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Google、2027年のPixel 11aとTablet 3向けに低コスト版Tensor G6チップを開発中?パフォーマンスを制限し差別化

Y Kobayashi

2024年11月1日

Googleが2027年に向けて、エントリーレベルのPixelデバイス向けに機能を制限したTensor G6プロセッサの開発を進めていることが明らかになった。この新戦略により、フラッグシップモデルとの差別化を図る狙いのようだ。

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低コスト版Tensor G6の開発背景

Googleは現在、A シリーズのPixelスマートフォンに対してフラッグシップモデルと同じTensorチップを搭載している。しかし、2027年のPixel 11aおよびPixel Tablet 3においては、AIパフォーマンスを意図的に制限した新バージョンのTensor G6チップの採用を検討していることが、内部文書から判明した。

この戦略転換の背景には、現行のAシリーズモデルが通常版Pixelと仕様が近すぎるという課題がある。実際、Googleは以前、Aシリーズの発売を2年に1度にすることも検討していた。

内部文書によれば、Googleは従来であれば廃棄していたTensor G6チップの不良品を、AIパフォーマンスを意図的に制限することで再利用する計画を進めているようだ。これは、半導体製造における歩留まり向上と環境負荷低減という二つの課題に対処する物だ。

具体的には以下の工程が想定される:

  • TPU(テンソル処理ユニット)の一部に不具合が発生したチップを選別
  • 不具合部分を意図的に「フューズオフ(無効化)」
  • 低価格帯デバイス向けの「機能制限版」として再定義

新チップの技術的特徴

新開発中のTensor G6の低コストバージョンには、以下のような特徴があるようだ:

  • TSMCの2nmプロセスを採用
  • InFOパッケージング技術を使用
  • AIパフォーマンスを制限することで製造コストを削減

特筆すべきは、これまでGoogleがSamsung製造のチップで採用していたIPoP(Integrated Package on Package)からTSMCのInFO技術への移行である。この技術変更に伴い、不良品として廃棄されていたチップの一部を、TPUの機能を制限することで再利用する方針のようだ。

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製品戦略の転換点

新チップの採用により、Googleの製品ラインナップは以下のような構成となる予定である:

  • プレミアムライン:Pixel 11/11 Pro(フル機能版Tensor G6搭載)
  • フォルダブル:Pixel Fold(フル機能版Tensor G6搭載)
  • エントリーモデル:Pixel 11a(機能制限版Tensor G6搭載)
  • タブレット:Pixel Tablet 3(機能制限版Tensor G6搭載)

また、Pixel Tabletに関しては2年サイクルでの製品リリースが計画されていることも判明した。Pixel Tablet 2が2025年に登場し、Pixel Tablet 3がその2年後の2027年に登場する計画のようだ。

Googleの新たな取り組みは、モバイル市場における複数の課題を同時に解決する包括的なアプローチとして評価できる。まず、AIパフォーマンスという定量的な指標による製品差別化は、価格帯ごとの価値提案を明確化する。これにより、フラッグシップモデルとエントリーモデル間で曖昧だった境界線が、ユーザーにとってより理解しやすいものとなる。

環境面での貢献も見逃せない。半導体製造過程で不可避的に発生する不良品を戦略的に活用することで、廃棄物の削減に寄与する。これは単なる環境負荷の低減にとどまらず、製造リソースの効率的な活用という観点からも、持続可能な製造モデルの構築につながる可能性を秘めている。

さらに、市場ポジショニングの観点からも重要な意味を持つ。エントリー市場においては、機能を最適化することで価格競争力を高めつつ、同時にプレミアム市場における既存モデルの価値提案を保護する効果が期待できる。これは、スマートフォン市場の成熟化が進む中で、限られたリソースを最大限に活用しながら、市場全体でのプレゼンスを維持・強化するための巧妙な戦略といえるだろう。


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