Hertha Metalsが公表した純度99.95%の鉄は、ネオジム・鉄・ホウ素磁石(NdFeB磁石)の供給網で見えにくかった原料に再びスポットライトを当てている前に出した。米国テキサス州コンローの実証設備で、同社は米国内の原料だけを使い、商用グレードの設備で3N5に達したとしている。希土類が磁石供給網の主役に見えやすい一方、磁石の質量では鉄が約7割を占める。必要なのは大量の普通鋼ではなく、炭素や不純物を制御した鉄である。

今回の到達点は、完成した磁石の磁力や耐久性、あるいは防衛用途の認定を示すものではない。それでも、従来は具体的な将来目標しか示していなかった同社が、既存設備で顧客仕様に達したと報告した意味はある。同社はこの組み合わせで米国初だと主張するが、第三者が検証した業界順位ではない。同社が年内着工を予定する商用施設「Chalyx」が実際に供給へ進めるかどうかは、純度の数字単独では決まらない。

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3N5が意味する、磁石の約69%を占める鉄

99.95%は3N5とも表される。単純に差し引けば、鉄以外に許される総量は最大0.05%、すなわち500ppmである。ただし、これは酸素、炭素、窒素を個別にどこまで含めるかを示す規格値ではない。リンと硫黄、残留金属についても同じだ。Herthaは、これらを単一の連続的な乾式冶金工程で同時に制御すると説明するが、元素別の分析値や測定法は今回の発表で明らかにしていない。

米エネルギー省(DOE)の2022年の供給網評価によれば、典型的なNdFeB磁石は鉄が約69%、ホウ素が1%、希土類が30%を占める。希土類の中心はネオジム、プラセオジム、ジスプロシウムである。コバルトやアルミニウムのほか、テルビウムとホルミウムが少量加わる場合もある。希土類の調達だけを確保しても、磁石メーカーが求める低炭素・低不純物の鉄を継続して確保できなければ、製造工程はつながらない。

Herthaは2025年7月、将来の設備で99.97%以上を目標に掲げた。99.97%は同じ差し引きで最大0.03%、300ppmの非鉄分に当たるため、今回の99.95%は総量で200ppm多い余地を残す計算になる。しかし、前者は将来の設備に向けた目標であり、同社は今回の3N5が主要な希土類磁石メーカーの仕様を満たすとしている。未達と決めつけられる比較ではない。一方で、顧客名、対象となる磁石グレード、ロット規模、認定結果は示されていない。

国内調達を阻んできたのは、純鉄の存在ではなくコストと需要だった

DOEが指摘した従来の米国磁石メーカー向け鉄原料は、AISI 1001の極低炭素鋼だった。当時の評価では、国内生産は非常に少なく、輸入はドイツ、場合によってはブラジルなどに依存した。米国企業にも製造能力はあったが、需要規模が不足していた。米国製の電解鉄も利用可能だったものの、再溶解して固める工程が必要で、コストが高くなるとされていた。

この経緯から見ると、Herthaの主張は「米国で高純度鉄を作れるようになった」という発見ではない。低品位の原料から、磁石用途に使える鉄を経済的に得る国内ルートを作れるか、という提案である。同社は自社工程が従来法より生産コストを20%以上、排出量を50%下げられるとしている。ただし、比較対象、歩留まり、エネルギー源、排出量の算定範囲は発表に記されていない。現時点では独立した性能比較ではなく、企業側の見通しとして扱う必要がある。

設備の状態も分けて見るべきだ。Herthaはコンローで1トン/日の実証設備を稼働させている。2025年の発表では、このパイロット設備を2024年後半から動かしているとした。技術ページは工程を「半連続」と説明する一方、発表資料は「連続」の乾式冶金工程という表現を使う。いずれにせよ、ここで確認されたのは実証設備での材料結果であって、長期間にわたる商用操業や、完成磁石の磁気特性を裏付けるデータではない。

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2027年、DoD調達では鉄の採掘地まで問われる

米国防総省(DoD)の調達規則DFARS 252.225-7052は、調達する特定磁石などに含まれる材料の由来を制限している。2026年12月31日までは、対象国で溶解または生産された対象材料と、その後の磁石製造工程が主な対象となる。対象国は北朝鮮と中国に加え、ロシアとイランの4カ国である。

2027年1月1日からは、NdFeB磁石について条件が広がる。ネオジム、鉄、ホウ素の採掘から完成磁石まで、供給網全体が追跡対象となる。鉄の由来は、磁石メーカーの購買条件に加え、対象となるDoD契約で納入できるかどうかにも関わる。Herthaが「米国内原料」を強調する理由は、純度だけでは説明し切れない。

ただし、この規則を中国製磁石すべてを禁じる一般的な米国規制と読むのは正確ではない。これはDoDの契約・調達に適用される制限であり、一定の市販品(COTS)最終製品、別途指定のない電子機器、米国内で粉砕・焼結した再生材由来のNdFeB磁石などには例外がある。非利用可能性の認定を受けられる場合もあり、簡易取得基準額以下の契約もこの条項の制限対象外となる。原料の国産化が直ちにすべての案件で採用を保証するわけではない。

年内着工へ延期、商用化は供給網の一工程にすぎない

ChalyxはHerthaの最初の商用施設として計画されている。2025年7月の発表では、2026年1月の着工、年産9,000トン超(1日30トン)の設備、99.97%以上の純度目標が示された。ところが2026年8月18日の発表では、着工予定は「2026年内」となった。計画が実証結果から商用供給へ進んだとはまだ言えず、当初予定からは遅れている。

新しい発表は、Chalyxの稼働開始日、初期の定格能力、建設費、顧客との引き取り契約を公表していない。1トン/日の実証設備から年産9,000トン超へ拡大する際には、純度を一度得ることと、同じ品質を継続して歩留まりよく作ることの間に大きな差がある。磁石メーカー側の認定と、完成磁石での強度、保磁力、耐久性の確認も別の工程だ。

国際エネルギー機関(IEA)によると、中国は2024年に磁石用希土類の採掘で世界生産の60%、精製で91%、焼結永久磁石の生産で94%を占めた。これらは高純度鉄の供給量ではなく、磁石用希土類と焼結磁石の割合である。IEAは2026年初め時点で公表済みの中国外プロジェクトを積み上げても、2035年の金属・合金・完成磁石の能力は希土類含有量で約1万8,000トン(18kt)と見込む。多様化では磁石製造が最も詰まりやすい工程だという。

中国外の計画能力約18ktも、鉄のトン数ではなく希土類含有量で数えた値である。この数字をHerthaの生産計画と直接並べて、供給量の大小を論じることはできない。ただ、希土類の分離から金属・合金化を経て、磁石を成形・焼結し、顧客認定を取るまでのどこかが詰まれば、鉄の供給を国内化しても完成磁石には届かない。原料を一つ増やすことと、磁石を安定供給することは別の仕事だ。

Herthaが埋めようとしているのは、その長い連鎖にある鉄の工程である。Chalyxの着工後に確かめるべきなのは、99.97%以上を再現できるかという数字単独ではない。実際の稼働日と能力が示され、歩留まりのデータと顧客認定がそろう必要がある。さらに他の原料と焼結工程まで由来を示せたとき、3N5の実証はDoD調達にもつながる供給能力になる。