世界のインターネット通信の95%以上を担う海底ケーブル。MetaのAfrica2最終工区「Pearls」が、米国・イスラエルとイランの軍事衝突を理由に工事停止となった。ケーブル敷設会社Alcatel Submarine Networks(ASN)が不可抗力を宣言し、ペルシャ湾での安全な作業継続が不可能と判断した。

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ASNが不可抗力を宣言、敷設船がサウジで停泊中

Bloombergの報道によると、ASNは顧客に対してフォースマジュール(不可抗力条項)の発動を通知した。フォースマジュールとは、予見不可能な事態により契約履行が不可能となった場合に、当事者の責任を免除する条項だ。

ASNのケーブル敷設船「イル・ドゥ・バッツ」は現在サウジアラビアに停泊しており、工事を完了できない状態にある。ケーブル本体の大部分はすでに敷設済みだが、陸上の着陸ステーションへの接続が未完了のままだ。

「Pearls」区間の概要

2Africa Pearlsは、2021年にMetaとテレコム・エジプトが発表した拡張プロジェクトだ。接続対象は湾岸7カ国(オマーン、UAE、カタール、バーレーン、クウェート、イラク、サウジアラビア)に及ぶ。さらにパキスタンとインドも含む予定だった。

この区間が完成すれば、Africa2の総延長は約4万5,000km(約2万8,000マイル)となる。これは地球の円周(約4万km)を上回る距離だ。

2025年11月、MetaはAfrica2コア部分の完成を発表した。現在33カ国にサービスを提供しており、最終的には30億人への高速インターネット提供を目標としている。

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繰り返す遅延

Africa2はこれが初めての遅延ではない。プロジェクト開始から5年間で、紅海区間は複数回にわたり工事を停止してきた。2025年11月にも、イラン支援のフーシ派による軍事活動を理由に紅海区間の工事が中断された。

Pearlsは本来、不安定な紅海ルートの代替として期待されていた区間だ。しかし今回、その代替ルートも紛争に直撃された。

紅海での工事停止が続く中、複数のプロジェクトが陸上ルートへの切り替えを検討している。バーレーンやサウジアラビア経由のルートで、建設コストは大幅に高くなる。

紛争が広げるテックインフラへの影響

今回の工事停止は、海底ケーブルだけの問題ではない。UAEとバーレーンのAWS(Amazon Web Services)データセンターがイランのドローン攻撃を受けたとも報じられている。

紛争が終結しても、不発弾処理のための再調査と新たな契約締結が必要だ。完成時期のめどは立っていない。

こうした状況を受け、Metaが2025年初頭に発表した地政学的リスク地域を回避する総延長5万km超(約3万1,000マイル)の新ケーブル計画Project Waterworthだが、完成まで数年を要する見通しだ。

Africa2のPearls区間停止は、デジタルインフラが地政学リスクに直接さらされていることを改めて示した。完成すれば30億人に高速インターネットを届け、アフリカのGDP成長に369億ドルの貢献が見込まれるプロジェクトが、再び立ち止まっている。紛争の行方次第では、さらなる遅延も避けられない状況だ。


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