Appleは米国時間の2026年10月26日(日本時間27日)、iOS 27.2の配信を開始した。今回の更新では、ベータ版として提供されている「Siri AI」が日本語に対応し、過去の会話を踏まえた応答や個人情報の参照機能が強化された。写真の共有やPodcastsの再生など、日常的に使うアプリにもさまざまな改善が加わっている。さらに、iOS 27.2とiPadOS 27.2の公式セキュリティ情報には、重複を除いて163件のCVE(共通脆弱性識別子)が記載されている。ただし、OSを更新できる機種と新機能を利用できる機種は必ずしも一致せず、言語設定や周辺機器によっても使える機能が異なる。

iOS 27.2への更新とSiri AIの利用には、それぞれ異なる機種要件が設けられている。例えば、iPhone 15とiPhone 15 PlusはiOS 27.2に更新できるものの、Siri AIには対応していない。一方、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxは両方に対応する。Appleが公開している対応機種一覧には、iPhone 11以降の各シリーズに加え、iPhone SEの第2・第3世代、iPhone Air、iPhone Duoなどが掲載されている。

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日本語に対応したSiri AI、過去の会話や個人情報の参照機能も強化

Appleの発表によると、Siri AIは今回、日本語、フランス語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語の5言語に新たに対応した。従来の英語を含め、利用可能な言語は計6言語となる。ただし、iOS 27.2が正式版として提供される一方、Siri AI自体は引き続きベータ版という位置づけだ。また、日本語への対応が発表されたからといって、Siri AIに関連するすべての機能を日本語で利用できるわけではない。

以下は、10月27日時点のAppleの更新履歴と機能の提供状況、各機種のガイドを照合した主な変更点と利用条件だ。

対象 主な変更点 利用条件・注意点
iOS 27.2 新機能の追加とセキュリティ修正 OS対応機種でも、機種・地域・言語・通信事業者によって利用できる機能が異なる
Siri AI 日本語を含む5言語に対応。会話や個人情報の参照機能も改善 iPhone 15 Pro/Pro Maxと全iPhone 16モデル以降。Apple Intelligenceの有効化と対応言語の設定が必要。ベータ版として提供
メッセージの提案 会話の内容から予定やリマインダーなどの操作を提案 公式の機能提供状況では英語9地域のみ。日本語は対象外
写真・Image Playground 多くのAI生成・編集画像にSynthIDの電子透かしを埋め込む 画像の来歴を確認するための仕組みであり、あらゆる画像の真偽を判定するものではない
iPhone Duo・ショートカット Duoの開閉をきっかけにした自動化を追加。Pencil関連の機能にも対応 開閉トリガーはDuo専用。Pencilのモデルや接続条件は別途確認が必要
HomePod関連 照明演出や音声連携などを拡充 HomePod側の更新と対応モデルの確認が必要。4台サラウンドにはApple TVの世代要件もある

このように、OSの対応機種、Siri AIの対応機種、日本語で使える機能、iPhone Duo専用の機能は、それぞれ範囲が異なる。OSのバージョンが同じでも、すべての端末で同じ機能を利用できるわけではない。

Siri AIの主な改善点の一つが、過去の会話を踏まえて応答する機能だ。例えばAppleは、前の週にSiriが勧めたレストランについて、後から改めて尋ねる使い方を紹介している。現在の質問だけでなく、以前のやり取りを参照できるため、同じ相談を最初から説明し直す手間を減らせる。

個人情報の検索機能も拡張された。従来の参照対象に加え、メッセージに添付された写真、カレンダーの予定に登録された参加者、留守番電話の内容なども検索できるようになる。Safariの閲覧履歴やリーディングリストを使った検索結果も改善されるという。つまり、今回の更新では、過去の会話を踏まえる能力と、ユーザーに関する情報を探す能力の両方が強化されている。

一方、参照される情報をユーザー自身が管理するための機能も追加された。新たな「除外するアプリ」設定では、Siriや検索、提案機能の参照対象から外したいアプリを一か所で指定できる。また、Siri AIの回答から必要な部分だけを選択してコピーする操作にも対応し、長い回答を丸ごとコピーしてから編集する手間が省ける。情報へのアクセス範囲を管理する機能と、回答を利用する際の操作性がともに改善された形だ。

Siri AIを利用するには、iPhone 15 Pro/Pro Maxまたは全iPhone 16モデル以降の対応端末でApple Intelligenceを有効にし、対応言語を設定する必要がある。13歳未満は利用できず、地域による制限も設けられている。Appleの更新履歴によると、iOS・iPadOS・watchOSではEUで利用できず、中国本土も提供対象に含まれていない。

また、Apple Intelligenceのうち、サーバー上のモデルを利用する一部機能には、1日当たりの利用上限が設定されている。Siri AIもその対象で、上限は使用する機能や要求の複雑さ、システムの需要などによって変動する。Appleは将来的に、有料で利用枠を拡大できる仕組みを導入する予定だとしているが、具体的な利用回数や料金は明らかにしていない。

