Googleは10月6日、画像生成・編集モデル「Nano Banana 2.1」を一般提供した。旧Nano Banana 2と比べ、APIで画像を出力する料金は約半額になった。Googleの社内評価では、人物の一貫性や部分編集など複数の項目でNano Banana Proも上回っている。広告の背景や文言だけを直したいのに、人物の顔や商品の形まで変わってしまう問題を減らす方向の更新だ。

ただし、安くなったのは画像出力料金であり、入力と推論にかかる単価は上がった。OpenAIやBlack Forest Labsのモデルと比べる場合も、1枚当たりの料金だけでなく、編集の制御性や出力できる画像サイズまで含めて見る必要がある。

Nano Banana 2.1の基盤はGemini 3.6 Flashで、正式なAPI名はgemini-nano-banana-2.1。Googleは、画質や指示への追従性を改善したほか、文字の描画、図のレイアウト、繰り返し編集した際の人物の一貫性を強化したと説明している。

例えば、商品広告を別の言語へ翻訳し、背景を差し替えた場合でも、商品の外観や登場人物をどこまで維持できるかが重要になる。2K・4Kの極端に横長または縦長の画像で、同じ模様がタイル状に繰り返される問題も修正した。極端な縦横比そのものは旧モデルでも利用できたため、今回は対応形式の追加ではなく、出力品質の改善である。

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画像出力は約半額、入力と推論の単価は上昇

Nano Banana 2.1の標準API料金は、1K画像が1枚0.0336ドル、2Kが0.0504ドル、4Kが0.0756ドルだ。Googleの画像モデルを同じ料金区分で比べると、2.1の1K画像出力はNano Banana 2 Liteと同額になった。

Googleのモデル 1K画像の出力 2K画像の出力 4K画像の出力
Nano Banana 2.1 0.0336ドル 0.0504ドル 0.0756ドル
Nano Banana 2 0.067ドル 0.101ドル 0.151ドル
Nano Banana 2 Lite 0.0336ドル 非対応 非対応
Nano Banana Pro 0.134ドル 0.134ドル 0.24ドル
初代Nano Banana 0.039ドル 非対応 非対応

出典:Gemini API料金表。2026年10月7日時点の標準料金で、画像出力のみを米ドルで比較した。旧モデルやProなどは公式料金表に記載された丸め後の単価を使用している。入力、推論、検索などの料金は含めていない。

標準APIで1K画像を1万枚生成する場合、画像出力料金は旧モデルの670ドルから336ドルへ下がり、334ドル安くなる。公式料金表の表示値を使った概算で、計算は0.067×10,000=670ドル、0.0336×10,000=336ドルとなる。トークン単価から厳密に計算すると旧モデルは672ドルになるが、いずれにしても画像出力料金はほぼ半減する。

一括処理向けのBatch APIでは、さらに半額となり、2.1の1K画像は1枚0.0168ドル、4K画像は0.0378ドルになる。

一方、APIの請求総額まで同じ割合で下がるとは限らない。100万トークン当たりの入力料金は、旧Nano Banana 2の0.50ドルから2.1では1.50ドルへ上昇した。テキストと推論の出力料金も3ドルから7.50ドルへ上がっている。参照画像を送り、何度も修正を繰り返す使い方では、画像そのものの出力料金に加えて、こうした処理費用が積み重なる。

Nano Banana 2 Liteにも役割は残る。1K画像の出力料金は2.1と同じだが、Liteの入力料金は100万トークン当たり0.25ドル、テキスト・推論出力は1.50ドルと大幅に安い。

GoogleはLiteを速度と大量処理を重視するモデルと位置付けており、複数の画像を参照する複雑な制作や、何度も編集を重ねる用途には最適化していない。また、検索によるグラウンディングにも対応しない。一度生成して終わる軽い用途と、人物や商品を維持しながら何度も仕上げていく用途では、画像出力料金が同じでもモデルを選ぶ理由は異なる。

Proを上回るGoogleの社内評価をどう読むか

Googleが10月のモデルカードで公開した評価では、Nano Banana 2.1は画像生成と編集の双方で、旧Nano Banana 2とNano Banana Proを上回った。次の表は、実際の制作で違いが出やすい指標を抜き出したものだ。

Googleの評価指標 2.1・推論あり 2.1・推論なし 旧2・推論あり Pro
総合的な好み 1050±14 1015±13 990±7 935±8
図のデザイン 1048±17 1001±17 961±12 912±12
図の事実性 0.521 0.328 0.179 0.265
一般的な画像編集 1026±12 980±15 938±11 939±10
複数人物の一貫性 1106±14 1068±14 978±10 1011±10
マスク・手描き指示による編集 1049±15 1042±16 965±12 927±12

出典:Google DeepMindのモデルカード。Googleが2026年10月に公表した評価で、「図の事実性」は自動評価、それ以外は2枚の画像を比較する人手評価に基づくEloスコア。原表の±表記を残している。

