中国の半導体装置メーカーAdvanced Micro-Fabrication Equipment(AMEC)は2026年9月1日、江蘇省無錫市で開かれたCSEAC 2026で、新型装置6機種を発表した。内訳はエッチング装置1機種、薄膜形成装置4機種、炭化ケイ素(SiC)外延成長装置1機種である。

6機種の構成を見ると、工程の並びが浮かぶ。3D NAND向けの3機種を取り出すと、絶縁膜を積み重ね、細く深いメモリホールを開け、各層のワードラインへ金属を埋めるところまでがつながる。ロジック半導体向けのチタン・窒化チタン成膜と、電力半導体向けの8インチSiC外延成長も加えた。

ただし、これは6機種の一斉量産開始を意味しない。Primo XD-RIEはBeta機が顧客先での評価に入っている一方、薄膜形成装置4機種については個別機種の評価状況が示されていない。

AD

6機種を工程順に並べる

発表された6機種を工程別に整理し、2026年6月末までの法定開示から確認できる評価状況を重ねると、次のようになる。9月の発表より法定開示の基準日が約2カ月早いため、その後に評価が進んだ可能性は残る。また、処理枚数は装置の並列構成を表すだけで、機種間の速度比較には使えない。

装置 工程・主な対象 公開仕様 公表済みの評価状況
Primo XD-RIE 超高アスペクト比エッチング、3D NAND・DRAM 深さ対幅70対1〜90対1、低温加工、多段パルス電源 Alpha機の社内連続試験を完了。Beta機は顧客先で評価中
Performo QuaStar ON 酸化膜・窒化膜の積層、3D NAND 4反応室×4ステーション、最大16枚を同時処理 新機種として発表。個別機種の顧客評価は未開示
Performo QuaStar GE 誘電体薄膜、メモリ・ロジック SiO2、SiN、SiON、SiOC、SiCに対応。装置全体で最大12枚を同時処理 関連するPECVD装置は顧客先で評価中だが、型番の一致は未開示
Prefima Unicore AM モリブデン原子層堆積、3D NANDのワードライン充填 12インチ対応、4ステーション、ミリ秒単位のガス切り替え 新機種として発表。個別機種の顧客評価は未開示
Preforma Uniflash SPTi/TiN 成膜前のプリクリーン、チタン・窒化チタン成膜、先端ロジックなど 最大5反応室、2ステーション構成で計10ステーション 関連するTi装置は顧客先で評価中。TiN装置は先端ロジック向けの評価を完了しているが、いずれも型番の一致は未開示
PRISMO PDS8 高温外延成長、8インチSiC 最大4反応室で4枚を同時処理、縦型反応器 半期報告書は、型番非開示の新型8インチSiC外延装置を中国国内の大手顧客が量産ラインで評価し、AMECが同顧客から追加受注を得たと記載。PDS8との一致は未確認

6機種を工程と評価状況で分類すると、3D NANDの積層膜形成、メモリホール加工、ワードライン充填は、一社が供給する一連の装置でつながる。一方、個別機種の顧客評価を一次資料で確認できるのはPrimo XD-RIEに限られる。SiC装置は9月発表のPDS8と半期報告書の「新型8インチSiC外延装置」が対応するとみられるものの、報告書に製品名はない。残る薄膜装置も、PECVD、Ti、TiNという関連カテゴリの評価状況までは追えるが、新型4機種それぞれの採用実績とは断定できない。

評価状況を機種名まで結び付けられるか、工程カテゴリまでしか結び付けられないかで、発表の意味は変わる。AMECは2026年6月末までに54種類の装置を出荷し、累計8,800超のプロセスステーションを220超の生産ラインへ導入したと開示しているが、これは全社の累計値であり、今回発表した6機種の納入台数ではない。

3D NANDの三工程にまたがる装置構成

3D NANDは、メモリセルを平面へ並べる代わりに、絶縁膜と犠牲膜を交互に積み重ね、縦方向にセルを形成する。積層数を増やすほど、同じ面積から多くの記憶容量を得られる。一方、積層全体を貫くメモリホールは細長くなり、穴の上端と下端で直径や角度をそろえることが難しくなる。

AMECの2025年年次報告書は、200層超の3D NANDが量産され、メモリホールの深さ対幅が40対1〜60対1、またはそれ以上になると説明している。新型Primo XD-RIEが掲げる70対1〜90対1は、この先の高積層化を意識した設計範囲だ。層数そのものでも、顧客ラインで達成した歩留まりでもないが、従来世代より高いアスペクト比の形状を対象にしていることは分かる。

