Appleは米国時間2026年10月2日、米AT&T回線を利用する一部のiPhone 18 Pro Maxで、モバイル通信に接続できなくなり、通話もできなくなる問題を確認したと明らかにした。9to5Macへの説明によると、iOS 27.0.1とキャリア設定のアップデートは、今後この問題が発生するのを防ぐための対策であり、すでに通信できなくなった端末については交換が必要になる。AT&Tも公式サポートで同様の対応を案内しており、データ通信やSMSだけでなく、米国の緊急通報番号911への発信にも影響する可能性があるとしている。利用者は、アップデートを適用すればよい状態なのか、それとも端末交換を相談すべき状態なのかを分けて考える必要がある。
更新で防げる段階と、端末交換が必要な段階
2026年10月4日時点のAT&Tの案内を整理すると、iOSとキャリア設定の更新は今後の発生を防ぐためのもので、すでに通信不能になった対象端末については交換が必要になる。
AT&Tの公式案内にある「iPhone 18 Pro Max update needed」の説明を、端末の状態と対応の目的に分けると次のようになる。
| 端末の状態・確認項目 | 案内された対応 | 目的と限界 |
|---|---|---|
| AT&Tを利用するiPhone 18 Pro Maxで、問題の発生を防ぎたい | iOS 27.0.1とキャリア設定を更新する | 2つの更新によって今後の発生を防ぐ。すでに通信不能になった対象端末を復旧させるための対策ではない |
| キャリア設定が反映されているか確認する | 「設定」→「一般」→「情報」でAT&T回線のキャリア欄を確認する | AT&Tが案内しているバージョンは「AT&T 72.1」。設定が更新されていることと、実際に通話できることは別に確認する必要がある |
| 今回の問題ですでに通信不能になっている | AT&TまたはAppleのサポート、各社の店舗に相談する | 対象端末は再び有効化することができず、端末交換が必要と案内されている |
この表は、AT&Tの同じサポートページを2026年10月4日に確認した内容に基づいている。一般的な圏外や「SOS」表示のすべてが交換対象になるという意味ではない。また、アップデートは問題の発生を防ぐための対策だが、予防効果を示す具体的な数値や、再発しないことを保証する説明は公表されていない。
Appleが9to5Macに伝えた説明でも、アップデートは問題の発生を防ぐためのものであり、すでに接続を失った端末を復旧させるものではないとされている。「アップデートが提供されている」ことと、「アップデートすれば元どおり使える」ことは、今回の問題では同じ意味ではない。
この違いを理解しておけば、更新後も通信できない利用者が同じ設定変更を何度も試すのではなく、症状をサポート窓口に伝え、交換を相談すべき理由も分かりやすい。
ただし、端末交換が必要だからといって、故障の仕組みまで明らかになったわけではない。部品が物理的に故障したのか、端末や回線の内部状態に問題が生じたのかは、AppleもAT&Tも公表していない。原因について分かっていることと、現時点で利用者に案内されている解決策は分けて考える必要がある。
アンテナ表示があっても通話できない
Apple Support Communityには、発売直後から通信の異常を訴える利用者の投稿が残っている。9月19日、MidwestManという投稿者は、5G+のアンテナ表示が出ているにもかかわらず通話が成立せず、相手側の電話が鳴っても音声が届かないと報告した。その後、端末がモバイル通信への接続を失い、「SOS」と表示されるという。一部のアプリは利用できても、電話としては安定して使えないという訴えだった。
同じスレッドでは、yon197という利用者が9月19日に端末を有効化し、9月22日から症状が始まったと報告している。9月25日の投稿では、AT&Tへの相談やeSIMの再設定を5回試しても改善せず、Apple Storeで交換端末を手配されたと説明した。9月29日の追記では、前日に受け取った交換端末では通話の問題やSOS表示は起きていないとしている。
いずれも利用者自身による報告であり、Appleが公表した診断結果ではない。交換後の使用期間も短く、iPhone 18 Pro Max全体の故障率や問題の原因を示すデータにはならない。
それでも、画面上の電波表示、回線の再設定、実際に通話できるかどうかが必ずしも一致しないという症状は具体的に伝わってくる。「eSIMを設定し直せば必ず解決する」と考えることも、こうした報告とは一致しない。
Appleは影響を受ける利用者を「少数」と表現しているが、具体的な台数や販売台数に占める割合は明らかにしていない。掲示板への投稿数や「同じ問題がある」という反応の数には、同一利用者による重複や、別の原因による通信トラブルが含まれる可能性があるため、そのまま故障台数とみなすことはできない。
一般向けの更新内容には書かれていない通信対策