人物の一貫性や部分編集の評価が大きく伸びている点は、今回Googleが説明する改良内容とも一致する。集合写真の中から1人の服だけを変える、商品はそのまま残して背景だけを差し替えるといった作業では、「変える部分」と「残す部分」をどこまで正確に区別できるかが、やり直しの回数を左右する。

ただし、この表にはGPT Image 2.5やFLUX 3は含まれていない。Google製モデル同士の比較から、他社モデルまで含めた市場全体の首位を判断することはできない。

Eloスコアの差を「画質が何%高い」「生成速度が何倍になった」と読み替えることもできない。「図の事実性」の0.521についても、Googleは単純な正答率52.1%として説明していない。人が見て好ましい図を作れるかという評価と、図に描かれた情報が事実として正しいかという評価は別である。

推論の有無についても注意が必要だ。モデルカードには「推論なし」の評価列がある一方、一般向けAPIでは推論そのものを完全に無効化する設定は用意されていない。Nano Banana 2.1で指定できるのはminimal、medium、highの3段階で、既定値はmediumとなる。評価環境の「推論なし」を、そのまま利用者が選択できるAPI設定と考えるべきではない。

Nano Banana Proも直ちに不要になるわけではない。Googleは現在も、高度な知識、多言語対応、ブランドの一貫性、精密な制作制御が必要な用途にはProを位置付けている。

参照画像の扱いも異なる。2.1では最大10個の物体と4人の人物、Proでは物体6個、人物5人、スタイル3種類を参照できるとしている。単純な合計枚数だけでは、人物や商品の再現性を比較できない。

Google自身も、2.1にはなお制約があると認めている。1K画像では小さな文字や長い文章が崩れやすく、人物の一致も完全ではない。手描きの編集指示に使った線が完成画像へ残る場合や、左右の位置関係を取り違える場合もある。日本語の商品説明など細かい文字を画像へ直接入れる用途では、完成後に実際の文字を読み直す工程が引き続き必要になる。

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GPT Image 2.5との違いは透明背景と4Kの定義

OpenAIの現行画像モデルには、編集精度を重視する「GPT Image 2.5 Sunburst」と、速度を重視する「GPT Image 2.5 Flare」がある。OpenAIは両モデルで画像生成と編集に対応し、透明背景も正式にサポートしている。

PNGまたはWebPで背景を透明にできるため、商品だけを切り抜いた素材や、後から別のデザインへ重ねる部品を作る用途では、Google製モデルと比較するうえで具体的な違いになる。

料金はGoogleとは異なる見方が必要だ。SunburstとFlareの画像出力料金は、標準処理でともに100万トークン当たり30ドル。Nano Banana 2.1も画像出力は100万トークン当たり30ドルだが、1枚の画像を生成するときに消費するトークン数はモデルごとに異なる。

OpenAIではlow、medium、high、xhigh、maxなどの品質設定を選択でき、設定によってトークン消費量も変わる。同じ「100万トークン当たり30ドル」であっても、画像1枚当たりの料金まで同じになるわけではない。

「4K」という表記も、そのまま横並びにはできない。Googleで4Kの正方形画像を生成すると4,096×4,096ピクセルとなり、総画素数は16,777,216画素になる。

一方、OpenAIのGPT Image 2.5では、総画素数の上限が8,294,400画素、1辺の上限が3,840ピクセル、縦横比は1:3から3:1までと定められている。

つまり、同じ「4K」と呼ばれていても、Nano Banana 2.1の4K正方形は約1,678万画素、GPT Image 2.5の最大値は約829万画素で、実際の画像サイズは異なる。前者は4K正方形の仕様、後者はさまざまな縦横比に適用される総画素数の上限であり、画質が約2倍という意味ではない。

数値は2026年10月7日時点のGoogleの寸法表とOpenAIの寸法制約をもとに、総画素数を計算したものだ。OpenAIでは2,560×1,440を超える解像度を実験的な扱いとしている。

横長の看板やバナーでは、さらに違いが大きくなる。Nano Banana 2.1は8:1の4K設定で12,288×1,536ピクセルを出力できる。一方、OpenAIは縦横比を最大3:1までとしている。

そのため「4Kに対応しているか」だけでなく、最終的に必要な縦横比とピクセル寸法からモデルを選ぶ方が、生成後に切り抜いたり拡大したりする手間を判断しやすい。

FLUX 3は領域指定、Qwenは自前運用で違いを作る

Black Forest Labsの「FLUX 3 Image」は、最大10枚の参照画像を組み合わせ、Web検索から取得した情報や画像も生成に利用できる。特徴の一つが、長方形の領域を指定して物体の位置を決められることだ。同じ仕組みを使い、画像内の一部分だけの色や形を編集することもできる。

