OpenAIとキーボードメーカーのWork Louderは、Codex用卓上コントローラー「Codex Micro」の予約を230ドルで始めた。製品には13個のメカニカルキーとジョイスティックが並び、ダイヤルとタッチセンサーも備える。文字を打つキーボードというより、複数のAIエージェントを監督するためのマクロパッドである。

Codexはすでに、複数のスレッドでエージェントを並列に動かすアプリへ進んでいる。Codex Microが追加するのは演算能力ではない。どの仕事が進み、止まり、人の入力を待っているかを机の上に出す。AIエージェントの性能競争が、人が多数の仕事をどう見張るかというUIの問題へ広がったことを示す製品だ。

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13キーがエージェントの状態灯になる

 

Codex MicroのAgent Keysは、各エージェントの状態をRGBの色で反映する。Work Louderが示したのは、待機、思考中、完了の3状態である。そこに入力待ちとエラーが加わる。アプリ内でスレッドを開かなくても、人が反応すべき仕事を光で知らせる。

Command Keysには、変更の承認と拒否、プッシュトゥトーク、新規チャットなどを割り当てられる。ジョイスティックを倒せば、プルリクエストのレビュー、エラー調査、リファクタリングなどの仕事を起動できる。Work Louderによれば、4つの方向にプリセットまたはカスタムSkillを置ける。

ダイヤルが受け持つのは、Codexの推論レベルである。短時間で済ませたい仕事では下げ、より深い検討が必要な仕事では上げる。モデル設定を開いて選ぶ代わりに、必要な検討量を指先で切り替える設計である。

本体はBluetoothとUSB-Cに対応し、MacとWindowsで使える。スイッチはクリッキーとサイレントの2種類で、押下圧は40±10gf、総ストロークは2.8±0.25mm、耐久性は5,000万回とされる。ポリカーボネートとアルミのボディに、PBTとPCのキーキャップを組み合わせた。

174ドルのCreator Micro 2 Proに何を足したのか

Codex Microの機構は、Work Louderが販売するCreator Micro 2の系統にある。Bluetooth搭載のCreator Micro 2 Proは174ドルからで、公表最低価格同士を単純に比べるとCodex Microとの差は56ドルになる。オプション構成やセール価格は含まない。公開仕様では、13キーとタッチセンサー、ロータリーエンコーダーとジョイスティックの構成が共通する。接続もBluetoothとUSB-Cだ。

この公表最低価格ベースの差に対し、Codex MicroはCodexのエージェント状態と連動するRGB、Codex内でのコマンド再割り当て、専用アイコンのキーキャップセットを加える。Work Louder Inputを使えば、キーやダイヤル、ジョイスティックに任意のショートカットを設定し、6つのレイヤーを切り替えられる。公開仕様で確認できる主な違いは、Codex向けの連携と数量限定のコラボ仕様である。

購入条件は慎重に見た方がよい。OpenAIは7月24日の出荷を見込むが、販売数や予約終了日を公表していない。日本は配送対象に含まれ、125ドルを超える注文の割引標準送料は30ドルである。関税や輸入税、その他の手数料は別途かかる。数量が限られるため、不良品等を除き返品と交換はできない。保証と製品サポートはWork Louderが担当する。

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画面の外に出たエージェント監督

OpenAIが2026年に公開したCodexアプリは、エージェントをプロジェクトごとのスレッドで動かし、複数の仕事を並列に進める。組み込みのworktreeにより、同じリポジトリで作業してもファイルを直接取り合わずに済む。並列化によって待ち時間を減らせる一方、人は動いているスレッドの数だけ進行状況を追う必要がある。

Codex MicroのRGBは、この監督コストを下げるためのアンビエント表示である。通知のたびにアプリへ視線を戻す代わりに、入力待ちやエラーだけを色で拾える。承認と拒否を専用キーに置くのも、マウスで対象を選ぶ回数を減らすためである。

ただし、公開資料は製品の考え方までしか証明していない。RGBがCodex内の状態変化を何秒で反映するか、13キーで同時に何体を監視できるか、承認キーの誤操作をどう防ぐかは不明だ。作業時間や操作ミスを減らしたという検証結果も示されていない。

ダイヤルも同様だ。実行中の仕事に対してモデルの推論能力を物理的に拡張する装置ではなく、Codexの設定を変えるノブである。回すことに意味があるかは、選ぶたびに画面操作する手間と、仕事に合わない設定を選ぶリスクのどちらが大きいかで決まる。

Supply Co.の実験とio Productsの機器開発を分ける

Codex MicroをOpenAIの汎用ハードウェア事業の初号機と見なすのは早い。販売窓口のSupply Co.は従業員向けのマーチャンダイズから始まり、自らをコラボレーションと実験の場と説明している。アーカイブには単一マクロキーやRaspberry Pi 5キットもある。物理製品の販売自体が初めてというわけではない。

また、Codex MicroはWork LouderとのCo-Lab製品であり、保証も同社が担当する。これに対し、OpenAIがJony Iveらと進める未発表の機器開発はio Productsチームが担う。OpenAIは2025年、同チームがOpenAIに合流し、Jony IveとLoveFromがデザインに役割を持つと発表した。公開資料では、両製品の開発系統は別である。

Appleは7月10日、営業秘密の不正取得などを主張し、OpenAIとio Products、元Apple社員2人を提訴した。これはApple側の主張で、裁判所は事実認定していない。訴状はWork LouderもCodex Microも挙げておらず、7月24日の出荷に直接影響すると考える根拠は現在の公開情報にない。OpenAIのロゴが付く2つのハードウェアの動きを、同じ開発計画として扱うべきではない。

7月24日の出荷後に確かめたいのは、状態灯の遅延、同時に見張れるエージェント数、承認操作の安全性である。この3点が画面操作より優れていれば、Codex Microは多数のAIを机の上で監督する操作系の先行例になる。