TrendForceは2026年4月15日、一般サーバー向け部品の交期長期化を理由に、2026年のサーバー出荷成長率予測を従来の20%近辺から13%前後へ引き下げた。GPUやHBMに続いて詰まっているのは、電源管理IC(PMIC)やベースボード管理コントローラー(BMC)という、派手さはないがサーバーの量産に欠かせない部品である。AIサーバーが高採算の部品と8インチ成熟プロセスを先に押さえるほど、企業が買う一般サーバーの納期は読みづらくなる。AIデータセンター投資の影響は、アクセラレーター不足から周辺ICの割り当て問題へ広がっているのだ。
13%予測への下方修正は、部品待ちが主因
TrendForce傘下のDRAMeXchangeは2026年4月15日、2026年のサーバー出荷成長率について、従来は前年比20%近くを見込んでいたが、現時点では13%前後にとどまるとの見方を示した。一般サーバーの需要そのものは堅調で、制約はPCBやCPUなど複数の主要部品に出ている。一部の交期はほぼ1年に延び、The Registerは4月23日、この制約がPMICとBMCにも広がったと報じた。サーバーベンダーと部品供給側は、高採算のAI向け製品を優先している。
2026年のAIサーバー出荷は、同じTrendForceの見通しで前年比約28%増とされる。1月20日時点の発表では、Google、AWS、Meta、Microsoft、Oracleを含む北米大手クラウドサービス事業者5社の設備投資が2026年に前年比40%増えるとされ、推論処理を支える一般サーバーの更新需要も押し上げる構図だった。4月時点の修正は、AI需要の強さが一般サーバー側の部品割り当てを削るという供給配分の問題を示している。
調達上の焦点は、最大手クラウド事業者と一般企業の発注力の差である。AWS、Microsoft、Googleのような大口顧客は早い段階で注文や長期契約を押さえやすい一方、企業のオンプレミス更新や中堅クラウド、SIer向けの一般サーバーは後回しになりやすい。サーバー市場全体の数字では13%成長でも、実際の現場では「欲しい構成だけが遅い」「保守切れ前の更新が間に合わない」といった形で影響が出る可能性がある。
PMICとBMCが、AIサーバー量産の詰まりに繋がった
PMICの交期は、TrendForceによれば従来の21〜26週から35〜40週へ延びる見通しである。AIサーバーはGPUアクセラレーターや高密度メモリを多数搭載し、一般サーバーより高い電力密度と精密な電源制御を必要とする。供給側から見ると、AI向けPMICは高電流密度で単価も採算性も高く、限られた8インチBCD(Bipolar-CMOS-DMOS)プロセスの割り当てを優先しやすい。
BMCの交期も、従来の11〜16週から21〜26週へ伸びている。BMCはサーバーマザーボード上で電源投入、温度、ファン、障害監視、リモート管理などを担う管理用チップで、CPUやGPUほど注目されないが、サーバーとして出荷するには欠かせない。TrendForceは、BMCも成熟ノードで製造されるため、ファウンドリの能力が限られるなかで高採算かつ急ぎのAI専用チップ注文が優先され、一般用途の割り当てが圧縮されていると説明している。
2026年1月13日のTrendForce調査は、8インチウェハー市場そのものの構造変化も示していた。TSMCとSamsungが8インチ生産能力を縮小し、世界の8インチ能力は2026年に前年比2.4%減る見通しである。一方、AIサーバーやエッジAI向けの電源関連IC需要は増え続け、世界平均の8インチ稼働率は2025年の75〜80%から2026年には85〜90%へ上がると予測された。成熟プロセスは、AIブームの外側にある部品ほど代替が難しい制約になり始めている。
8インチ能力2.4%減が、成熟ノード部品の待ち時間を延ばす
ポストコロナ期の半導体不足では、車載マイコンやアナログICなど成熟プロセス品の不足が自動車生産を止めた。2026年のサーバー部品不足も、問題の形は近い。AIデータセンターの前面に出るのはGPU、HBM、先端パッケージ、液冷設備だが、ラックを実際に組み上げるにはPMIC、BMC、PCB、HDD、汎用CPUなどの周辺部品が同時にそろう必要がある。
