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韓国AI半導体企業FuriosaAI、Metaの8億ドル買収提案を拒否

Y Kobayashi

2025年3月24日

韓国のAI半導体スタートアップFuriosaAIが、米Metaからの8億ドル(約1200億円)の買収提案を拒否し、独立企業として成長する道を選択した。価格ではなく、買収後の事業戦略と組織構造に関する意見の相違が交渉決裂の主な原因とされている。

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買収交渉の経緯と決裂理由

Forbesが以前報じていた所によると、Metaは今年初めからソウルに本拠を置くFuriosaAIの買収について協議を進めていた。提示された買収金額は8億ドルで、これは市場評価額とされる約8000億ウォン(約5.3億ドル)を大きく上回る好条件だった。

しかし、両社は価格ではなく、買収後の事業展開と組織運営をめぐる交渉で合意に至らなかった。韓国・毎日経済新聞によれば、「Metaは自社AI反導体開発で期待以下の成果を経験した後、技術力を持つ海外半導体企業の買収を模索してきた」とされる。同社は昨年10月以降、米国とイスラエルの複数のAI半導体企業を検討した末、最終的にFuriosaAIを有力買収候補として選定したという。

業界関係者の見方では、MetaはFuriosaAIの独自チップ「RNGD(レネゲード)」などのAI半導体開発よりも、自社AI事業向けのカスタムチップ設計を主眼に置き、検証済みのシステムと技術者を一括獲得することに重点を置いていたとされる。一方、FuriosaAI側は独自の事業ビジョンを守る選択をした。

FuriosaAIの技術と事業戦略

FuriosaAIは2017年、米半導体大手AMDとSamsung Electronicsメモリ事業部で設計を担当していたバク・ジュノ(June Paik)氏によって創業された。同社が開発している第2世代プロセッサ「RNGD」は、業界最大手NVIDIAやGroq、SambaNova、Cerebrasなどと競合する高性能AI推論用半導体だ。

このチップは台湾TSMCの5nm製造プロセスを採用し、SK hynixが供給するHBM3メモリを搭載している。毎日経済新聞の報道によれば、RNGDは一般的なGPUと比較して消費電力が25%程度に抑えられる一方、性能効率は2倍に達するという。また、NVIDIAの高性能AIチップ「H100」と比較して半分のコストで運用できる点も強みとされる。

現在、FuriosaAIはLG AI研究所やSaudi Aramcoなど国内外の主要企業とパートナーシップを結び、RNGDチップのテストを進めている。特にSaudi Aramcoは世界的にAI半導体の競争力を認められた4社のみを選定して協業しており、FuriosaAIはその一角を占めているという。

同社の従業員は約150名で、うち15名はシリコンバレーのオフィスに勤務している。毎日経済新聞によれば、従業員の90%以上が開発者であり、マサチューセッツ工科大学(MIT)の博士級人材やGoogle、Qualcom、Samsung Electronics出身のエンジニアで構成されているという。

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今後の資金調達と事業展開

買収交渉の決裂を受け、FuriosaAIは独自の資金調達に注力している。同社は韓国産業銀行から300億ウォン(約30億円)の投資意向書を取得しており、ユジン成長ファンドからの120億ウォンを含め、総額700億ウォン(約7億円)規模の資金を3〜4週間以内に確保する見通しだ。この資金はRNGDの量産準備と運営費に投入される。

Bloombergの報道では、FuriosaAIは将来的に株式公開(IPO)を目指しており、現在進行中のシリーズC資金調達ラウンドを約1ヶ月以内に完了する予定だという。当初の目標額を上回る調達が見込まれている。

同社は今年後半からRNGDの本格量産に着手し、AI半導体市場での収益基盤構築を目指す。バク・ジュノCEOは毎日経済新聞のインタビューで「RNGDの商業的成功が企業公開(IPO)の時期の鍵となる変数であり、我々はRNGDの成功に自信を持っている」と述べている。

AI半導体市場への影響

今回の買収交渉決裂は、急成長するAI半導体市場の競争激化を反映している。Meta、Google、Microsoftなど大手テック企業は、AI開発競争の激化に伴い、NVIDIAへの依存度を低減するため、独自のAIチップ開発に巨額投資を行っている。

Metaは今年1月、最大650億ドルをAIインフラに投資する計画を発表。同社は2023年に初の独自AI推論チップを導入し、昨年にはアップグレード版を発表している。

FuriosaAIのような革新的スタートアップの独立成長は、AI半導体市場の多様化と競争活性化につながる可能性がある。MKによれば、今回の買収交渉決裂は韓国のAI半導体産業全体にも意義ある反響をもたらすと予想され、専門家からは国家戦略産業として浮上したAI半導体の競争力強化に向けた政府の積極的な政策支援が求められているという。

Meta Description


Sources

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