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Nintendo Switch 2に対応しないWebカメラもある?iPhoneをWebカメラ化する裏技も

Y Kobayashi

2025年6月7日

待望のNintendo Switch 2が発売され、世界中のゲームファンがその進化した性能に沸き立っている。新機能の中でも特に注目されるのが、フレンドとビデオ通話をしながらゲームを楽しめる「ゲームチャット」だ。しかし、この機能を利用するには、任天堂が別売りで提供する5,980円の公式「Nintendo Switch 2 カメラ」等、USBカメラが必要となる。この出費を躊躇するユーザーも少なくないだろう。

そんな中、海外のYouTuberによって、手持ちのiPhoneをSwitch 2のWebカメラとして活用する驚きの方法が発見された。手持ちのスマートフォンを使って余計な出費を回避できる可能性を秘めたこの「裏技」は、多くのゲーマーにとって朗報に違いない。

しかし、話はそう単純でもないようだ。任天堂が「互換性のあるUSB-Cカメラなら何でも使える」と公表している一方で、実際には多くの市販ウェブカメラが動作しないという報告も相次いでいる。本稿では、iPhoneをSwitch 2のカメラとして使う具体的な方法から、その背景にある技術、そして誰もが直面しかねない「互換性の罠」までご紹介しよう。

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救世主は「iPhone」?驚きの活用法とその手順

この画期的な方法を発見したのは、ガジェットの互換性を検証するYouTubeチャンネル「Will It Work?」である。彼らが公開した動画では、簡単な機材を使ってiPhoneをSwitch 2に接続し、見事にカメラとして認識させる様子が示されている。

Can the Switch 2 use an iPhone (or Android) as a webcam?

この方法は、USBカメラを買うことなく、多くの人が既に所有しているスマートフォンで代用できる可能性を示唆しており、大きな注目を集めている。

必要なものリスト:身近な機材で実現可能か

iPhoneをSwitch 2のWebカメラとして機能させるには、以下のものが必要となる。

  • iPhone本体: USB-Cポートを備えたモデルが望ましいが、Lightningポートのモデルでも対応する変換アダプタがあれば可能と考えられる。
  • USB-C to HDMI ケーブル/アダプタ: iPhoneの映像をHDMI信号として出力するためのケーブル。
  • HDMI to USB-C ビデオキャプチャーケーブル: HDMIからの映像入力を、Switch 2が認識できるUSBウェブカメラの信号(UVC)に変換するアダプタ。これがこの仕組みの心臓部だ。
  • カメラアプリ: iPhoneのカメラ映像をUI(ボタンなど)なしで全画面表示できるアプリ。動画では「True Visage」という無料アプリが使用されている。

これらの機材、特にビデオキャプチャーケーブルは、既にゲーム配信などで所有している人もいるかもしれない。もし持っていなくても、比較的安価に入手可能であり、USBカメラと比較すれば十分に経済的と言えるだろう。

接続は驚くほどシンプル、しかし注意点も

接続手順は非常にシンプルだ。

  1. iPhoneでカメラアプリ(例: True Visage)を起動する。
  2. iPhoneに「USB-C to HDMIケーブル」を接続する。
  3. そのHDMIケーブルを「HDMI to USB-C ビデオキャプチャーケーブル」に接続する。
  4. 最後に、ビデオキャプチャーケーブルのUSB-C端子をSwitch 2本体のUSB-Cポートに接続する。

正しく接続されると、Switch 2の画面に「カメラが接続されました」という通知が表示される。本体設定の「コントローラーとアクセサリー」メニュー内にある「USBカメラをテスト」を選択すれば、iPhoneのカメラが映し出す映像をリアルタイムで確認できる。

ただし、この方法には若干の遅延(ラグ)が認められるという。任天堂は以前から「ゲームチャットにおいては、ゲームのパフォーマンスをカメラの忠実度よりも優先する」と述べており、この遅延はある程度許容範囲内と考えるべきかもしれない。オンライン対戦での一瞬の表情の変化を伝えたい、といったシビアな使い方には向かない可能性もある。

