LG電子生産技術院(LG PRI)が、半導体パッケージ用のレーザーダイレクトイメージング(LDI)装置を初受注したと報じられた。韓国・電子新聞によると、発注したのは韓国内にもパッケージ工場を持つグローバルOSAT(半導体後工程受託企業)で、装置は量産ライン向けだという。大学の研究開発用途へ供給していたLG PRIにとって、外部顧客の生産設備として初めて得た購入注文(PO)に当たる。

ただし、電子新聞が報じた事実はPOまでである。LG PRIも顧客も受注を公式発表しておらず、顧客名と台数は明らかでない。金額、納期、設置先も非公表だ。POは納入でも、検収でも、工程認定や量産稼働でもない。今回の出来事は、LGが半導体を製造する話ではなく、OSATの量産ラインに装置を供給するベンダー候補になったという話として読むべきだ。

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研究開発用から量産ライン向けの発注へ

電子新聞によると、LG PRIは2025年に半導体パッケージ用LDIを投入した。当初は大学の研究開発用途へ供給しており、今回がOSATの量産ライン向けとしては初のPOだという。製造設備では、研究開発で使われることと、顧客の量産工程に入ることの間に大きな隔たりがある。後者では、実装材料や製品ごとの条件に合わせ、装置を設置して検収し、工程を認定し、量産で安定して動かす必要があるからだ。

現時点で、それらの後段は報じられていない。初POの対象がLG PRIのどの機種なのかも不明である。電子新聞は、顧客要件向けに3µm機と5µm機も開発したと伝えているが、今回の受注機がどれかは公表されていない。したがって、1.5µm仕様の装置が受注された、あるいは量産で性能を実証したとは言えない。

今回の変化は狭いが明確だ。大学への研究装置供給に続き、LG PRIのLDIが外部顧客の生産設備として発注される段階へ進んだ。装置の売上や量産実績は、納入と検収を経て初めて評価できる。

金属を描くのではなく、レジストを露光する

LDIは、物理的なフォトマスクを使わず、デジタルパターンに基づいてフォトレジストへ光を当てる露光装置である。現像後に残るレジストが、後工程で金属配線を形成する場所を定める。LDI自身が金属を直接描画するわけではない。

LG PRIの公式ページは、同装置の最上位公開仕様として線幅・線間隔(L/S)1.5µmを掲げる。リアルタイムでパターンを生成・補正し、投影レンズ、精密アライメント、ステージ技術を組み合わせるとしている。対象には先端半導体パッケージのほか、ディスプレイ、MEMSも含まれる。公開されている用途例にはPDP、LCD、OLEDディスプレイと研究開発用PCBがある。

マスクレス露光では、設計を変えるたびに物理マスクを作り直す必要を減らし、パターンをデジタルで補正できる。ただしLG PRIは、処理量、マスク費用の削減額、工程時間の短縮率、歩留まり改善率を公表していない。量産でどこまで効くかは、解像度の数字だけでは判断できない。

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1.5µmは微細だが、量産性能を決める数字ではない

公開仕様を並べると、LG PRIの1.5µm L/SはTSMCがCoWoS-Rで公表する2µm線幅/2µm間隔より細い。一方、SCREENのDW-3100は1µm未満の精度を掲げ、global、local、die-by-dieの3種類のアライメントと、ウエハー/方形パネル構成を示している。

装置・技術 公開されている微細化の指標 公開されている条件
LG PRI製半導体パッケージ用LDI L/S 1.5µm リアルタイム生成・補正、投影レンズ、精密アライメント、ステージ技術
TSMC CoWoS-R 最小ピッチ4µm(2µm線幅/2µm間隔) 2023年から量産
SCREEN DW-3100 1µm未満の精度 3種類のアライメント、ウエハーまたは方形パネル構成

この比較から直ちにCoWoS-Rへの採用や工程互換を導くことはできない。LGの1.5µm L/Sは重ね合わせ精度でも最小ピッチでもなく、材料、レジスト厚、アスペクト比の条件がそろっていない。基板サイズも同じではない。さらに量産では、処理量や欠陥密度が問われる。重ね合わせ精度、歩留まり、工程認定も確認が要る。LGの公開仕様は微細な部類だが、現在の市場で最高解像度だという根拠もない。

SCREENが微細化の指標とは別に3種類のアライメントを示している点は、量産装置を解像度だけで選べない理由をよく表す。パネル全体、局所領域、個々のダイで位置ずれの補正方法は変わる。LG PRIも精密アライメント技術を掲げるが、方式と精度は明らかにしていない。1.5µmの線を描けても、それを前層の配線や接続端子へどこまで正確に重ねられるかは別の性能である。

CoWoSも一つの配線構造ではない。CoWoS-RはRDLインターポーザーを使うが、CoWoS-Sはシリコンインターポーザーを採用する。CoWoS-LはRDLと高密度な局所シリコン接続を組み合わせる。LGの公開L/SがCoWoS-Rの配線寸法に近くても、CoWoS-Sのシリコン配線やCoWoS-Lの局所シリコン接続を形成する工程まで担えるとは言えない。

CoWoS不足を直接解く装置とはまだ言えない

先端パッケージ能力が逼迫していること自体は、TSMCも認めている。同社のC.C. Wei CEOは7月16日の2026年第2四半期決算説明会で、パッケージ能力の不足が顧客の成長を制限していると説明した。需要と能力の差を縮めている最中であり、後工程はなお不足状態にあって需給差が大きいとも述べている。

ただし、今回の顧客は匿名OSATであり、TSMC、CoWoS、CoWoS-R、特定のAI半導体との関係は電子新聞も伝えていない。TSMCの2026年設備投資は600億640億ドルで、そのうち10〜20%は先端パッケージ、テスト、マスク製造、その他を合算した区分だ。しかも同社は、ボトルネックが前工程と後工程の双方に動き、テスター不足が生じる場合もあると説明している。

LDIが担うのは、後工程に含まれる露光という一工程である。匿名OSATの一件のPOは、TSMCのCoWoS供給能力が増える証拠でも、先端パッケージ不足を解消する解決策でもない。まず確認すべきなのは、どの工程にどの構成で納入されるかだ。

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LG PRIが持つ露光技術と、次に確認すべき条件

LG PRIは1987年に設立され、2002年にPDP向けレーザーパターニングシステム、2006年にLCDカラーフィルター露光システム、2014年にディスプレイ向けスマート露光システムを開発してきた。2021年には半導体パッケージ検査システムも加えている。半導体パッケージ用LDIは、ゼロから露光装置へ参入する取り組みというより、こうした露光・検査技術を外部の半導体用途へ広げる動きに当たる。

電子新聞はLG PRIが価格競争力を重視し、今後はHBM検査装置とガラス基板向けTGVレーザー装置にも広げる計画だと報じた。しかし、各計画の価格と投入時期は非公表だ。顧客や量産状態も明らかでなく、現在のLDIの実績と混ぜるべきではない。

今回のPOで確認できたのは、量産ライン向けに発注されたとする報道までだ。次の判断材料は、納入と検収が実現するか、そして処理量、重ね合わせ精度、欠陥密度、歩留まりという量産指標がどこまで開示されるかにある。そこが見えて初めて、LG PRIのLDIが研究開発向け装置から、後工程の生産設備として定着する可能性を測れる。