Microsoftが、Microsoft 365 FamilyとPremiumに含まれるOneDriveのストレージ容量を、従来の「1人1TB、最大6人」から「全員で2TBを共有」する方式に変更する。これまでは6人で利用すれば合計最大6TBの基本容量が使えたが、新方式では3分の1の2TBに減る。一方、特定の人が大量のデータを保存する家庭では、ほかの家族が使っていない容量を利用できるようになるため、必ずしもすべての利用者にとって不利な変更とは限らない。

既存の契約者は原則として2027年の契約更新時に移行するが、Microsoftの公式文書では適用開始日が一致していない。また、容量超過後に猶予期間が設けられていても、その間、同期やメールを従来どおり利用できるとは限らない。家族の人数や保存しているデータの量によって、必要な対応は大きく変わってくる。

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1人1TBから家族全員で2TBへ。利用人数によっては容量が大幅減

Microsoftの変更説明によると、FamilyとPremiumでは、契約者と最大5人の追加メンバーが2TBのストレージ容量を共有する。従来のように各人へ1TBずつ割り当てる仕組みがなくなり、空いている容量を家族間で融通できるようになる。Proも共有方式に移行するが、こちらの基本容量は5TBだ。1人向けのBasicは100GB、Personalは1TBを維持する。

従来の「最大6TB」は、1人で6TBを使えるという意味ではなかった。6人それぞれに割り当てられた1TBを合計した数字であり、誰かが1TBを使い切っても、ほかの家族が余らせている容量を利用することはできなかった。Microsoftが今回の変更で利点として挙げている柔軟性とは、こうした個人ごとの上限がなくなることを指している。

ただし、容量を融通できることと、契約に含まれる総容量が十分かどうかは別問題だ。従来の1人1TBという仕様と新しい共有2TBを利用人数別に比較すると、変更の影響がはっきりする。

利用人数 従来の基本容量の合計 新しい共有容量 基本容量の増減
1人 1TB 2TB 1TB増
2人 2TB 2TB 変化なし
3人 3TB 2TB 1TB減
4人 4TB 2TB 2TB減
6人 6TB 2TB 4TB減

追加購入分や移行時のボーナス容量を除いた基本容量で比較すると、6人利用時は6TBから2TBへ約66.7%減、3人利用時でも3TBから2TBへ約33.3%減となる。

減少率は、従来の容量を「人数×1TB」とし、「(従来の容量−2TB)÷従来の容量×100」で算出した。2026年10月時点の新旧仕様に基づく計算であり、実際の使用量や、削除が必要になるデータの割合を示すものではない。

具体的な例で考えてみよう。2人で利用している家庭で、一方が1.5TB、もう一方が0.3TBのデータを保存したい場合、合計は1.8TBとなる。従来は1.5TBを必要とする人が個人上限に達してしまうが、新方式なら共有2TBの範囲に収まる。容量を共有できることが利点になるケースだ。

反対に、4人がそれぞれ0.6TBずつ保存している場合、合計は2.4TBとなり、新しい基本容量を0.4TB超えてしまう。これまでは全員が1TBの上限以内に収まっていた家庭でも、新方式では容量不足になる可能性がある。

なお、共有されるのはストレージ容量であり、ファイルの閲覧権限ではない。Microsoftは、本人が明示的に共有しない限り、各メンバーのファイルは非公開のままだと説明している。容量を共有するからといって、ほかの家族の写真や文書が自動的に見られるようになるわけではない。

移行は2027年の契約更新時。ただし公式文書で適用日が食い違う

2026年10月10日時点で、Microsoftの日本語公式文書には、既存契約の移行時期として「2027年4月1日以降の更新時」と「2027年5月2日以降の最初の更新後」という異なる日付が記載されている。

公式文書 新規契約への適用開始日 既存のFamily・Premiumへの適用
Microsoftストレージクォータの比較表・注記 2026年10月7日 2027年4月1日以降の更新時
Microsoft 365ストレージへの変更の冒頭・FAQ 2026年10月8日 原則2027年5月2日以降の最初の更新後

両ページともFamilyとPremiumの基本容量が共有2TBになる点では一致しているが、新規契約への適用開始日にも1日のずれがある。

日付が異なる理由や、どちらの記載が優先されるのかは、これらの説明だけでは判断できない。また、既存の利用者全員が4月1日や5月2日に一斉に切り替わるという意味でもない。

Microsoftは、変更が適用される前に契約者へ通知すると説明している。そのため、自分の契約がいつ移行するのかを知るには、契約の更新日、Microsoftから届く通知、アカウントに表示されるストレージ容量を確認する必要がある。少なくとも5月までは従来の容量を使えると考えるのは早計だ。

また、契約更新を待たずに新方式へ移行する場合もある。

Microsoftの変更説明によると、既存のFamily契約からPremiumへアップグレードすると、共有2TBへの切り替えが前倒しされる。一方、5月2日より前にダウングレードしても、それだけで新方式への移行が早まるわけではないという。

さらに、期限切れ後に再購入した契約も、新規契約と同様に共有2TBの対象となる。契約を継続して更新する場合と、いったん失効した後に再契約する場合では、扱いが異なることに注意したい。

日本向けの製品ページでも、新旧の表記が混在している。

Microsoft 365のプラン比較・購入ページではFamilyとPremiumの容量が2TBと表示されている一方、OneDriveのプランと価格ページには、同じ確認時点で「最大6TB、1人あたり1TB」という従来の表記が残っていた。

古い記載が残っているからといって、これから新規契約する場合も6TBが保証されるとは限らない。

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最大1年間の猶予があっても、同期やメールが使えるとは限らない

