Mercury Researchの2026年第2四半期推計で、AMDのx86クライアントCPU出荷台数シェアは30.3%となった。IoTとSoCを除くこの区分でAMDが30%を超えたのは初めてで、前四半期の29.6%、前年同期の23.9%から伸びた。もっとも、出荷台数シェアは製品が流通網へ入った比率であって、利用中のPCの比率や小売販売、売上高の分配を表す数字ではない。AMDとIntelの四半期報告書を重ねると、今回の差はAMDが台数で伸ばし、Intelが単価を上げた四半期でもあった。

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30.3%が測っている市場

Mercury Researchの表では、AMDは4区分すべてで前四半期から出荷台数シェアを上げた。数値はすべてx86 CPUの出荷台数ベースで、クライアント(デスクトップとモバイル)およびサーバーの比較ではIoT/SoCを除く。表中の増減ポイントはMercuryの表示に従ったもので、表示シェアをそのまま引くと丸めによる差が生じる場合がある。

区分 AMDの2026年第2四半期シェア 前四半期比 前年同期比
クライアント 30.3% +0.6ポイント +6.4ポイント
デスクトップ 34.9% +1.8ポイント +2.7ポイント
モバイル 28.9% +0.6ポイント
サーバー 34.5% +1.3ポイント +7.3ポイント

クライアント全体の前四半期比は0.6ポイントであり、30%という節目だけを見れば小幅な変化である。ところが前年同期の23.9%からは6.4ポイント上がった。デスクトップでは市場全体の出荷が20%超減るなか、AMDの減少がIntelより小さかったためにシェアが上昇した。シェア増加と出荷台数増加は、ここでは同じ意味ではない。

モバイルの28.9%は、AMD自身の開示とも方向が合う。同社はクライアントCPUの台数増を主にRyzenモバイルが押し上げたと説明している。ただし、Mercury Researchの推計はx86市場内の相対比率であり、AMDの34%増は同社製品の前年同期比である。二つの数字は同じ分母ではないため、28.9%34%増から計算することはできない。

Intelの同じクライアント区分のシェアは69.7%である。デスクトップは65.1%、広い定義のサーバーは65.5%だった。AMDのクライアント30.3%を「CPU全体のシェア」と言い換えることはできない。IoTやSoCを含めたx86全体ではAMDは34.1%で、前四半期の32.6%、前年同期のおよそ29.4%とは分母が違う。

さらに30.3%はx86内でAMDとIntelを比べた値であり、ArmベースのPC用CPUは分母に入らない。「全クライアントCPUの3割」でもない。製品を比較する際は、x86内の競争を見たいのか、Armを含むPC市場全体を見たいのかを分ける必要がある。

Mercuryは、x86とArmを合わせたCPU出荷が前四半期比で10%超増え、通常の第2四半期の季節性を上回ったとした。一方、デスクトップCPUの出荷は前年同期比で20%超減少し、AMDの減少がIntelより小さかったという。Mercuryは高いPC価格、GPU供給の制約、季節性を逆風に挙げている。これらは需要を直接測った結果ではなく、出荷の流れについての評価である。

数量で伸ばしたAMD、単価を上げたIntel

AMDの2026年第2四半期10-Qによれば、クライアント部門の売上高は31億ドル($3.1 billion)で、前年同期の25億ドル($2.5 billion)から23%増えた。クライアント向けプロセッサの出荷台数は34%増えたが、平均販売価格(ASP)は6%下がった。AMDは台数増を主にRyzenモバイルの伸びによるものとし、ASP低下はデスクトップRyzenの販売減少を含む製品ミックスの変化に結び付けている。

Intelはノートブックとデスクトップを合算したクライアント売上高を77億ドル($7.7 billion)と報告し、前年同期から11億ドル($1.1 billion)増えた。だがクライアントの出荷台数は8%減り、ASPは27%上昇した。IntelはASP上昇の大半をプレミアム製品のミックスに、より小さい部分を需要に基づく価格設定に帰しており、供給制約が業績を抑えたとも説明している。

ASPの動きは、値下げと値上げをそのまま比べた数字でもない。AMDはASP低下を、Ryzenモバイルの構成比上昇やデスクトップRyzenの販売減少を含む製品ミックスの変化で説明した。Intelも27%の上昇の大半をプレミアム製品の比率が高まったためとしており、需要に応じた価格設定の寄与はそれより小さい。どちらも、販売したCPUの組み合わせが平均値を動かしている。

31億ドルと77億ドルを足して、両社の売上高シェアを逆算することもできない。各社の売上高は自社の会計区分で集計されており、市場全体の同一分母ではないからだ。Q2の売上高シェアを判断するには、同じ調査手法で集計された別のデータが要る。

両社の開示は、AMDの30.3%を価格支配力や高価格帯での優位の証拠にできないことを示す。AMDは出荷台数を前年同期比34%増やした一方でASPを下げ、Intelは台数を減らしながらASPを上げた。出荷台数シェアは競争の一面を捉えるが、製品構成や収益性まで一つの比率で決める指標ではない。

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サーバー34.5%と46.4%はなぜ違うか

AMDのサーバーx86出荷台数シェアは34.5%だった。ただし、Mercuryが比較対象をIntelのXeon SPとAMDのEPYCに絞り、ネットワーキングやストレージなど別の会計区分を外すと、AMDのシェアは46.4%になる。前者の34.5%と後者の46.4%は競合する数字ではなく、分母が異なる比較である。

Mercuryによると、x86サーバーCPUの出荷は市場全体で前年同期比20%近く増えた。Intelの10-Qでも、サーバーの出荷台数は9%増、ASPは48%増だった。Intelは台数増をハイパースケーラー需要、ASP上昇の大半をプレミアム製品のミックスによるものと説明し、社内の供給制約も続いたとしている。市場が拡大する速度をIntelの増加率が下回れば、同社の出荷台数が増えてもAMDの相対シェアは上がる。Intelの65.5%は、サーバー事業の縮小を意味しない。

AMDのデータセンター売上高は67億ドル($6.7 billion)で、前年同期比107%増だった。だが、この部門にはEPYCに加えてInstinct MI350も含まれるため、同額をEPYCのCPU売上高やサーバーCPUの市場価値へ置き換えることはできない。Intelのデータセンター部門にもサーバーCPU以外の製品があり、両社の部門売上をそのままCPU市場で比較することもできない。

次の四半期で確かめる数字

今回の30.3%は、AMDのクライアント出荷台数シェアが前年同期の23.9%から積み上がった結果である。ただし、2026年第2四半期の売上高シェアは示されていない。出荷台数の伸びを売上高シェアの結果へ広げる根拠はなく、ASPと製品ミックスを並べて追う必要がある。

AMDでは、Ryzenモバイルの台数増が続くか、低下したクライアントASPがどう変わるかが次の材料になる。Intelは上期に影響した供給制約が下期に緩和すると見込む。供給が戻った後もAMDのシェアが伸びるなら、今回の変化をIntelの供給不足だけでは説明できなくなる。反対にIntelの台数が回復すれば、30.3%の持続性を試す最初の材料になる。

さらに、Mercuryが通常の第2四半期を上回るとした市場全体の出荷増が、次の四半期にも続くかを見極めたい。AMDの30%超は明確な節目だが、その持続性は次の出荷、ASP、供給条件がそろって初めて判断できる。