8インチラインは、新設から量産までに時間がかかる設備である。TrendForceは、TSMCが2025年から一部8インチ能力の段階的縮小を始め、2027年までに一部工場を閉鎖する計画だと説明している。Samsungも2025年から8インチ能力削減を始め、韓国のS7 8インチ工場の閉鎖計画がPMIC供給をさらに圧迫するとされる。中国や台湾以外の第2階層ファウンドリが増産しても、大手2社の縮小分を完全には埋められないというのが、2026年の需給見通しである。
2026年第2四半期のメモリ市場でも、同じ「AI優先」の配分が見える。TrendForceは3月31日、通常DRAMの契約価格が前四半期比58〜63%、NAND Flashが70〜75%上がる見通しを示し、DRAMメーカーがHBMとサーバー用途へ能力を振り向けていると説明した。高性能SSDも生成AIの大規模導入で需要が強く、意味のある能力増強は2027年後半から2028年まで難しいとされる。PMICとBMCの不足は、AI向けに高採算用途を優先する供給配分の一部である。
企業ユーザーの影響は、価格より先に納期と構成制約で表れる
2026年の企業サーバー更新では、予算を積めばすぐ納品されるという前提が崩れやすい。PMICが35〜40週、BMCが21〜26週、PCBやCPUがほぼ1年という水準になれば、通常の四半期単位の調達計画では吸収しにくい。とくに、仮想化基盤、ストレージ、社内AI推論、VDI、監視基盤などを同時に更新する企業では、サーバー本体の納期遅延がソフトウェア移行や保守契約の期限にも波及する。
大口クラウド事業者にとっては、部品不足は価格上昇や一部構成の遅れで済む可能性がある。TrendForceはAIサーバー側についても、MetaやAWSの自社ASICの検証と調整に時間がかかるため、出荷時期に遅れが出るリスクを挙げ、ASIC系AIサーバー比率を従来の28%近辺から27%前後へ小幅に下げた。それでもGPU系が大宗を占め、AIサーバー全体は約28%増が見込まれている。供給制約のしわ寄せは、AIサーバーを買う最大顧客よりも、一般サーバーを必要とする中小規模の顧客に強く出やすい。
2026年後半の調達では、GPUの入手性に加えて周辺部品の最長納期を確認する必要がある。サーバーベンダーの見積もりでは、PMIC、BMC、PCB、CPU、メモリ、SSDのどれが最長納期部品になっているかを個別に見る必要がある。代替機種、前倒し発注、保守延長、クラウド移行、既存機の延命を組み合わせる判断は、AI投資をしていない企業にも求められる。AIブームのコストは、モデル開発企業のGPU予算だけでなく、一般企業のサーバー更新計画にも成熟ノード部品の待ち時間として入り込んでいる。
Sources
DRAMeXchange / TrendForce: Extended Component Lead Times Weigh on General Server Growth; 2026 Server Shipments Forecast to Grow 13% YoY, Says TrendForce
TrendForce:
- Global AI Server Shipments Forecast to Grow Over 28% YoY in 2026, with a Rising Share of ASIC-Based Systems, Says TrendForce
- Rising AI-Driven Demand for Power ICs and Capacity Cuts Fuels Potential 8-Inch Foundry Price Hikes, Says TrendForce
- AI Server Demand to Drive Memory Contract Price Increases in 2Q26 as CSPs Secure Supply via Long-Term Agreements
- [News] Global 8-Inch Wafer Market Tightens: Samsung Giheung S7, TSMC Closures Put China Fabs in Spotlight
The Register: AI now gobbling up power and management chips for servers