開発者のOm Lahore氏が、macOS 27のApple Intelligenceを無効化し、ダウンロード済みのAIモデルを削除するオープンソースツール「RemoveMacAI」を公開した。機能をオフにするだけでなく、モデルが再びダウンロードされるのも防ぎ、使わないAIモデルが占有するストレージを取り戻すためのツールだ。開発者によると、macOS 27ではApple Intelligenceを一括で無効化するスイッチがなくなり、個々の機能をオフにしてもモデル自体はディスクに残る。ただし、モデルの一部は複数の機能で共有されているため、どの機能を残すかによって回収できる容量も変わる。
初公開版は9月29日にリリースされ、10月5日にはv0.2.4が公開された。対象はApple silicon搭載のMacとmacOS 27で、開発者は27.0で動作を確認しており、27.0.1ではv0.2.3以降を使うよう案内している。macOS 26以前は対応対象に含まれない。
機能の無効化からモデル削除、再ダウンロードの防止まで
RemoveMacAIは、利用者がシステム設定で承認する「構成プロファイル」を作成する。これはMacに管理設定を適用するためのファイルで、公開されているプロファイル生成コードでは、Apple Intelligence向けの制限キーと、各アプリの設定値を強制する仕組みを組み合わせている。専用の制限キーが用意されている機能にはそのキーを使い、それ以外は設定値を指定して無効化する。
モデルの削除は別の仕組みで行う。削除処理のコードは、Appleの非公開フレームワーク「UnifiedAssetFramework」を読み込み、アセット管理サービスにモデルセットの削除を依頼する。ファイルを直接消すのではなく、OSの管理サービスを通じて削除する設計だ。開発者は、システム整合性保護(SIP)を有効なまま維持し、/System以下のファイルも直接変更しないと説明している。
削除したモデルが再びダウンロードされてしまえば、ストレージを空けた意味が薄れる。そこで構成プロファイルは、削除対象となったモデルごとにダウンロード先を、Mac自身の接続を受け付けないローカルポートへ変更する。公開コードで指定されている接続先はhttps://127.0.0.1:9/removemacai-blocked/だ。この接続を失敗させることで、モデルの再取得を防ぐ。モデルごとにダウンロード先を変更する仕組みであり、Mac全体の通信を遮断するものではない。
つまりRemoveMacAIでは、設定による機能の無効化、アセット管理サービスを通じたモデル削除、モデルごとの再ダウンロード防止という3つの処理が組み合わされている。これらの操作をまとめて実行し、構成プロファイルの承認画面まで利用者を案内する。プロジェクトでは、アセット管理サービスやモデルセット、複数の設定キーを先に調査した4evy氏のツール「pared」を基礎にしていることも明記している。
一部の機能を残すと、共有モデルも残る
RemoveMacAIの--keepオプションを使うと、指定した機能を無効化の対象から外せる。ただし、どの機能を残すかによって、削除できるモデルも変わる。公開コードにある機能一覧と削除判定では、それぞれの機能が必要とするモデルを対応付け、そのモデルを利用するすべての機能を停止する場合にのみ、モデルを削除対象としている。
作文ツールを残せば基盤モデルも残る。ジェン文字やImage Playgroundを残す場合は、基盤モデルに加えて画像生成用モデルも残る。
| 残す機能 | 削除対象から外れるモデル | 容量回収を考える際の意味 |
|---|---|---|
| 作文ツール、Siri、メール要約など | Apple Intelligenceの基盤モデル | 同じ基盤モデルを使うほかの機能を止めても、このモデルは残る |
| ジェン文字、Image Playground | 基盤モデルと画像生成用モデル | 画像生成用モデルだけを残す指定にはならない |
| 空間写真 | 空間写真用モデル | 基盤モデルとは別のモデルセットが残る |
| 写真のクリーンアップ | クリーンアップ用モデル | 写真機能専用のモデルセットが残る |
| Xcodeの予測コード補完 | コード補完用モデル | 開発作業で必要なら、このモデルだけ削除対象から外せる |
| ChatGPTなどの外部AI拡張 | この機能に割り当てられたローカルモデルはない | この拡張だけを残しても、基盤モデルが残るわけではない |
この表は、2026年10月6日に確認したRemoveMacAIのCatalog.swiftにある、機能とモデルの対応関係を整理したものだ。あるモデルを利用する機能のうち一つでも--keepで残せば、そのモデルも削除対象から外れる。実機で容量を測定した結果ではないため、それぞれの機能を止めることで何GB回収できるかを示すものではない。また、--keepはあくまで無効化の対象から外すための指定であり、すでにオフになっている機能を自動的にオンにするわけではない。
影響はAppleの標準機能にも広く及ぶ。初期設定ではSiriも無効化の対象となり、「Hey Siri」による音声呼び出しやメニューバーのアイコンも含まれる。文章の校正や要約、画像生成なども停止する一方、開発者によると、音声入力は別の設定と音声モデルを利用するため引き続き使用できる。「AIに関連する機能を一律に削除するツール」と考えると、実際の影響範囲を取り違えやすい。