日本語対応で特に注意したいのが、メッセージの会話内容に応じて操作を提案する新機能だ。例えば、夕食について相談している会話からカレンダーへの予定追加を提案するなど、メッセージの内容を予定やリマインダーの作成につなげられる。ただし、10月27日時点の公式な機能提供状況では、「Apple Intelligence: Messages: Suggestions」の対応言語・地域は英語9地域に限られており、日本語は含まれていない。Siri AIが日本語に対応したことと、関連するすべての機能が日本語で使えることは区別する必要がある。

写真の共有機能を改善、AI生成画像にはSynthIDの電子透かしを追加

写真アプリでは、共有アルバムの使い勝手が改善された。共有した写真のキャプションやコメントを後から編集できるようになったほか、同じ写真を誤って重複追加することも防げる。さらに、アルバムの有効期限が切れる前に、参加者へ写真や動画の保存を促すリマインダーを表示できるようになった。共有後の説明の修正や、大切な写真を保存し忘れる問題への対策が強化されている。

もう一つの重要な変更が、写真アプリとImage PlaygroundによるSynthIDへの対応だ。SynthIDはGoogle DeepMindが開発した、画像に埋め込む目に見えない電子透かし技術である。AppleのiPhoneガイドによると、iOS 27.2以降では、Apple Intelligenceのツールで生成・編集された多くの画像にSynthIDが埋め込まれる。これにより、画像がAIによって生成または編集されたものかどうかを確認するための手がかりが加わる。

Google DeepMindの説明によると、SynthIDは画像の切り抜きや圧縮などの加工にも耐えられるよう設計されている。Appleは、SynthID Detectorを使って電子透かしの有無を確認できるとも案内している。画像の表面に目立つマークを付ける方式とは異なり、見た目を変えずに識別情報を埋め込める点が特徴だ。ただし、あらゆる加工に耐え、絶対に除去できないことを保証する技術ではない。

また、SynthIDで確認できるのは、基本的に対応する電子透かしが埋め込まれているかどうかだ。写真に写った出来事が実際に起きたことを証明するものではなく、透かしが検出されなかった画像を本物と判断することもできない。Appleが対象としているのも「多くの」AI生成・編集画像であり、すべてのAI画像を識別できる仕組みではない。

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Podcasts、Games、Apple TV、FaceTimeも使い勝手を改善

iOS 27.2では、日常的に使うアプリにも複数の変更が加えられた。Podcastsアプリでは、ホームタブに「新着エピソード」と「再生を続ける」が別々に表示されるようになった。購読中の番組に新しいエピソードが追加されたか確認する操作と、途中まで聴いたエピソードを再開する操作が分けられ、目的のコンテンツにアクセスしやすくなっている。

Gamesアプリの友達タブでは、友達候補が表示された理由を確認できるようになった。友達のプレイヤーページには最近プレイしたゲームも表示され、相手がどのようなゲームを楽しんでいるか把握しやすくなる。また、Apple TVアプリは「Simple Profiles」に対応し、同じ家庭で暮らす人がそれぞれ自分のプロフィールを使い、好みに応じたおすすめ作品を受け取れるようになった。

FaceTimeでは、外部の手話通訳者やリアルタイムで字幕を作成する担当者を通話に追加する機能が導入された。人による通訳や字幕の支援をビデオ通話に組み込めるため、アクセシビリティの改善につながる。さらに、対応機種ではカメラや画面の使い方を広げる機能も用意されているが、これらには機種ごとの利用条件がある。

iPhone Duoの開閉による自動化と、周辺機器の新機能

iOS 27.2では、iPhone Duoの折りたたみ構造を利用した自動化が追加された。ショートカットアプリでは、端末を開閉する物理的な操作を自動化のきっかけにできる。また、Duoで利用するApple PencilやFaceTimeには、それぞれ機種固有の機能と利用条件が設けられている。

ショートカットに開閉トリガーを追加、アプリ終了時の自動化も改善

Appleが公開したショートカットの27.2更新情報によると、iPhone Duoを開いたときと閉じたときを、オートメーションの実行条件として指定できるようになった。これにより、端末の開閉操作をショートカットの実行につなげられる。ワークアウトの開始をきっかけとする自動化はFitnessアプリにも対応し、アプリを閉じた際の自動化では、終了したアプリの名前を後続の処理に渡せるようになった。

ショートカットの編集操作も改善されている。名前とアイコンをライブラリから直接変更できるようになり、編集に必要な手順が減った。また、「モデルを使用」アクションでWeb上の最新情報を取得する機能は対応言語を拡大した。ただし、今回の更新情報では、追加された言語に日本語が含まれるかどうかは明示されていない。なお、自然言語による説明からショートカットを作成する機能や、実行するたびにデータを保存するアクションは、iOS 27ですでに導入されている。

Apple Pencilの接続方法とDuo専用のFaceTime機能

Appleの接続ガイドでは、Apple Pencil(USB-C)のペアリング方法が案内されている。USB-Cケーブルで端末に接続し、「Tap to Connect」を選択するとペアリングが完了し、接続中はPencilを充電できる。ただし、端末を再起動した場合やBluetoothをオフにした場合、別の端末とペアリングした場合には、改めて接続する必要がある。

