NVIDIAの次世代AI基盤「Feynman」で、Intel Foundryが複数タイルのウェハー製造と先端パッケージを担う可能性が出てきた。Wccftechが2026年7月24日、両社の協議が進んでいると報じた。Intelは前日の決算説明で、EMIB-Tの受注残が増え、2027年の顧客向け量産に備えていると明かしている。技術と時期は重なる。ただし、IntelもNVIDIAもFeynmanの製造契約を発表しておらず、決算資料にも顧客名はない。現時点で確かめられるのは、大型契約を受けられる設備と技術をIntelが整えつつあるところまでだ。
ウェハー製造まで含むとされる案件
Wccftechによると、検討中の案件はウェハー供給と先端パッケージの双方を含み、Intelが担当するのは一つのタイルに限らないという。ダイ同士を横方向につなぐEMIB-Tと、垂直に積むFoveros Direct 3Dを組み合わせる構想も伝えている。Feynmanの一部をIntelが製造し、完成した複数のダイを同社の技術で統合する分業を想定した報道である。
ウェハー製造とパッケージは別の工程だ。前者はシリコン上に回路を形成してダイを作り、後者は演算用チップをメモリーなどと接続して一つのシステムへまとめる。NVIDIAは工程ごとに供給企業を変えられるため、Intelの役割がどこまで及ぶのかは一言では決まらない。今回の報道がIntelの担当範囲を広く描いているのは、パッケージ受託に加えてウェハー製造も含めているからだ。
一方、報道は情報源を「最近の観測」とするにとどまり、契約額やウェハー枚数を示していない。どのタイルをどの製造技術で作るのか、どの工場を使うのか、他社との発注をどう分けるのかも不明だ。契約が締結済みとは書かれておらず、2027年または2028年の発表時期も見通しにすぎない。今回の報道は、製造委託が決まったという発表ではなく、交渉の進展を伝えるものとして読む必要がある。
EMIB-Tは2027年の顧客量産へ
Intelは7月23日の2026年第2四半期決算説明で、EMIB-Tに対する顧客の関心が非常に高く、受注残が増えていると説明した。歩留まりと信頼性は社内目標に達しており、2027年の顧客向け量産を支えられるよう生産規模を引き上げる。顧客名は伏せたままだが、先端AI向けパッケージを量産へ移す日程は具体化している。
EMIB-Tは、パッケージ基板に埋め込んだ小さなシリコンブリッジでダイを横につなぐEMIBの拡張版だ。Intelは高帯域幅メモリー(HBM)の将来世代に向けた技術として2025年に発表した。Foveros Direct 3Dはハイブリッドボンディングでダイを垂直に接続し、接続ピッチを5マイクロメートル未満に縮める。
Intelの公式ロードマップには、14Aの上層ダイと18A-PTの下層ダイをFoveros Direct 3Dと従来のEMIBで統合する構成がある。EMIB-Tは同じ発表で将来のHBM需要に向けた別の選択肢として示された。Intelが2.5D接続と3D積層の双方を提供できることは分かるが、14Aと18A-PTの構成にEMIB-Tを使うと公表したわけではない。
NVIDIAは3月のGTC 2026で、Feynman世代の新GPU、LP40 LPU、Rosa CPUを公表した。ネットワーク側にはBlueField-5とCX10を置き、Kyberでは銅配線とコパッケージドオプティクスの双方を使う。ただし、これはFeynmanを構成するシステム全体の説明だ。どの部品を同じパッケージに収め、どの接続技術を使うかは示していない。
製造技術の日程も近い。Intelは14A向けPDK 0.5を完成させ、PDK 0.9を2026年10月に投入する。自社製品でのリスク生産を2027年後半、量産立ち上げを2028年に計画している。ただしNVIDIAは、Feynmanの製造企業とプロセスを公表していない。パッケージ方式や量産時期も明らかにしていない。技術面で組み合わせられ、予定が重なっているとしても、それは採用の証拠とは別である。
設備投資の増額も同じように扱うべきだ。Intelは2026年の全社設備投資を200億ドル超へ引き上げ、2027年はさらに大幅に増やす。Dave Zinsner CFOは決算説明会の質疑で、投資にEMIB-Tを含め、長期契約を得た分野では数年先の需要を予測できると述べた。しかし設備投資は前工程の工場やクリーンルーム、基板、メモリーにも向かう。NVIDIAの発注が増額を決めたと結び付ける材料は開示されていない。
公表済みの協業にデータセンターGPU製造はない
IntelとNVIDIAはすでに資本・製品面で協業している。両社は2025年9月18日、IntelがNVIDIA向けのデータセンター用x86 CPUを開発し、PC向けにはNVIDIA RTX GPUチップレットを組み込んだx86 SoCを供給すると発表した。NVIDIAはIntel株に50億ドルを投じ、1株23.28ドルで取得することで合意している。
この合意は両社が複数世代の製品を共同開発する関係に入ったことを示すが、データセンターGPUの製造委託は対象に書かれていない。Intelが作るのはNVIDIA仕様のx86 CPUと、Intelが市場へ出すPC用SoCである。今回の報道どおりFeynmanのGPUタイルやパッケージまで委託範囲が広がるなら、既存協業から一段進んだ契約になる。
NVIDIAのFeynman発表にも製造情報はない。同社が明らかにしたのは、Vera Rubinの次に置くアーキテクチャであり、Rosa CPUなどシステムを構成する主要チップまでだ。製造企業やプロセスを公表していない以上、Intel 14AをFeynmanへ使うとの見方は報道上の推定にとどまる。Intel側も決算説明で、14Aの外部顧客やEMIB-Tの発注企業を挙げなかった。
15億ドルを投じたAmkorとの先端パッケージ契約
NVIDIAが7月23日に正式な契約を公表した相手は、IntelではなくAmkor Technologyだった。両社は米国内の先端パッケージ能力を拡張するため、15億ドルの複数年契約を結んだ。NVIDIAが前払いし、高密度配線と次世代の異種チップ統合を共同開発する。対象は次世代AIおよびアクセラレーテッドコンピューティング基盤とされ、特定の製品名は明かされていない。
Amkor契約は、NVIDIAが将来製品に必要なパッケージ容量を長期契約と前払いで押さえ始めた事実を示す。Intelの決算説明に出た「長期契約」とも動きは似ている。ただしAmkorの発表に独占条項はなく、Feynmanの名前もない。NVIDIAがAmkorへ発注したからIntelを使わないとも、両社が同じ製品を分担するとも決められない。
AIアクセラレーターの生産では、先端ウェハーとHBMを確保したうえで、基板に載せて2.5D接続や3D積層を施す。各工程の準備には長い時間がかかる。単一企業で全工程の容量を確保するより、複数の供給経路を持つ方が増産と障害対応には有利だ。NVIDIAがAmkorとの契約を公表した翌日にIntel採用報道が出たことで、Feynman世代の調達を複線化するという見方も成り立つ。ただし、その判断を確定できるのは、IntelとNVIDIAが担当タイル、製造技術、生産時期を明かした時である。