その前工程を担うのがQuaStar ONである。酸化膜と窒化膜の積層を4反応室、計16ステーションで並列処理する。膜厚が層ごとに揺れれば、その後のメモリホール加工や電気特性に影響するため、単に枚数を増やすだけでは足りない。各ステーション間の膜厚均一性、欠陥密度、反応室を清掃するまでの連続稼働時間が量産性を左右するが、これらは公表されていない。

穴を開けた後は、各層のゲートとなるワードラインを形成する。Unicore AMは、原子層堆積(ALD)でモリブデンを埋める装置だ。競合するLam Researchは、微細寸法ではモリブデンが従来のタングステンより抵抗を下げ、接着層やバリア層を省ける可能性があると説明する。同社は自社装置で50%を超える抵抗改善と、韓国・シンガポールのNAND工場での量産導入を主張している。

この数字はLam製品固有の会社公称値であり、Unicore AMの性能ではない。むしろ、モリブデンALDという装置カテゴリは既に量産競争へ入っている。AMECには材料を成膜する機能に加え、隙間なく埋める能力と抵抗特性を示す必要がある。欠陥の少なさと量産時の安定性も、顧客先での評価項目になる。

AD

薄膜形成装置4機種が増やす販売機会

AMECはエッチング装置を主力としてきた。2025年の売上高123億8,500万元のうち、エッチング装置は98億3,200万元を占めた。これに対し、今回の6機種では、PECVD 2機種、モリブデンALD、Ti/TiN統合装置の計4機種が薄膜工程を担う。

QuaStar GEは酸化シリコン、窒化シリコンに加え、酸窒化シリコン、炭素添加酸化シリコン、炭化シリコンを対象とする。メモリとロジック向けの誘電体薄膜を成膜する装置だ。Uniflash SPTi/TiNは、成膜前のプリクリーン、PECVDによるチタン成膜、ALDによる窒化チタン成膜を統合する。AMECはコンタクトや電極への利用を挙げている。

同じ顧客工場に、エッチング装置に加えて前後の成膜装置も提案できれば、同じ顧客の設備投資から得られる受注機会は増える。さらに工程間の条件を共同で最適化できれば、単体装置の価格以外でも差をつけられる。ただし、同じメーカーの装置を並べれば自動的に工程全体が最適化されるわけではない。顧客は工程ごとに装置を認定し、既存の材料、レシピ、計測結果と合わせて評価する。

South China Morning Postが引用したBernstein Researchの推計では、中国メーカー全体が2025年の中国国内ドライエッチング装置市場で約31%、成膜装置市場で約27%を占めた。これはAMEC単独の市場占有率ではないが、中国メーカーの成膜装置は、エッチング装置ほど市場を獲得できていないことを示す一つの推計である。AMECは薄膜形成装置4機種を同時発表し、顧客へ提案できる工程を広げた。各機種が実際に顧客評価へ進むかは、今後の開示を待つ必要がある。

量産性は処理枚数だけでは決まらない

発表では、QuaStar ONの16枚、QuaStar GEの12枚、PDS8の4枚といった同時処理枚数が目を引く。しかし、対象材料、反応温度、反応室の構造、ウエハー径が異なる。枚数だけを横に並べても、どの装置が速いか、安いかは分からない。

量産工場が確認する項目は、1枚を処理する時間以外にもある。膜厚や穴形状の均一性、欠陥密度、装置の稼働率がまず問われる。さらに保守時間、消耗部品、薬液・ガスの使用量を含めた総所有コストが判断材料になる。複数反応室を備える装置では、1室を保守している間も残りを動かせるか、反応室ごとの差をどこまで抑えられるかも効く。

現時点で個別機種と評価状況を直接結び付けられるのはPrimo XD-RIEだ。AMECはAlpha機の社内連続運転試験を終えており、Beta機は顧客先で評価中である。これは開発初期の原理実証を終えた後の段階だが、量産認定の完了ではない。8インチSiC外延装置のカテゴリでは、半期報告書が型番非開示の新型装置について、量産ラインでの評価と追加受注を記載している。PDS8と同一機種かは確認できない。一方、追加受注の台数、顧客名、量産による売上への寄与は示されていない。

今後の判断材料は、6機種それぞれの複数顧客での評価完了、追加受注、機種別売上に加え、処理速度、均一性、歩留まり、稼働率の開示である。3D NAND向けの三工程が同じ量産ラインで認定されれば、AMECはエッチング装置を軸に、複数工程をまとめて供給する体制へ近づく。逆に、個別機種の採用が確認できなければ、今回の発表は製品ラインアップを広げた段階にとどまる。