Intelは悲惨な決算発表を行い、株価が一日で30%近くもの下落を見せるなど、ドン底の状況にいるようにも思えるが、もしかしたらライバルによってこの状況が変わるかも知れない。新たな情報では、NVIDIAがIntelに製造を委託する可能性が浮上したのだ。
TSMCだけでは賄いきれないNVIDIAチップへの莫大な需要
この異例の展開は、NVIDIAが直面している深刻な供給不足に端を発している。AI需要の爆発的な増加により、NVIDIAの高性能AI GPU、特にH100シリーズの需要が急増している。しかし、現在の主要製造パートナーであるTSMCの生産能力だけでは、この需要を満たすことが困難になってきている。
TSMCの先進的なCoWoS-S(Chip on Wafer on Substrate)パッケージング技術は、NVIDIAのA100、A800、H100、H800などの高性能AI GPUの製造に不可欠だ。しかし、この技術の供給が逼迫しており、2024年末までにTSMCが生産能力を倍増させる計画を立てているにもかかわらず、需要を完全に満たすことは難しいとされている。NVIDIAはTSMCにNVIDIA専用のCoWoSパッケージ製造ラインを立ち上げるように要請したが、TSMCから強い態度で断られたと伝えられている。
このような状況下で、NVIDIAは新たな製造パートナーを模索せざるを得なくなった。そこで浮上してきたのが、かつてのライバル企業であるIntelだ。Intelは近年、「IDM 2.0」戦略の下でファウンドリ事業を強化しており、今年2月には「Intel Foundry」を設立。AIに特化したシステムレベルの製造サービスの提供を開始している。
特に注目されているのが、IntelのFoveros 3D積層技術だ。この技術は、TSMCのCoWoS-Sと競合する先進的なパッケージング技術として評価されている。Intelの22FFL(22nm FinFET Low Power)プロセスを用いたインターポーザー(中間層)は、TSMCの65nmプロセスを用いたものと比較して、より高性能な製品を生み出す可能性があるのだ。
報道によると、IntelはNVIDIAのために月間約5,000枚のウェハーを生産する可能性があるという。これは、月間約30万個のGPUチップに相当する規模だ。この生産量は、現在のTSMCの生産能力を大きく上回るものであり、NVIDIAの供給不足解消に大きく貢献する可能性がある。
この潜在的な提携は、両社にとって大きな意味を持つ。NVIDIAにとっては、急増するAI GPU需要に対応するための重要な一手となる。一方、Intelにとっては、ファウンドリ事業を大きく飛躍させる絶好の機会となる。特に、近年財務面で苦戦しているIntelにとって、この提携は「渡りに船」と言えるかもしれない。
AI革命が進む中、半導体業界はかつてない変革の時期を迎えている。NVIDIAとIntelの潜在的な提携は、この変革の象徴的な出来事となるかもしれない。
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