なぜこの方法が可能なのか? 技術的な背景を解説

一見すると複雑に見えるこの接続が、なぜ機能するのだろうか。その鍵を握るのは「UVC(USB Video Class)」と呼ばれる標準規格だ。

UVCとは、USB経由で映像をやり取りするための共通のルール(プロトコル)であり、特別なドライバーをインストールすることなく、PCや対応機器に接続するだけでウェブカメラを認識させることができる。

任天堂はSwitch 2がこのUVC規格をサポートしていることを明らかにしている。そして、安価なビデオキャプチャーケーブルの多くも、HDMIからの映像入力をこのUVC形式に変換して出力する機能を持っている。

つまり、Switch 2から見れば、「iPhoneから出力されたHDMI信号」を「ビデオキャプチャーケーブル」が翻訳し、「UVC規格に準拠した一般的なWebカメラ」として認識させているのだ。この技術的な背景を理解すれば、iPhoneだけでなく、HDMI出力が可能なAndroidスマートフォンやデジタルカメラなど、他のデバイスでも応用できる可能性が見えてくる。

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「どんなカメラでもOK」は幻想? 互換性の”ワイルドウェスト”な実態

iPhoneが使えるなら、他のUSBカメラも当然使えるはず――そう考えるのが自然だろう。任天堂自身も「互換性のあるUSB-Cカメラなら何でも」と案内している。しかし、テクノロジーメディアThe Vergeの徹底的な検証により、この言葉が額面通りに受け取れるものではないことが明らかになった。

The Vergeの記事「Nintendo Switch 2 webcam compatibility: it’s a wild west」は、その名の通り、互換性状況がまさに「無法地帯」であることを浮き彫りにしている。

有名メーカーの人気モデルが軒並み動作せず

驚くべきことに、The Vergeがテストした多くの人気WebカメラがSwitch 2で動作しなかった。

  • 動作しないことが確認された主なモデル:
    • Logitech Brio 4K
    • Elgato Facecam MK.2
    • Insta360 Link
    • Anker PowerConf C200
    • AndroidスマートフォンのWebカメラモード

一方で、旧来のUSB-A接続のモデルである「Logitech C920」などは、USB-C変換アダプタを介することで問題なく動作したという。この事実は、単にUSB-Cポートを備えているだけでは互換性が保証されないことを示している。

動作確認済みカメラリスト(暫定版)

The Vergeや海外掲示板Redditのユーザーコミュニティによって、現時点で動作が確認された、あるいは報告されたカメラのリストが作成されつつある。

このリストはまだ完全ではなく、流動的だ。The Vergeの指摘通り、任天堂の言う「互換性のある」とは、「USB-Cと互換性がある」という意味ではなく、「Switch 2と(個別に)互換性がある」という意味なのかもしれない。

幸いなことに、カメラメーカー側もこの状況を静観しているわけではない。Webカメラ大手のElgatoはThe Vergeに対し、「動作しないカメラについては、Switch 2との互換性を有効にするためのファームウェアアップデートを検討する」とコメントしており、今後の改善に期待が持たれる。

iPhone活用は賢い選択肢か?

一連の情報を総合すると、Nintendo Switch 2のビデオチャット機能を取り巻く状況は、ユーザーにとって一筋縄ではいかないようだ。

iPhoneとキャプチャーケーブルを用いた方法は、55ドルという追加投資を避けたいユーザーにとって、非常に魅力的で賢い選択肢となり得る。特に、すでに必要なケーブル類を持っている人にとっては、試してみる価値は十分にあるだろう。

しかし、そのためには数千円程度の追加投資が必要になる可能性があること、そして若干の映像遅延が存在することは念頭に置くべきだ。

一方で、安易に市販のUSBカメラを購入するのは得策ではない。任天堂の公式発表とは裏腹に、互換性は保証されておらず、「安物買いの銭失い」になるリスクが高いのが現状である。

最終的には、今後の任天堂からの正式な互換性リストの発表や、各ウェブカメラメーカーのファームウェアアップデートを待つのが最も確実な道と言えるかもしれない。とはいえ、手持ちの機材で工夫を凝らし、問題を解決しようとするゲーマーたちの探求心が、今回のような興味深い「裏技」を生み出したこともまた事実。このテクノロジーの「ワイルドウェスト」を探検すること自体が、新しいゲーム機を手にした楽しみの一つと言えるのかもしれない。


Sources

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