家族全員の使用量が2TBを超えていたとしても、すぐに保存済みのファイルへアクセスできなくなるわけではない。

Microsoftの変更説明によると、ストレージ容量が上限に近づくと通知が送られ、超過した後もデータを整理するために最大1年間、ファイルへのアクセスが認められるという。不要なファイルを削除したり、追加容量を購入したりするための猶予期間が設けられる形だ。

ただし、ファイルにアクセスできることと、アップロードや編集、同期を従来どおり続けられることは同じではない。Microsoftは、この猶予期間中もすべての機能を制限なく利用できるとは説明していない。

通常のストレージ容量超過時の説明では、上限を超えるとOneDriveへの新しいファイルのアップロードや編集、同期が停止し、既存のファイルは読み取り専用になるとされている。

さらにOutlook.comでは、クラウドストレージかメールボックスのどちらかが容量上限を超えると、メールを送受信できなくなる。受信できなかったメールは送信者に返されるため、容量を確保した後に再送してもらう必要がある。

同ページには、容量超過が続くと3か月後にOneDriveアカウントが凍結され、6か月後にはファイルが削除される場合があるという一般的なルールも記載されている。

一方、今回の移行に関する説明では、最大1年間のファイルへのアクセスが案内されている。この特別な猶予期間と、通常のアカウント凍結・ファイル削除に関するルールがどのように適用されるのかは、両文書を読んでも明確ではない。

今回の変更によって一律に6か月後にファイルが削除されるとも、1年間はすべての機能を従来どおり利用できるとも断定できない。

また、使用量を確認する際には、OneDriveに保存した写真や文書だけでなく、ほかのデータにも注意が必要だ。

Microsoftのクラウドストレージに関する説明によると、OneDriveのファイルに加え、Outlook.comの画像や添付ファイルなどもクラウドストレージの使用量に含まれる。OneDriveのごみ箱に残っているデータも容量を消費する。

メール本文などを保存する100GBのメールボックスに空きがあっても、別枠のクラウドストレージが上限に達すれば、通常のルールではメールの利用にも影響が及ぶ。

つまり、移行に備えて確認すべきなのは、OneDrive内の大きなファイルだけではない。各メンバーのアカウントに表示される実際の使用量を調べ、家族全員の合計が新しい2TBの枠に収まるかを確認する必要がある。

ただし、共有容量の上限を超えた場合に、各メンバーのサービスへどこまで影響が及ぶのかについては、現時点の公式説明では十分に明らかにされていない。

Premiumに変更しても容量は2TBのまま。追加費用の確認が必要

日本向けのMicrosoft公式比較・購入ページでは、Familyの料金は年額27,400円、Premiumは年額32,000円と表示されている。月払いでは、それぞれ2,740円と3,200円だ。

いずれも2026年10月10日時点の表示価格であり、販売店や個別の契約条件によって異なる場合がある。

プラン 年払いの表示価格 月払いの表示価格 変更後の基本容量
Microsoft 365 Family 27,400円/年 2,740円/月 全員で2TB
Microsoft 365 Premium 32,000円/年 3,200円/月 全員で2TB

FamilyからPremiumへ変更すると、年額では4,600円、月払いでは460円高くなる。しかし、基本のクラウドストレージ容量はどちらも2TBで変わらない。

容量不足を解消する目的で上位プランへ変更しても、基本容量が増えるわけではない。それどころか、共有方式への切り替えが早まる場合もあるため、料金だけでなく移行条件も確認しておきたい。

追加のストレージ容量を購入することは可能だ。

Microsoftの変更説明によると、契約全体の容量を合計10TBまで拡張でき、追加購入した容量も家族で共有できる。これは基本の2TBにさらに10TBを追加できるという意味ではなく、追加分を含めた合計が最大10TBになるということだ。

ただし、公式の変更説明には、日本向けの追加容量について一律の料金は記載されていない。案内先でもMicrosoftアカウントへのサインインが求められるため、従来と同じ容量を確保するためにいくら必要になるのかは、実際の契約画面で確認する必要がある。

また、一部の既存契約者には、移行時に無料のボーナス容量が付与される可能性もある。

Microsoftによると、対象地域で一定の条件を満たすFamily・Premium契約者には、追加料金なしで容量が付与される場合があるという。ただし、日本が対象に含まれるのか、何TB追加されるのか、いつまで利用できるのかについては、変更説明に具体的な記載がない。

そのため、ボーナス容量が付与されることを前提に、今後も家族全員のデータを保存できると考えるべきではない。

Microsoft 365にはOfficeアプリなどのサービスも含まれている。したがって、基本容量が6TBから2TBへ減ることをもって、ストレージ単価が単純に3倍になると捉えるのも正確ではない。

それでも、大容量のクラウドストレージを主な目的としてFamilyやPremiumを利用してきた家庭にとっては、Officeアプリなどのサービスに支払う費用と、ストレージ容量を確保するための追加費用を分けて検討する必要が出てくる。

今回の共有方式への変更によって、1人が1TB以上のデータを保存していても、家族全員の合計が2TB以内なら容量を融通できるようになる。

その一方で、従来のように各自が1TB以内に収めればよかった運用から、家族全員で残りの容量を管理する運用へと変わる。

この変更が利点になるか、負担になるかは、家族の人数や現在の使用量だけでなく、今後どれだけデータが増えるのか、追加容量にいくらかかるのかによっても異なる。まずは家族全員の使用量を確認し、自分の契約に適用される移行時期と条件を把握することが重要だ。