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Samsung、年内にスマートグラス「Haean」発表へ – XRヘッドセットと同時投入の戦略

Y Kobayashi

2025年3月24日

Samsungが「Haean(海岸)」というコードネームでARスマートグラスを開発中であり、今年末までの発表を目指していることが明らかになった。このスマートグラスは、同社が開発中のProject Moohanヘッドセットとともにスマートグラス市場への本格参入を示す重要な製品として注目されている。

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進行中の「Haean」プロジェクトの詳細

韓国メディアのET Newsによると、Samsungは「Haean」と呼ばれるプロジェクトを進行中で、現在は具体的な機能と仕様を確定する段階にあるという。このスマートグラスは、目を完全に覆うヘッドマウント型のVRデバイスとは異なり、通常の眼鏡のように装着できる形状を採用。眼鏡のレンズ上にデジタル情報や映像を表示し、フレーム部分からは音声が伝達される設計になるとされている。

Samsungは特に着用感にこだわっており、様々な顔の形状に適合するよう人間工学に基づいた設計に注力していると伝えられている。また、スマートグラスという形状上、物理的なボタンやリモコンの搭載が難しいため、動きを認識するカメラとセンサーを搭載し、ジェスチャーや音声による直感的な操作を実現する予定だ。

技術的な詳細については、QualcommのSnapdragon XR2 Plus Gen 2チップ(Project Moohanと同じプロセッサ)で駆動される可能性が指摘されており、12MPカメラと155mAhバッテリーを搭載するという情報もある。ただし、これらの仕様は現時点で正式に確認されていない。

XR市場戦略と「Project Moohan」との関係

業界関係者によると、Samsungは年末にスマートグラス「Haean」とヘッドマウント型「Project Moohan」を同時に発表する可能性が高いとのことだ。これは、異なる用途やユーザー層に対応するための戦略的な動きと見られている。

Samsungは今年1月のGalaxy Unpackedイベントで「Project Moohan」を公開し、それ以降も様々な発表会や展示会で継続的に紹介している。同イベントでは、スマートグラス型の製品もアイコンとして間接的に示唆されていた。

ヘッドマウント型XRデバイスは、外部光を遮断し顔に密着することで高解像度映像の利点を最大限に活かせるため、高度なXRコンテンツ開発が必要な専門家市場に適している。一方、スマートグラスは薄く軽量で、一般的な眼鏡やサングラスと区別がつかないほどのデザイン実現が可能なため、日常生活や移動中での活用度が高いとされている。

両デバイスは、GoogleとQualcommとの協力の下で開発されるAndroid XRプラットフォームを基盤としている。既に流出したProject Moohanのハンズオン動画からは、このXRヘッドセットがGoogleが開発したAndroid XRオペレーティングシステムを搭載し、Snapdragonチップで駆動されることも確認されている。

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市場競争と技術革新の動向

スマートグラス市場は、Googleグラスの失敗などいくつかの挫折を経験した後、最近になってRay-Ban Metaスマートグラスをはじめとする製品により再び勢いを取り戻しつつある。この市場に製品力のあるSamsungが参入することは大きな変化をもたらす可能性がありそうだ。

Samsungのこの分野への参入は、特にAppleのVision Proが販売面で苦戦しているという報告がある中で注目される動きだ。これまでに、Appleも手頃な価格のXRヘッドセット開発を検討しているとの噂もあり、両社の競争が市場を活性化させる可能性がある。

ET Newsが伝える業界関係者のコメントによれば、「AppleのVision Proがすでに市場に出ている状況で、Samsungにとってはより進んだユーザー体験を提供することが鍵となるだろう」とのことだ。

また、この分野の代表的企業の一つであるXRealは、CES 2025でBMWと協力したAR眼鏡を発表した。このデバイスは、運転者にナビゲーション情報や走行速度、死角の状況などの様々な運転情報をリアルタイムで表示し、より安全でスマートな運転体験を提供するという。このように、スマートグラスの実用的な応用例は着実に増加している。

今後の展望

Samsungは2025年、通常の折りたたみスマートフォン(Galaxy Z Fold7とZ Flip7)に加え、手頃な価格のGalaxy Z Flip7 FE、三つ折りの「Galaxy G Fold」、そして最も薄いGalaxyフォンである「Galaxy S25 Edge」など、多くの革新的な製品を準備していると伝えられている。

そうした中で、スマートグラス「Haean」とXRヘッドセット「Project Moohan」の発表は、Samsungが従来のスマートフォン市場を超えて、拡張現実や仮想現実の分野での影響力を拡大しようとする野心的な取り組みの一環と見られている。

スマートグラスについては、当初はGalaxy S25のUnpackedイベントで発表されるという噂もあったが、実現しなかった。しかし、今後9ヶ月以内には何らかの形で発表される見込みとなっている。

手頃な価格帯を目指しているという情報もあり、AppleのVision Proの高価格設定と比較して、より広いユーザー層を取り込む戦略を取る可能性もある。スマートグラス「Haean」とXRヘッドセット「Project Moohan」の同時発表が実現すれば、それはXR技術の未来を形作る上で大きな一歩となるだろう。


Sources

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