人物の顔や商品の外観を残しながら、別の部分だけを動かしたい場合、文章だけで指示するのか、位置情報まで明示できるのかが操作性の違いになる。

画像モデルの機能と提供条件を並べると、競争は単純な画質スコアだけでは比較できない。

モデル 解像度・参照の特徴 制作で比較すべき機能・条件
Nano Banana 2.1 1K・2K・4K、最大14枚の参照 Web・画像検索、繰り返し編集時の一貫性、極端な横長・縦長画像
Nano Banana Pro 1K・2K・4K、人物5枚やスタイル3枚を含む参照 高度な知識、多言語対応、ブランドの一貫性や精密な制作制御を重視
Nano Banana 2 Lite 最大1K、2K・4K非対応 低い入力・推論単価、速度と大量処理向け、検索非対応
GPT Image 2.5 Sunburst/Flare 最大約829万画素、縦横比は3:1まで 編集精度重視/速度重視の選択、透明背景、複数段階の品質設定
FLUX 3 Image 1K・2K・4K、最大10枚の参照 Web・画像検索、長方形の領域指定による配置と編集
Qwen-Image-2.1 ネイティブ2K、最大10枚の参照 透明画像の生成・編集、重みを取得して自前運用可能、商用利用には別ライセンスが必要

出典:Googleの画像生成ガイド、OpenAIの画像生成ガイド、FLUX 3仕様、Qwen公式実装、Qwenの重みライセンス。2026年10月7日時点の仕様と提供条件を整理したものであり、同じ指示を与えて画質を比較した試験ではない。参照できる画像の枚数も、すべての被写体が完全に維持されることを保証する数字ではない。

FLUX 3の公式料金は、約1メガピクセルの1K画像が1枚0.048ドル、約4メガピクセルの2Kが0.100ドル、約16メガピクセルの4Kが0.607ドルとなる。

Nano Banana 2.1は画像出力料金だけを比べればこれらより安い。ただし、Googleでは入力や推論などが別途課金されるため、この差をそのまま制作全体の節約率として扱うことはできない。大量処理向けのFLUX.2 [klein] 4Bには1枚0.014ドルからの料金設定もあり、Nano Banana 2.1を画像生成市場全体で最も安いモデルと呼ぶのも適切ではない。

編集する領域を指定できるモデルでも、指定範囲の外側が完全に固定されるとは限らない。BFLの編集ガイドでは、指定領域の外側は通常維持されるものの、影や反射、周囲の照明などが変化する場合があるとしている。

OpenAIも、編集を繰り返すと維持したい細部まで変わる可能性があると説明しており、完全な一致が必要な部分については、承認済みの編集結果を元画像へ合成する方法を案内している。Googleのマスク・手描き編集が高い評価を得ていることも、指定領域以外の画素が完全に固定されることを意味しない。

Qwen-Image-2.1は、さらに性格の異なる選択肢だ。9月20日に公開されたこのモデルは、透明度を持つRGBA画像を直接生成・編集でき、写真から被写体だけを切り抜く処理にも対応する。最大10枚の参照画像を使った編集にも対応している。

モデルの重みが公開されているため、自前の計算環境で動かすこともできる。ただし、現在のQwen Research Licenseは研究・評価を目的とした非商用利用に限定しており、商用利用には別途ライセンスを取得する必要がある。GPUや運用環境の費用もかかるため、重みを無料で取得できることと、画像を無料で生成できることは同じではない。

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10月29日の移行で見直すべき設定

Googleは旧Nano Banana 2のAPI名gemini-3.1-flash-imageを10月29日に停止すると告知し、Nano Banana 2.1への移行を推奨している。一方、Nano Banana ProとNano Banana 2 Liteについては、10月7日時点で停止日は発表されていない。Nano Bananaシリーズ全体が同時に2.1へ置き換わるわけではない。

旧Nano Banana 2から移行する場合、512ピクセル級の0.5K出力を2.1では利用できない点も確認が必要だ。

推論設定も変わる。旧Nano Banana 2では既定の推論量がminimalだったのに対し、2.1ではmediumが既定となる。そのため、APIで指定するモデル名だけを変更し、従来と同じ待ち時間や処理コストになると考えると、実際の見積もりとずれる可能性がある。

実際にモデルを比較するなら、自社で普段扱っている素材を使うのが分かりやすい。日本語の見出しを正しく描けるか、背景や文言を変更しても商品や人物が維持されるかを確認する。さらに、背景変更、文字修正、サイズ変更まで編集を繰り返せば、1回の生成だけでは見えない違いも表れる。

最終的に重要なのは、1枚を生成する単価ではなく、実際に使える完成画像へ到達するまでの費用と時間だ。人物や商品を維持したまま修正を重ねられ、やり直しの回数まで減らせるのであれば、Nano Banana 2.1の値下げは、広告や商品画像を大量に制作する現場でより大きな効果を持つ。