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Intel、次世代Arc Pro GPU「Battlemage」をComputexで発表か – AI性能と24GB VRAMに焦点

Y Kobayashi

2025年5月9日

Intelが、台湾で開催されるComputex 2025にて、プロフェッショナル向けディスクリートGPU「Arc Pro」シリーズの新型を発表することを予告している。同社のXアカウントで「新しいIntel® Arc™ Pro GPUが登場。台北でお会いしましょう!」と投稿し、「Pro + AI Multiply Computex」というキャッチフレーズを添えて、公式にその存在を明らかにした形だ。これは、AI処理能力を大幅に強化した製品の登場を予告する物であり、「Battlemage (Xe2)」アーキテクチャを採用した大容量VRAM搭載モデル登場のこれまでの噂と相まって、プロフェッショナル市場におけるIntelの次の一手に注目が集まっている。

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新アーキテクチャ「Battlemage」とAI性能への期待

発表が確実視される新しいArc Pro GPUは、Intelの最新グラフィックスアーキテクチャ「Battlemage (Xe2-HPG)」を基盤とすると見られている。これは前世代のAlchemist (Xe-HPG)アーキテクチャと比較して、性能、電力効率、そして機能面での大幅な向上が図られている。

特に「Pro + AI Multiply Computex」というメッセージは、AIワークロードにおける性能向上を強く示唆するものだ。近年のプロフェッショナル市場ではAI関連の処理需要が急増しており、Intelがこの分野に注力するのは当然の流れと言えるだろう。また、オープンソースのLinuxグラフィックスドライバスタックの成熟も進んでおり、Battlemage世代のGPUがこの恩恵を受けることで、LinuxベースのAI開発環境やワークステーションでのパフォーマンスと安定性が向上することが期待される。

噂されるスペック:24GB VRAM搭載「Arc Pro B60」が最有力か

Computexでの正式発表を前に、具体的な製品仕様に関する情報が錯綜しているが、特に注目されるのは大容量VRAMの搭載だ。

このArc Proについては、これまでにもいくつか情報がリークされており、プロフェッショナル向けモデルとして「Arc Pro B60」という名称と共に、24GBのVRAMを搭載する可能性が報じられてきた。このモデルは、既存のコンシューマー向けArc B580 (12GB) やB570 (10GB) にも採用されているGPUダイ「BMG-G21」を使用し、メモリインターフェースは192-bitになると予測される。これまでの情報から、現行モデルの2倍となる24GBおよび20GBのVRAMラインナップが登場する可能性が高そうだ。また、24GBモデルが12個の16Gb GDDR6メモリモジュールをクラムシェル構成で搭載するとも言われている。

冷却機構に関しては、Intelのティーザー画像からブロワーファンスタイルのクーラーが採用される可能性が指摘されており、これは初代Arc Pro A60と類似の設計となるかもしれない。Arc Pro A60がミドルレンジのGPUダイ(ACM-G12)を採用していたことを考えると、BMG-G21を搭載するB60という構成は、現時点で他のBattlemage GPUが未発表であることを踏まえれば妥当な推測と言えるだろう。

一方で、より高性能なGPUダイ「BMG-G31」を搭載した上位モデルの登場を期待する声もある。BMG-G31は、より多くの演算ユニットと広帯域な256-bitメモリバスを備えると噂されるが、これまでに報じられた情報は出荷マニフェストだけであり、それ以外の情報は報じられていないことから、製品化を断言するのは早計だろう。

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プロフェッショナル市場での戦略と競合との差別化

新しいArc Pro GPU、特に噂される24GB VRAMモデルは、AI開発、コンテンツ制作、科学技術計算、大規模言語モデル(LLM)の推論といった、大容量メモリを要求するプロフェッショナルワークロードを主なターゲットとすると見られる。

BMG-G21ダイをベースとする場合、T演算性能自体はNVIDIAのGeForce RTX 4060(AD107)クラスになる可能性がある。しかし、24GBというVRAM容量は、特にメモリがボトルネックとなりやすいタスクにおいて、同価格帯の競合製品に対して明確な優位性を示す可能性がある。Intelの狙いは、まさにこのVRAM容量とコストパフォーマンスにあると考えられる。

また、AMDの次期Radeon ProがVRAM容量を削減するとの噂もあり、これが事実であれば、Intelにとって追い風となるかもしれない。

成功への鍵と今後の展望

Intel Arc Pro「Battlemage」がプロフェッショナル市場で成功を収めるためには、VRAM容量の優位性に加え、ソフトウェアとドライバの継続的な最適化、戦略的な価格設定、そしてオープンソースコミュニティとの連携が不可欠である。

Computexでの発表では、BMG-G21ベースのモデルがVRAM容量で市場にインパクトを与えるのか、あるいはBMG-G31搭載の高性能モデルがサプライズとして登場するのか、そしてその価格設定が注目される。Intelの次世代Arc Pro GPUが、プロフェッショナルGPU市場の勢力図をどのように塗り替えるのか、その全貌が明らかになる日も近い。


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