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Appleの廉価版MRヘッドセット「Vision Air」は早ければ年内登場?

Y Kobayashi

2025年4月30日

Appleの複合現実(MR: Mixed Reality)ヘッドセット「Vision Pro」は、その先進性にもかかわらず高価格がネックとなり、販売が伸び悩んでいる。この状況を受け、同社はより手頃な価格の軽量モデル、通称「Vision Air」の開発を急いでおり、早ければ2025年末にも市場に投入される可能性があると報じられており、AppleのMR戦略は仕切り直しとなりそうだ。

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Vision Pro販売不振と戦略転換の背景

鳴り物入りで登場したApple Vision Proは、ユーザーをデジタルコンテンツと物理世界が融合した新たな体験へと誘う、まさに未来的なデバイスである。しかし、その約50万円からという価格設定は、多くの消費者にとって大きな障壁となった。結果として、販売台数は当初の期待を下回っている模様だ。

Appleの当初の戦略は、Vision Proを通じて自社の技術力を誇示し、開発者コミュニティを活性化させることにあったと考えられる。先進的なセンサーやカメラ、高精細ディスプレイを搭載し、これまでにないMR体験を実現することで、新たなアプリケーションエコシステムの構築を目指したのだ。

しかし、販売の低迷は、Appleに戦略の早期修正を迫る形となった。高価格帯モデルで市場の反応を探りつつ、徐々に廉価版へ展開するという当初の計画から、より早く手頃な価格のモデルを投入し、市場での存在感を確立する方向へと舵を切ったと見られる。Appleとしては、多大な投資を行った製品カテゴリーが停滞することを避けたい考えだろう。

廉価版「Vision Air」:軽量化と低価格化への期待

現在開発が進められている廉価版モデルは、一部で「Vision Air」と呼ばれている。その名の通り、現行のVision Proと比較して、より軽量で、価格も抑えられることが期待される。Vision Proの主な課題として指摘されていた「重さ」と「価格」という2つの大きなハードルをクリアすることを目指しているのだ。

ただし、低価格化を実現するためには、何らかの技術的なトレードオフが必要になる可能性がある。具体的にどの機能が簡略化されるかは不明だが、例えば、装着者の目を外部に表示する「EyeSight」機能や、Vision Proが誇る高精細なディスプレイ、あるいは搭載されているカメラの性能などが、コスト削減の対象となるかもしれない。Appleが価格と性能のバランスをどのように取るのかが興味深い所だ。

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発売次期は早ければ年内、遅くとも2026年前半か

廉価版Vision Airの登場時期について、Bloombergの名物記者であるMark Gurman氏は、自身のニュースレター「Power On」で注目すべき予測を伝えている。

今月初め、AppleがVision Proの後継機として、より廉価な軽量版と、最大限の応答性を必要とするアプリケーション向けのMac・テザリング・モデルの2機種を本格的に開発中であることをお伝えした。すべての兆候は、今年末から2026年前半の間に軽量モデルが登場することを示している。最初のバージョンの売れ行きが悪かったにもかかわらず、同社はここで船を捨てているわけではない。主な不確定要素は、軽量バージョンがVision Proの代替品とみなされるのか、より安価な代替品とみなされるのかということだ。

この情報が正しければ、Appleは当初の予想よりもかなり早い段階で廉価版モデルを市場に投入しようとしていることになる。発表のタイミングとしては、今年後半に予定されている新型M5搭載MacBook Proと同時期という可能性もGurman氏は示唆している。また、秋に予定されているであろう「visionOS 3」(仮称)のソフトウェアアップデートと合わせて発表されれば、AppleのMR戦略にとって大きな起爆剤となる可能性もありそうだ。

Vision Airの位置づけと価格:代替か、新たな選択肢か

現時点で不明なのは、この廉価版「Vision Air」が、現行のVision Proを完全に置き換えるものなのか、それともより多くのユーザーに向けた新たな選択肢として併売されるのかという点だ。

価格設定についても憶測が飛び交っている。一部では、Appleの他の製品ラインナップにおける価格戦略や、昨今の製造コスト上昇などを考慮すると、たとえ廉価版であっても1,500ドルを超えるのではないか、との見方もある。Meta社のQuestシリーズなど、より手頃な価格の競合製品が存在する中で、Appleがどのような価格設定で挑むのかは、Vision Airの成否を占う上で重要な要素となるだろう。もし競争力のある価格帯で登場すれば、大きなヒットとなる可能性も秘めている。

さらに、Gurman氏が言及しているように、Appleは廉価版とは別に、Macと連携して最大限のパフォーマンスを発揮する、より高性能なモデルの開発も進めているようだ。これは、プロフェッショナルユースや特定の高度なアプリケーションをターゲットとした、Vision Proの直接的な後継機、あるいは上位モデルとなる可能性がある。こちらの登場は、早くとも2026年以降になるかもしれない。

AppleのMR戦略は、Vision Proの販売不振という初期のつまずきを経て、廉価版「Vision Air」の早期投入という形で、新たな局面を迎えようとしている。果たしてAppleは、価格と体験価値のバランスを見事に実現し、MR市場での主導権を握ることができることが出来るのだろうか?


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