Seagate Technologyは2026年7月28日、2026年度第4四半期の売上高が前年同期比48%増の36億2900万ドルになり、非GAAP粗利率が過去最高の52.7%に達したと発表した。HDDメーカーとしては異例の収益性であり、次の四半期には非GAAP営業利益率を約50%まで引き上げる見通しである。Seagateによれば、AIを組み込んだアプリがデータ生成と保存期間を広げる一方、クラウド事業者はHDDの供給を長期で確保している。同社は面記録密度を高めるHAMRと価格・供給規律を組み合わせ、HDDの稼ぎ方を変え始めた。

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粗利率52.7%が物語る、売上増より大きな変化

第4四半期のGAAP粗利率は52.3%で、前年同期の37.4%から14.9ポイント上昇した。非GAAPでは37.9%から52.7%へ14.8ポイント伸び、前四半期比でも5.7ポイント上がっている。売上高は前四半期から17%増えた一方、非GAAP営業費用は2億9600万ドルから2億9300万ドルへ1%減った。営業費用をほぼ増やさず増収を取り込んだ結果、非GAAP営業利益率は44.6%、純利益は13億1900万ドルに達した。

この伸びを四半期の日数差で説明することはできない。Seagateの2026年度は53週だったが、追加の1週は第1四半期に含まれており、第4四半期は前年同期と同じ13週である。通期売上高の34%増には期間差がわずかに効く一方、第4四半期の48%増は同じ長さの期間を比べた数字だ。

売上の内訳は、収益性が上がった理由をさらに絞り込む。データセンター向け売上高は前年同期比57%増の29億3300万ドルとなり、全体の81%を占めた。データセンター向け出荷容量は43%増の195EBで、売上高の方が速く伸びている。製品構成やシステム売上を含むため、両者の比率をそのままHDDの販売単価とは呼べない。それでも、売上高は出荷容量を上回る速さで増えた。

Seagateは前四半期の決算説明で、粗利率の改善に長期的な価格戦略と製品構成が効き、データセンター向けのテラバイト当たり売上高が前年同期比で1桁台半ば上昇したと説明していた。今回も出荷容量より売上高が強く伸び、非GAAP粗利率がさらに上がった。価格、構成、高容量品の原価低下という三つの力が続いたと考えるのが、開示済みの数字と最も整合する。

2028年分まで埋まるニアラインHDDの供給枠

Seagateが第4四半期に出荷したHDDは容量ベースで218EB、その約90%がデータセンター向けだった。クラウドや大企業が大規模なデータ保管に使うニアラインHDDは195EBに達し、前年同期から43%増えた。対照的に、非ニアライン製品は10%減の23EBである。Seagateは、AIを組み込んだアプリがデータ生成を速め、保存期間を延ばし、高度な推論で過去のデータセットを使う場面を増やすと説明する。成長の中心は大容量ドライブへ移ってきた。

需給の時間軸はさらに長い。Seagateによれば、ニアラインHDDの供給枠は2028年分までおおむね割り当てられ、顧客は2029年以降の調達計画を話し始めている。これは監査済みの受注残ではなく、すべての数量と価格が確定したという意味でもない。ただ、クラウド事業者が数四半期先のスポット調達ではなく、複数年で容量を確保しようとしていることは分かる。メーカー側は需要の見通しを得やすくなり、値下げして工場稼働率を守る必要も小さくなる。

競合のWestern Digitalにも同じ圧力がかかる。同社の2026年度第3四半期は売上高が45%増え、非GAAP粗利率は50.5%に達した。続く第4四半期にも51〜52%を見込む。Seagate固有のHAMR技術が差を作る一方、2社がそろって50%台へ入った事実から、価格規律と供給の逼迫がHDD業界全体を押し上げたと判断できる。

