルCCD(コア・コンプレックス・ダイ)モデルである9950X3Dと9900X3DはCCDの1つだけにV-Cacheが実装されている点が挙げられる。これは前世代の7000X3Dシリーズと同様の設計アプローチであり、すべてのコアが3D V-Cacheの恩恵を等しく受けるわけではないことを意味する。そのため、シングルCCDの9800X3Dは特定のゲームタイトルでは依然として優位性を持つ可能性がある。
3D V-Cache技術は主にゲームパフォーマンスで大きな恩恵をもたらす。特にオープンワールドゲームやシミュレーションゲームなど、大量のデータをキャッシュに保持する必要があるタイトルで効果を発揮する。また、CADやレンダリングなどの生産性タスクでも、大きなデータセットを扱う際にパフォーマンス向上が期待できるが、その度合いは公式レビューの結果を待つ必要がある。
市場への影響と位置づけ
Ryzen 9 9950X3Dと9900X3Dの発売により、AMDのQ1 2025デスクトップポートフォリオが完成する。これらは昨年末に発売された8コア構成のRyzen 7 9800X3Dに続く3D V-Cache搭載モデルであり、標準Ryzen 9000シリーズと合わせて、さまざまなユーザーニーズに対応する製品ラインナップとなる。
9800X3Dは既にゲーミング性能で高い評価を得ているが、9950X3Dと9900X3Dはより多くのコア数を持ち、マルチタスクや生産性タスクにおいても優れたパフォーマンスを発揮することが期待されている。特に、ゲームのストリーミング配信やコンテンツ制作など、高いCPU処理能力を必要とするユースケースでの活用が見込まれる。
AMDはCESでこれらの高コア数Ryzen 9000X3D製品を発表した際、IntelのArrow Lakeプロセッサと比較して平均20%高いFPSを実現できると主張している。特にIntelの最上位モデルであるCore Ultra 9 285Kとの比較では優位性をアピールしており、ハイエンドゲーミングCPU市場での競争激化が予想される。Intelのフラッグシップモデルが期待されたゲーミング性能を発揮できていないとの指摘もあり、AMDが当面優位に立つ可能性が高い。
AMDによれば、9950X3Dと9900X3Dは9800X3Dと同等のゲームパフォーマンスを提供できるとしているが、前述の通り一部のゲームタイトルではシングルCCD設計の9800X3Dが優位性を保つ可能性もある。高コア数モデルはより生産性タスクに重点を置いた設計となっているため、ユーザーは自分のニーズに合わせて最適なCPUを選択できるようになる。
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