さらに、Appleの基盤モデルはサードパーティー製アプリからも利用できる。AppleのFoundation Models開発文書では、アプリから端末上のモデルを呼び出す仕組みを説明するとともに、モデルを利用できない場合に備えて代替動作を用意するよう開発者に求めている。RemoveMacAIも、Foundation Modelsフレームワークを利用するアプリや、ショートカットから端末上のモデルを呼び出すアクションに影響が及ぶと説明している。アプリそのものが動かなくなるとは限らないが、そのAI機能が依存する共通モデルは利用できなくなる。
約12GBはあくまで目安、容量が戻るまでには時間差も
Redditでの開発者の説明によると、自身の環境ではApple Intelligence関連のモデルが約12GBを占めていたという。ただし、これはすべてのMacで回収できる容量を示すものではない。どのモデルがダウンロード済みか、どの機能を残すかによって削除対象が変わるため、まず自分の環境でモデルの内訳を確認する必要がある。
容量表示については、公開後にも修正が加えられている。変更履歴によると、v0.2.1では「削除直後に空き容量が戻った」と誤解されかねない表示を改めた。アセット管理サービスがモデルを解放しても、macOSが実際にファイルを削除するタイミングはOS側が決める。このため、システム設定のストレージ画面には、しばらくApple Intelligenceの容量が残って表示される場合がある。
v0.2.3では、27.0.1を含む一部のMacで、インストール済みモデルの容量がサービスからゼロと報告され、結果としてモデルが削除されない問題を修正した。モデルごとの状態表示よりも、アセット管理サービスが保持する一覧を優先して容量を確認するよう変更したものだ。「容量がゼロと表示された」「モデルの削除を依頼した」「実際に空き容量が増えた」は、それぞれ異なる状態を示している。
ツールには、現在の状態とモデル容量を確認するremovemacai statusと、実際には変更せず実行予定の内容だけを表示するremovemacai off --dry-runが用意されている。容量を取得できない項目はunknownと表示し、ゼロとはみなさない。削除処理の実装では、削除に失敗した場合や完了を確認できなかった場合、その旨を表示したうえで構成プロファイルを残す。つまり、機能の無効化は済んでいても、モデルの削除までは完了していない状態があり得る。
非推奨の設定キーと非公開API、OS更新後の互換性には注意が必要
Appleは、RemoveMacAIが利用する管理キーの一部をすでに非推奨としている。Appleが公開する管理仕様では、Siriを制御するallowAssistantや作文ツールのallowWritingToolsなどに、macOS 26.4以降は非推奨との記載がある。ジェン文字とImage Playgroundを制御するキーも同様で、新しい宣言型デバイス管理の設定へ移行するよう案内している。
ただし、Appleの新しい方式を個人のMac向けツールにそのまま置き換えられるわけではない。公式のApple Intelligence管理設定はmacOS 26.4以降を対象とし、端末が監視対象であることに加え、所定のデバイス管理へ登録されていることを要件としている。利用者がローカルで承認する構成プロファイルとは、適用条件が異なる。
非推奨になったからといって、そのキーが直ちに使えなくなるわけではない。一方で、構成プロファイル自体がOS更新後も残るという開発者の説明だけでは、設定が将来のmacOSでも同じように機能し続けるとは言い切れない。モデル削除に利用する非公開フレームワークも、Appleがサードパーティー向けに互換性を保証する公開APIとは異なる。SIPを無効にせず利用できることと、将来のOSでも動作し続けることは別の問題だ。
元の状態に戻す場合は、removemacai revertを実行して設定画面を開き、利用者自身が構成プロファイルを削除する。これにより元の設定が再び有効になり、必要な機能を使う際にはmacOSがモデルを再ダウンロードする。構成プロファイルを外した時点で、削除済みのモデルがすべて一括して復元されるわけではない。
導入時の検証についても、何を確認できる仕組みなのかを分けて考える必要がある。配布スクリプトは、ダウンロードしたバイナリのSHA-256チェックサムを照合する。また、リリース用のワークフローでは、タグからビルドされた成果物に、その由来を確認するための証明を付与する。チェックサムは配布物が改変されていないかを確認する手段であり、ビルド証明は成果物がどこから生成されたかを確かめる手段だ。いずれも、コードそのものに問題がないことまで保証するものではない。
RemoveMacAIが浮き彫りにしたのは、端末上のAIを使うかどうかだけでなく、そのためのモデルをストレージに置き続けるかどうかも、利用者にとって選択肢になり得るという点だ。利用者は、どの機能を残すとどのモデルも残るのかを把握する必要があり、アプリ開発者には、共通モデルを利用できない場合の代替動作が求められる。OS側でモデルごとの容量、利用している機能、削除後の復元方法までまとめて確認できるようになれば、必要なAI機能と空き容量を、より具体的に比較して選べるようになる。