ただし、ニアラインの供給枠が埋まっても、店頭の外付けHDDまで直ちに消えるわけではない。SeagateのEdge IoT売上高は6億9700万ドルで20%増えており、非ニアライン市場は別の需給で動く。影響はまず、製造資源と新技術が最も高い価値を生むクラウド向けへ優先配分される形で表れる。

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44TBのMozaic 4+はなぜ利益を押し上げるのか

Mozaic 4+は熱アシスト磁気記録(HAMR)で面記録密度を高め、最大44TBを収容する。Seagateは2026年3月までに世界の大手クラウド事業者2社で認定を終え、量産出荷を始めた。第4四半期の資料では、この2社で増産中であり、ほかの顧客でも認定作業が進んでいる。

メーカー側の利点は、ドライブを構成する部品の増加を抑えながら容量を上げられることにある。Seagateの説明では、Mozaic 4+は第1世代のMozaicより30%以上多い容量を、同じディスク枚数とヘッド数、最小限の部材変更で実現する。出荷台数が横ばいでも、工場から出せるEBは増える。前四半期の説明会で経営陣が、40TB製品の原価低下、販売価格、製品構成を利益率改善の要因に挙げた理由はここにある。

顧客にも経済効果がある。Seagateの社内試算では、30TB製品で1EBを構成する場合と比べ、Mozaic 4+はインフラ効率を約47%改善し、床面積を約100平方フィート、年間電力を約80万kWh減らせる。ドライブ数が減れば、筐体やラック、冷却、交換作業も減るためだ。メーカーが容量当たりの価値を価格に反映しながら、顧客の総保有コストも下げられるなら、双方が高密度化の利益を分け合える。

もっとも、HAMRは無条件に利益を生む技術ではない。Seagateは従来の垂直磁気記録より製造サイクルがやや長いと説明しており、歩留まりの改善と顧客認定が増産速度を決める。2026年度の設備投資は5億6900万ドルと前年の2億6500万ドルから倍増した。売上高の約4.7%に収まるものの、高密度化には先行投資が要る。次世代Mozaic 5+の認定用出荷も2027年末の予定であり、50TB級への移行にはまだ時間がかかる。

Western Digitalは別の道を選んだ。40TBのUltraSMR ePMR製品はクラウド事業者2社で認定中で、2026年後半に量産する一方、HAMRの本格量産は2027年に始める計画だ。Seagateは44TB HAMRを先に量産へ入れたが、競争相手は既存技術を伸ばして容量差を詰めようとする。技術優位を利益へ変え続けるには、Mozaic 4+の増産と歩留まり改善を、ePMR陣営の量産速度より早く進める必要がある。

営業利益率50%を確かめる三つの数字

利益率の上昇は現金にも変わった。第4四半期の営業キャッシュフローは13億500万ドル、設備投資を差し引いたフリーキャッシュフローは11億1800万ドルだった。2026年度を通じて総負債を14億ドル減らし、期末の純負債は18億9900万ドル、純レバレッジ比率は0.4倍まで下がった。HAMRへの設備投資を増やしながら財務負担を軽くできた点は、今回の利益が会計上の数字に終わっていないことを裏づける。

2027年度第1四半期について、Seagateは売上高41億ドルを中心に上下1億ドル、非GAAP営業利益率を約50%、非GAAP希薄化後1株利益を7.30ドルを中心に上下0.20ドルと予想する。売上高の中央値は今回から13%増える計算だが、非GAAP営業費用は約3億ドルとほぼ横ばいを見込む。供給枠、価格、高密度化がそろえば、増収の大部分が営業利益に入る設計である。

持続性を判断する数字は三つある。ニアライン出荷容量が195EBからどこまで増えるか、Mozaic 4+がHAMR出荷の中心へ移れるか、そして50%の営業利益率を実際に確保できるかだ。需要の強さは2028年の割当状況に現れている。Seagateが証明すべきなのは、その需要を台数増ではなく面記録密度で満たし、現在の利益率を次世代製品へつなげられるかである。