FaceTimeでは、iPhone Duoの内側画面を使う「Edge Light」が用意されている。Appleの機種別ガイドによると、画面の縁を明るくして顔を照らす機能で、光を発する領域の幅によって明るさを調整できるほか、色温度も変更できる。初期設定では、周囲が暗いときに自動的に作動する。

また、iPhone 17以降では「Dual Capture」に対応し、背面カメラの映像に前面カメラの映像を小窓として重ねて表示できる。この機能を使うには、通話参加者全員がiOS 27、iPadOS 27、macOS 27以降を使用している必要がある。iPhone Duoにはこれとは別に、内側と外側の両画面およびカメラを利用し、隣にいる人も通話に参加できる機能が用意されている。いずれもFaceTimeの機能だが、対応機種や動作条件は同一ではない。

HomePod 27.2では照明演出や音声連携を拡充

iPhone向けの更新と同時期に、HomePodソフトウェア27.2も公開された。新たに追加された「Sound Glow」は、音に合わせてHomePod上部のライトが光る機能で、初代HomePod mini、HomePod mini 2、第2世代HomePodに対応する。また、Macからの音声をHomePodで継続再生できるようになったほか、本体上部のタッチ操作を無効にする「Lock controls」も追加された。

一方、HomePodを4台使用したサラウンド再生には、Apple TV 4Kの第4世代が必要となる。さらに、前方と後方にそれぞれ、同じモデルで構成したHomePod mini 2または第2世代HomePodのペアを配置する必要がある。Sound Glowと4台サラウンドでは対応するHomePodの世代が異なるため、同じ27.2へ更新しても利用できる機能は機器の組み合わせによって変わる。特に複数のHomePodを組み合わせる場合は、Apple TVを含む各機器のモデルとソフトウェアのバージョンを確認しておきたい。

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セキュリティ修正は163件のCVEに及ぶ、AI非対応機種にも更新の意義

iOS 27.2の新機能には、機種や言語による利用制限がある。しかし、セキュリティ修正はSiri AIを利用できないiPhoneにも関係する。Appleが公開したiOS 27.2とiPadOS 27.2のセキュリティ情報には、アプリのアクセス権限からWebコンテンツの処理まで、幅広い問題への修正が記載されている。

10月27日時点の公式セキュリティ情報に含まれるCVE識別子を集計すると、重複を除いた件数は163件となる。この数字は、Appleが公開しているJSONデータのvulnerabilities配列から、空でないcveの値を抽出し、同一の識別子を重複して数えない方法で算出したものだ。Webページ本文に記載されたCVEの集合とも一致している。CVEは脆弱性を区別するための公開識別番号であり、163件という数字はセキュリティ情報の小見出しの数でも、iOSとiPadOSの修正件数を単純に合算したものでもない。

主な修正には、Bluetoothやカメラへの不正アクセス、メールアドレスの漏えい、Webコンテンツの処理に伴う任意コード実行などが含まれる。Appleが公表した代表的な脆弱性と修正内容は以下のとおりだ。

構成要素・CVE Appleが示した潜在的な影響 修正内容
AccessorySetupKit/CVE-2026-84493 悪意あるアプリがユーザーの同意なくBluetoothへアクセスする可能性 認証に関する問題を状態管理の改善によって修正
CoreMedia/CVE-2026-86990 悪意あるアプリが許可なくカメラへアクセスする可能性 アクセス制限を改善
Mail/CVE-2026-112500 「メールを非公開」の利用時に元のメールアドレスが漏れる可能性 ロジックの問題をアクセス制限の改善によって修正
WebKit/CVE-2026-112697 細工されたWebコンテンツの処理によって任意のコードが実行される可能性 解放済みメモリの使用に関する問題をメモリ管理の改善によって修正
Apple Intelligence/CVE-2026-86987 遠隔の攻撃者が機密性の高いユーザーデータにアクセスする可能性 権限チェックを改善

これらはすべて異なる性質の問題だ。アプリが本来許可されていない機器にアクセスする脆弱性もあれば、メールアドレスの秘匿性やWeb閲覧時の安全性に関わるものもある。また、公式資料に163件のCVEが掲載されているからといって、すべてのiPhoneに同じ163件の脆弱性が存在するわけではない。実際に影響を受ける機種やOSは項目ごとに異なり、件数だけで個々の端末の危険度を判断することもできない。

なお、上記の表に記載した影響は、Appleが公表した脆弱性によって起こり得る問題であり、実際に被害が発生したことを意味しない。10月27日時点で確認したセキュリティ情報には、これらの脆弱性が実際の攻撃に悪用されたことを示す記述は見当たらない。ただし、悪用の報告がないことは、攻撃が存在しないことの証明にはならない。

特にWebKitのCVE-2026-112697はiPhone 11以降などが修正対象となっており、Siri AIに非対応のiPhone 15やiPhone 15 Plusにも関係する。したがって、日本語版Siri AIを利用できるかどうかだけで、iOS 27.2へ更新する価値を判断すべきではない。新機能の利用条件とは別に、セキュリティ修正の適用という重要な目的がある。手元のiPhoneで「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」を開き、配信されているバージョンと更新内容を確認しておきたい。