iOS 27.0.1は、Apple Developerの公開記録では9月28日に提供されている。一方、Appleの一般向け変更点に記載されているのは、Face IDの認証失敗時に発生する予期しない再起動、特定の撮影条件で起きる写真の色の異常、通知センターとコントロールセンターを同時に開いた際のタッチ操作の不具合だ。公開されている修正内容には、AT&T回線での通信問題は記載されていない。
ただし、一覧に記載されていないからといって、対策が含まれていないとは限らない。Appleの個別説明とAT&Tの案内では、iOS 27.0.1とキャリア設定の両方を更新することで、今回の問題の発生を防ぐとしている。一般向けの変更点だけを見てアップデートを見送ると、今回の対象利用者に向けた重要な案内を見落とす可能性がある。
キャリア設定は、通信事業者がモバイル通信の接続性や性能を改善したり、新しい機能への対応を追加したりするための設定である。Appleの日本語サポートでも、5GやWi-Fi通話への対応などをキャリア設定のアップデートで追加できると説明している。iOS本体の更新とは別に、通信事業者側の設定も確認する必要がある。
Appleが9to5Macに示した配信予定では、対象となるキャリア設定は14日間かけて自動配信される。手動での確認もできるため、AT&Tの対象利用者は自動配信を待つだけでなく、設定画面から更新の有無を確認できる。ただし、配信される設定の具体的な内容や、どのような仕組みで障害を防ぐのかまでは説明されていない。
米国モデルはX80、日本向けはC2。ただし原因は未公表
米国向けのiPhone 18 Pro Maxでは、通信関連部品の構成も日本向けモデルとは異なる。TechInsightsの予備分解調査では、調査したA3473にQualcommのSnapdragon X80モデムと、無線信号の送受信に関わるSDR875が搭載されていることが確認された。
これに対し、Appleの日本向け仕様では、iPhone 18 ProとiPhone 18 Pro MaxにApple製のC2モバイル通信モデムが搭載されている。同じiPhone 18 Pro Maxでも、販売地域によって通信関連のハードウェア構成が異なることになる。
ただし、TechInsightsの分解調査から分かるのは、調査した端末にどの部品が搭載されていたかまでである。通信障害が発生した端末を解析したものでも、AT&T回線上で問題を再現した試験でもない。Snapdragon X80が搭載されているという事実だけから、同モデムの設計上の問題が今回の原因だと結論付けることはできない。
モバイル通信には、端末側のソフトウェアやキャリア設定だけでなく、通信事業者側の登録情報やネットワーク設定も関係する。アップデートと端末交換の双方が案内されていても、どの要素の組み合わせによって問題が起きたのかは公表されていない。モデムだけを原因とみなすには、発生条件や再現試験、問題が起きた端末の解析結果が不足している。
MacRumorsへの説明によると、Appleが今回の問題を確認したのはAT&T回線を利用するiPhone 18 Pro Maxであり、他のiPhoneや他社の通信回線でも同じ問題が発生しているとはしていない。したがって、日本で販売されている端末や国内の通信回線にも同じ問題があると考える根拠は現時点ではない。
一方で、日本向けモデルがC2モデムを搭載していることも、今回のような障害が起きないことを検証した結果ではない。現時点で確認されている問題の範囲と、今後も同様の問題が起きないという保証は分けて考える必要がある。
AT&T利用者が確認する設定と相談先
AT&T回線でiPhone 18 Pro Maxを利用している場合は、まずWi-Fiなどの通信環境を確保したうえで、「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」からiOSの更新を確認できる。
続いて「設定」→「一般」→「情報」を開き、キャリア設定のアップデートが表示された場合は案内に従って更新する。AT&Tは同じ画面にあるeSIMの情報で、ネットワークがAT&Tになっていることと、キャリアが「AT&T 72.1」と表示されていることを確認するよう案内している。
ただし、更新済みと表示されていても、実際に通話やデータ通信が復旧しているかどうかは別に確認する必要がある。今回の問題によってすでに通信不能になった端末については、AT&TまたはAppleのサポート、各社の店舗に相談するよう案内されている。
「SOS」と表示されているというだけで、自分の端末が今回の交換対象だと判断するのではなく、発生している症状や回線の状態をサポート窓口に伝え、対象となる問題かどうかを確認するのが先になる。
今後、アップデート適用後の再発状況や、交換後の通信がどの程度安定しているかが明らかになれば、今回の予防策がどこまで有効なのかも判断しやすくなる。現時点で利用者が取るべき対応は、原因を推測して設定を次々に変更することではなく、iOSとキャリア設定が最新になっていることを確認し、実際に通信できるかを確かめたうえで、症状が続く場合は交換対応につなげることである。



