Signal65は2026年8月13日、Qualcommの委託を受け、市販の16型プレミアム薄型Windowsノート3機を比較したレポートを公表した。Snapdragon X2 Elite Extreme搭載のASUS Zenbook A16は、CPUとAIの主要ベンチマークでIntel機とAMD機を大きく上回り、Cinebench 2026のマルチスレッドでは最大87%の差が付いた。これまでのSnapdragonファミリー検証にはリファレンス設計を使っていたが、今回は2026年7月に市場価格で購入した製品を並べた。ただし、これは3台の完成品を比べた結果であり、チップ単体の序列を確定する試験ではない。

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市販16型3機で最大87%の開き

比較したのは、Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-96-100を積むZenbook A16、Core Ultra X9 388HのMSI Prestige 16 Flip AI+、Ryzen AI 9 465のHP OmniBook X Flip 16である。Signal65によると、3機はいずれもWindows 11 Homeで仮想化ベースのセキュリティ(VBS)を有効にし、各テストは複数回実行した平均値を使った。AC接続時には「Best Performance」と「Balanced」、電池駆動時にはBalancedを比較している。

Geekbench 7のBest Performanceでは、マルチコアがSnapdragon機27,519、Intel機17,990、AMD機15,023となり、Snapdragon機はIntel機を53%、AMD機を83%上回った。Cinebench 2026のマルチスレッドも6,998、3,732、3,785で、差はIntel機に87%、AMD機に85%だった。Signal65はQualcommを含むテック企業へ研究、助言、ラボ業務を提供すると開示しており、この数値は委託先の測定値として読む必要がある。

一方、3機の条件は揃っていない。Zenbook A16は48GBメモリと66.5Wh電池、MSI機は32GBメモリと82.0Wh電池、HP機は32GBメモリと67.3Wh電池を搭載する。画面解像度もZenbook A16とMSI機は2880×1800、HP機は1920×1200で、ストレージ容量にも差がある。同じCPUを別のOEM設計へ載せたときに、順位や開きがそのまま再現するとは限らない。

18コアと80 TOPSはどこに効いたか

Qualcommの製品概要によれば、X2E-96-100は18コアCPU、最大5.0GHz53MBキャッシュ、80 TOPSのHexagon NPU、228GB/sのLPDDR5Xメモリ帯域を備える。対するCore Ultra X9 388Hは16コア、50 TOPSのNPU、Ryzen AI 9 465は10コア20スレッドと50 TOPSのNPUである。コア数、NPU性能、メモリ帯域の違いは、CPUマルチスレッドとAIで差が広がった背景になる。ただし、このベンチマークだけでは各仕様がスコアへ寄与した割合を切り分けられない。

シングルコアにも差は出た。Geekbench 7のBest PerformanceではSnapdragon機が3,438で、Intel機の2,639を30%、AMD機の2,614を32%上回った。Cinebench 2026のシングルスレッドは622、502、460で、差は24%35%である。CPUの高いマルチスレッド値を、一般的な作業すべてが同じ割合で速くなる意味に広げることはできない。

AIではProcyon AI Computer VisionのBest PerformanceがSnapdragon機4,414、Intel機2,265、AMD機1,809となり、Signal65はIntel比1.9倍、AMD比2.4倍とした。Computer Vision 2.0のWinMLでもスコアは2,170、1,601、1,143で、Snapdragon機は36%90%上回る。画像認識系のこの測定は、互換性や実際のアプリケーションの応答を検証したものではない。

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充電器を抜いたときのCPUとAIの順位

Snapdragon機を電池駆動・Balancedに置き、Intel機をAC接続・Best Performanceで動かしても、Signal65のCPU・AIテストではSnapdragon機が先行した。Geekbench 7はマルチコアで43%、シングルコアで29%、Cinebench 2026はマルチスレッドで26%、シングルスレッドで20%、AI Computer Visionでは79%の差だった。一方、この条件ではOfficeでIntel機が上回り、ブラウザは実質同等だった。CPU・AI以外まで同じ順位になるとは限らない。

Balanced設定のAC性能を電池時にどれだけ保てたかを6テスト平均で見ると、Snapdragon機は92%、Intel機は94%、AMD機は81%だった。Snapdragon機も常に同じ水準を維持したわけではなく、Cinebenchのマルチスレッド保持率は67%まで下がった。電源を外した際の強さは、平均値と個別ワークロードを分けて見るべき結果になっている。

GPUとOfficeの電池持続時間はIntel優位

内蔵GPUを測る3DMark Steel Nomad Lightでは、Core Ultra X9 388H機がSnapdragon機を上回った。Best PerformanceのDX12スコアはIntel機5,848、Snapdragon機5,419、AMD機3,373で、Intel機はSnapdragon機より8%高い。Vulkanでも6,203、5,555、3,087となり、差は12%だった。CPUとAIの優位を、ゲームやGPU性能まで広げることはできない。

Officeの結果も用途で異なる。Procyon OfficeのBest Performance総合はSnapdragon機8,737、Intel機7,518、AMD機7,296だったが、Balancedでは7,709、7,316、7,065まで接近し、優位は5%9%に縮んだ。OutlookではIntel機、WordではAMD機がSnapdragon機と実質同等だった。軽い生産性作業では、CPUやAIの最大差がそのまま現れるわけではない。

Best Power Efficiencyで測った電池持続時間は、ローカル動画でSnapdragon機14.2時間、Intel機12.2時間、AMD機6.9時間だった。Chromeブラウジングは10.3時間、9.0時間、10.4時間でAMD機も実質同等、Procyon Officeは11.4時間、13.4時間、6.2時間でIntel機がSnapdragon機より2時間長い。電池容量1Wh当たりではSnapdragon機が動画とOfficeで最長だった。ただし、容量補正後の効率は、実際に何時間使えるかとは別の指標である。

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価格性能比より構成差を見る

2026年7月の購入価格はSnapdragon機が1,699ドル、Intel機が2,299ドル、AMD機が1,649ドルだった。Signal65はGeekbench 7マルチコア、Cinebench 2026マルチスレッド、AI Computer Visionの3指標で価格性能比を算出し、Snapdragon機を1.00とするとIntel機は0.48、0.39、0.38、AMD機は0.56、0.56、0.42とした。3指標の平均ではSnapdragon機がIntel機比2.4倍、AMD機比1.9倍となるが、全テストやすべての作業を平均した値ではない。

価格差には、CPU以外の構成も混ざる。Snapdragon機は48GBメモリと1TBストレージ、Intel機は32GB1TB、AMD機は32GB512GBであり、電池容量と画面解像度も異なる。その後の値引きや地域ごとの価格差も反映されない。したがって、価格性能比は同じ条件で選んだ3種類の測定を、2026年7月の購入価格で割った指標として扱う必要がある。

独立したNotebookcheckのZenbook A16レビューでも、下位のX2E-94-100はCinebench 2024マルチコアでCore Ultra 7 356H機とRyzen AI 9 465機を上回った一方、Cinebench R23では差が3%8%に縮んだ。Signal65の同一機比較を裏付ける試験ではないが、テスト世代と実装によって開きが変わる比較材料にはなる。互換性、ゲームの実アプリ性能、ドライバーの成熟度、外部GPU、Linux対応はSignal65レポートの対象外である。製品を選ぶ際には、CPUとAIの数値に加え、自分の使うソフトウェアでGPU、電池、互換性を確認して初めて、この比較の意味を判断できる。