OpenAIは、CodexとChatGPT WorkでGPT-5.6 Solを使う際の消費量を抑える変更を展開した。Plus、Business、Proプランに設けていた5時間単位の利用制限も一時的に外している。推論処理の最適化だけで約10%多く使えるようになる見込みだという。同じ週、Anthropicも動いた。Claude Fable 5を有料プラン内で使える期間を7月19日まで再延長し、Claude Codeの週次上限を50%増やす措置を続けている。最上位モデルの競争は、ベンチマークの点数から、契約料金の範囲でどこまで仕事を進められるかへ踏み込んでいる。

AD

5時間枠の撤廃と二つの消費是正

OpenAIのプロダクト責任者Thibault Sottiauxは日本時間7月13日、CodexとChatGPT Workの5時間制限を一時的に適用しないと発表した。対象はPlus、Business、Proの各プランである。週次上限は残るため、無制限になったわけではない。短時間に集中的に作業する利用者は5時間ごとの中断を避けられる一方、使った量は週次枠から引かれる。

同社は同日の詳報で、消費量を下げる変更を二つに分けて説明した。一つは推論基盤の最適化で、GPT-5.6 Solを約10%多く使える効果を見込む。もう一つは、製品側のコンテキスト上限をいったん縮める措置だ。これらに加えて、highとxhighの推論設定でマルチエージェントが想定より多く使われる問題や、auto-reviewの効率も修正するという。

ここで区別したいのは、サブスクリプションの利用量とAPIのトークン料金である。OpenAIが示した約10%は、有料プランでSolを使える量に対する推論最適化の効果だ。API価格を10%下げる発表ではない。ほかの修正を含めた合計効果も、まだ数値化されていない。

37万2000トークンが消費を押し上げた

想定外の消費を招いたのは、GPT-5.6 Solの製品内コンテキスト上限だった。OpenAIはGPT-5.5の27万2000トークンから、Solでは37万2000トークンへ広げていた。ところがこの変更によって、意図した以上の利用量が計上されていたという。同社は上限を27万2000トークンへ戻し、利用量の減り方が大幅に緩やかになるとの見通しを示した。

コンテキストとは、モデルが一度の処理で参照できる会話、コード、文書などの範囲を指す。上限が広ければ大きなリポジトリや長い作業履歴を保持しやすい。ただし、毎回参照する情報量も増え得る。今回の説明では、モデルそのものの推論効率と、製品がどれだけの履歴を渡すかの双方が利用枠の消費を左右していた。

とはいえ、37万2000トークンが恒久的に失われるわけではない。OpenAIは後日、上限を再び広げる方針だが、時期は公表していない。その際に利用量の計上方法をどう変えるか、27万2000トークンへの差し戻しが実際に何%の改善を生むかも明らかにしていない。5時間制限の解除にも終了日はない。

AD

Fable 5は7月19日まで、条件は据え置き

Anthropicは日本時間7月13日、Claude Fable 5のプロモーションを米太平洋時間7月19日午後11時59分59秒まで延長した。日本時間では7月20日午後3時59分59秒に当たる。当初の期限は米国時間7月7日で、7月12日への延長に続く2度目の更新となった。Claude Codeの週次利用上限を50%増やす措置も、同じ期限まで続く。

対象はPro、Max、Teamと、シート制Enterpriseのプレミアムシートである。利用者は追加料金なしで、通常の週間上限の最大50%をFable 5に充てられる。利用できるのはWeb、デスクトップ、モバイルに加え、Claude Coworkと、バージョン2.1.170以降のClaude Codeだ。

最大50%という数字は、週次枠が別に増えるという意味ではない。Fable 5とほかのClaudeモデルは通常の週間上限を共有し、Fable 5はほかのモデルより速く枠を消費する。この上限に達した後は、別料金の利用クレジットへ移るか、別モデルへ切り替えて残りの週次枠を使うしかない。Anthropicは7月19日後、Fable 5を週次枠の対象から外し、利用クレジットで提供する予定だ。

上限競争が映す、推論コストの現実

両社の動きは、最上位モデルをサブスクリプションへ載せる難しさを映している。APIではGPT-5.6 Solが入力100万トークン当たり5ドル、出力100万トークン当たり30ドルである。Fable 5は同10ドル50ドルだ。従量課金なら使った分を請求できる。だが定額プランでは、モデルの推論量、コンテキストの長さ、同時実行するエージェント数を利用上限へ換算しなければならない。

Anthropicは、Fable 5の需要を予測しにくいとしている。十分な計算能力を確保できれば、標準のサブスクリプション機能へ戻す方針も示してきた。期限を1週間ずつ延ばす運用は、その需要と供給を見極める時間になっている。一方のOpenAIは、5時間枠を外しつつ、推論基盤と製品設定の双方から週次枠の持ちを改善しようとしている。

利用者にとっての差は、モデルを選べるかより、長い作業をどこまで中断せず完了できるかに現れる。確認すべき数字も明確だ。OpenAIが約10%以外の改善幅と5時間枠の終了日を示すか、37万2000トークンを再導入しても消費が急増しないか、そしてAnthropicが7月19日後にFable 5を標準枠へ移せるか。この三点が、性能向上を日常の作業量へ変換できたかを測る材料になる。